暖冬だと野菜は高くなる?安くなる⁇今お得な野菜を気象予報士・野菜ソムリエが解説
2024/02/13
今シーズンは当初の予想どおり平年より気温が高い状態が続いていて、暖冬傾向となっています。
暖冬だと野菜は高くなるのか、それとも安くなるのか…?
気になる「今お得な野菜」とともに、野菜ソムリエ・気象予報士・防災士の資格を持つ植松愛実さんが解説します!
収穫サイクルの早い野菜は「安くなる」
小松菜、ほうれん草、春菊といった葉物野菜は、種まきから1〜2カ月で収穫できる、成長の早い野菜です。
つまり冬に植えて冬に出荷されるため、暖冬であれば成長が早まりたくさん収穫されて安くなります。
実際、今シーズンの葉物野菜は小松菜を中心に平年より低めの価格傾向です。
また、菜の花などの早春の野菜も例年よりやや早く&安く出回り始めています。
秋の天候が重要な野菜は「安くなる」
冬に出荷される野菜のうち、夏または秋ごろに植えられて、やや時間をかけて成長するものもあります。
夏〜秋の天候とひとくちに言っても地域差があります。たとえば、白菜の主産地である茨城県では、秋に晴れて暖かい日が多かったため生育がよく、続く冬も暖冬傾向で順調に収穫されたので、今シーズンは価格・出荷量ともに安定していて手頃に買いやすくなっています。
また、大根も冬に出荷されるものは関東産が多く、平年並みか少し安い見通しです。
猛暑の影響を受けた野菜は「高くなる」
今の時期に出回っている玉ねぎの多くは、春の終わり頃に北海道で作付けされ、夏の終わり頃に収穫されて乾燥・貯蔵されたものです。
つまり冬に店頭に並ぶものは、夏に北海道で育ったもの。
2023年の夏は全国的な猛暑に見舞われました。特に北海道では記録的な暑さとなり、玉ねぎは平年よりやや高い状態が続いています。
なお、同じく北海道で多く生産され夏の天候が重要な野菜にかぼちゃがあり、かぼちゃも同様に平年より高め。
ただし、かぼちゃはまもなく国産が出回る季節が終わり、これから次の夏にかけて輸入品が多くなるので、日本の天候の影響を受けにくくなります。
一時的な寒波や物価高の影響も
暖冬とはいえ、冬の間ずっと気温が高いまま、ということはまずありえません。
一時的に強い寒気が流れ込む「寒波」はどうしても発生します。
たとえ寒波の影響で野菜が収穫できない時期が発生して価格が上がっても、生育サイクルが早い野菜の影響は一過性で、しばらくすると価格が戻りそうです。
一方、全体的な物価高の影響は避けられず、農業に必要な資材や農機具、燃料、肥料などの値上がりの余波を受けて、生育が順調でも値段が下がりにくい野菜が出てきそうです。
天候に左右されない野菜のレパートリーも持っておこう
きのこやもやし、豆苗など室内で栽培される野菜は天候の影響を受けにくく、1年をとおして安定した価格で手に入れることができます。
そのため、寒波で一時的に野菜の価格が高騰してしまったというときは、価格が戻るまでこういった野菜で乗り切るのもおすすめ。
きのこ・もやし・豆苗は全部まとめて炒めて、塩コショウ、あるいはオイスターソース、中華だしで炒めてもいいですし、このうちどの2つをペアで使っても相性はいいです。
いずれも味噌汁や餃子の具になりますし、豚肉・鶏肉・牛肉のどれと一緒に炒めておいしいので、いざというときのためにレパートリーを用意しておきましょう。
■執筆/植松愛実…身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を発信。また、東北や東海、関西にも住んだ経験から、各地の伝統的な食材にも詳しい。野菜ソムリエ、食育インストラクター、気象予報士など保有資格多数。
編集/サンキュ!編集部
※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。