「炊飯器」が安く買える時期はいつ?家電の専門家が選び方と合わせて解説
2019/05/24
時期によって価格が大きく変動することもある生活家電。家計をやりくりする主婦としては、できればいちばん安いタイミングで買いたいものです。そこで、家電コーディネーターの戸井田園子さんに、家電の種類によって異なる、安く買える時期を解説してもらいます。
今回は「炊飯器」が安く買える時期についてです。
高額・高性能な小容量モデル、銘柄炊き分け――「炊飯器」のトレンドは?
お米の種類によって炊き分けをする機能は以前からありましたが、最近はそれがさらに細分化され、銘柄別の炊き分けに対応する炊飯器も増えてきました。また、3合前後の小容量な「炊飯器」にも高額、高性能なモデルが登場しているのもトレンドのひとつ。
メーカーの選択肢も広がっています。象印、三菱電機、タイガー、パナソニック、日立、東芝といった大手家電メーカーに加えて、アイリスオーヤマ、バルミューダ、バーミキュラ、シロカなど中堅・新興のメーカーが続々と参入。各社とも特徴的な機能を搭載しているので、購入する際には自分にとって必要な機能が何であるかを、しっかりと見極める必要があるでしょう。
「炊飯器」が安く買える時期はいつ?
炊飯器は1メーカーにつき4~6グレード程度展開されるのが一般的。新製品は、毎年6月くらいに各社の最上位モデルが発売され、その後下位モデルも順に登場して、新米が市場に出始める8月ごろにすべてのラインアップが出そろいます。「新米を最新モデルで炊いて食べたい!」というニーズに応えるスケジュールといえるでしょう。
廉価モデルは春の新生活に合わせて発売されることもありますが、大半は上記のスケジュールで市場に投入されます。
そして、新製品の発売に合わせて前年度モデルの価格が底値になります。具体的には、6月以降~前年度モデルが市場からなくなる9~10月くらいまでが底値期間。「炊飯器」は1年に1度新製品が出ますが、毎回フルモデルチェンジするとは限らず、既存モデルに新機能が追加されるケースがほとんど。新機能が自分に必要ないと思うのであれば、このタイミングで買うのがもっともお安いタイミングです。
おいしいご飯へのこだわりが強く「ぜひとも最新モデルを買いたい!」という方であれば、米が「新米」と呼ばれる年内に購入するのがおすすめ。前述のとおり、最上位モデルは6月ごろに発売されることが多く、12月であれば発売から半年くらいは経っているので価格も発売当初に比べれば落ち着いています。
「炊飯器」を買い替えるなら、いつがいい?
「炊飯器」が壊れる兆候は「炊き上がりにムラが出る」「焦げる」「保温時に乾燥しやすくなる」などがあります。このような兆候が出てきたら、買い替えを検討しましょう。
とは言え、「炊飯器」は“突然壊れる”ということがあまりない家電です。仮に突然壊れても、しばらくは外食やお弁当でしのぐことができますし、年間を通じて在庫も安定しているので「買いたくても買えない」ということは、まずありません。
なので、買い替えタイミングは自分にとって必要な時でOK。ただし、ご飯は嗜好が色濃くでるので、せっかく買うなら好みの炊き上がりか否かをしっかり吟味することが大切。量販店で試食イベントが開催されていることもあるので、「そろそろ買い替え時かな?」と思ったら、各社のご飯の食べ比べをしてみるのがおすすめ。あるいは、友人や親戚などに使っている「炊飯器」のメーカーを聞いて、一度食べさせてもらい、好みのメーカーを見つけるのも手です。
「炊飯器」を選ぶときのポイントは?
いよいよ買い替えとなったときは、以下のポイントを押さえて自分に合った「炊飯器」を見つけましょう。
「炊飯器」選びのポイント1:必要な容量を選ぶ
「炊飯器」は2合、3合、5.5合、8.5合、1升炊きなど、複数の容量が用意されています。家族構成や食べる量を目安にしつつ、「朝ごはんの家族分+自分のお昼分+子供のお弁当」のように具体的な活用シーンを思い浮かべて選ぶと、間違いないでしょう。
ちなみに「炊飯器」でおいしく炊くときは、5合炊きであれば4合、3合炊きなら2.5合…といった感じで、最大容量の8割くらいで炊くのがよいといわれています。
「炊飯器」選びのポイント2:「IH」と「マイコン」熱源を選ぶ
炊飯器には「IH」と「マイコン」、2つの熱源があります。
最近の主流であるIHは「電磁誘導加熱(Induction Heating)」のことで、電磁の働きで内釜自体が直接発熱するため、全体にむらなく熱を伝えることができます。火力が強いのも特徴で、高火力で一気に加熱するため、旨味・甘みが最大限に引き出せると人気。IH炊飯器の価格帯は5.5合炊きの場合で2万円台~12万円台と幅広いですが、全体的にマイコン炊飯器よりも高めになります。
一方、ヒーターが釜の底部分にあって、その熱を釜に伝えて炊飯するのがマイコン方式。釜全体が発熱するIH炊飯器に比べると火力は弱めです。小容量の3合炊きにはまだ多くみられますが、大容量のマイコン炊飯器は減少傾向。価格は5.5合炊きで、5千円~1万円台と安価なのが魅力です。
「炊飯器」選びのポイント3:炊飯方式を選ぶ
炊飯方式は、圧力・超音波・スチーム・真空の4つがあり、IH炊飯器では、圧力方式の老舗である象印を始め大半が圧力方式を採用しています。
圧力方式の原理は圧力鍋と同じ。内釜に圧力をかけて高温にすることで熱がお米の芯まで伝わり、ふっくらもっちりとした炊き上がりを実現します。
圧力をベースにほかの方式を併用するメーカーも。パナソニック、日立、アイリスオーヤマなどは圧力にスチームをプラス。東芝は炊飯器内を真空にして炊くという、独自の方式を採用しています。
圧力をかけない昔ながらの炊き方は、しゃっきりした粒立ちで、米自体の味がはっきり出る傾向。バルミューダ、バーミキュラ、シロカなどの新興メーカーは非圧力式が多いです。
「炊飯器」選びのポイント4:炊飯メニュー・機能を選ぶ
最後は炊飯メニュー、機能について。ここでは、とくにニーズが高いと考えられる「炊き分け」「保温」について詳しく解説します。
「炊き分け」は、「白米・玄米・雑穀米」などの米種別はもちろん、「かため・やわらかめ・もちもち・しゃっきり」などの食感別、「おかゆ・すし飯・炊き込み・おこわ」などの調理別、「こしひかり・あきたこまち」などの銘柄別と、さまざまな炊き分けができます。ただしメーカーや型番によって違いがあるので、どんな炊き分けが必要かをしっかりチェックするようにしましょう。
「保温」機能は、大手メーカーの場合は長時間保温できるのが近年の傾向で、24時間~最長40時間できる製品もあります。一方、新興メーカーは保温なしがトレンド。自分に必要なのはどちらなのかを考えて、セレクトするようにしましょう。
そのほか最近の注目としては、タイガーやサンコーなどから低糖質のご飯が炊ける「炊飯器」が登場しています。
メーカー別「炊飯器」の特徴
最後に、主要メーカーの「炊飯器」の特徴(2019年5月時点)も紹介。商品選びや販売店へ行く際の参考にしてください。
象印「炊飯器」の特徴
圧力炊きの老舗メーカー。3つのIHコイルで炎を再現した「舞炎炊き」が話題です。圧力を変えることで細かな炊き分けができる独自技術の「7段圧力炊き」は、炊き分けに幅がでるので、ご家族でいろいろな炊き上がりを望む人向き。
三菱電機「炊飯器」の特徴
本物の炭を使った「本炭釜」で、高額炊飯器のブームをつくったトレンドリーダー的存在。大手で唯一「非圧力」タイプで、しゃきっと粒立ちのよい炊き上がりが得意です。蒸気がでない「蒸気レス」は、妊婦さんからの支持が高いそうです。銘柄炊き分けも搭載。
パナソニック「炊飯器」の特徴
2つのIHコイルを切り替えて対流を起こす「大火力おどり炊き」、加圧と減圧を繰り返す「可変圧力」で炊く「Wおどり炊き」、高温の蒸気で仕上げる独自の炊き方が特徴。米の鮮度により炊き方を変える「鮮度センシング」や、スチームで炊きたてのように温め直す「スチーム再加熱」、「銘柄炊き分け」など多彩な機能が自慢です。
タイガー「炊飯器」の特徴
内釜に土鍋を採用した「土鍋釜」が有名。炊き分けコースに「押麦」と「もち麦」があるなど、麦めしをおいしく炊くのが得意です。低糖質生活を実践できる、専用米「とらひめ」と、専用コース搭載の「炊飯器」も話題。
東芝「炊飯器」の特徴
加圧だけでなく負圧にする「真空技術」が独自の特長。釜内の空気を抜くことで、水が米の中心まで浸み込みやすくなって、ご飯の甘みがアップしたり、真空保存で酸化を抑制でき保温最長40時間でもおいしさキープなど、「真空技術」が随所に生かされています。
日立「炊飯器」の特徴
圧力とスチームで炊くタイプ。少量でもおいしく炊きあがる専用コースや、蒸気がでにくい構造、炊飯時に出る蒸気を逃さず40時間保温でもしっとりを保つなど、トレンド機能を網羅しつつ、手頃な価格なのも人気です。2合炊きモデルを展開されています。
バーミキュラ「炊飯器」の特徴
ホーロー鍋の老舗メーカー、愛知ドビーが手がけたIH炊飯器。土鍋炊きご飯を、火加減を気にせずに手軽に食べられることを目指してつくられました。炊飯だけでなく、無水鍋の料理ができる汎用性の高さも人気。保温機能は非搭載となっています。
バルミューダ「炊飯器」の特徴
二重釜構造の蒸し炊きという新提案のマイコン炊飯器。シンプルな操作性やすっきりしたデザインが、幅広い層に支持を得ています。炊き上がりはやや硬めなので、卵かけご飯やカレーを食べるときにおすすめ。こちらも保温機能は非搭載です。
シロカ「炊飯器」の特徴
炊飯土鍋で人気の長谷園「かまどさん」とコラボしたマイコン炊飯器。多孔質の土鍋の長所を生かすため、IHではなくシーズーヒーターでの加熱にこだわり、本物の土鍋炊飯を電気で実現し、大きな注目を集めています。こちらも保温機能は非搭載。
アイリスオーヤマ「炊飯器」の特徴
人気の機能を手軽な価格で提供してくれる注目メーカー。仙台の企業らしく、お米販売で培った銘柄別の炊き分け機能に力を入れています。炊飯器部分と熱源部分が分離でき、熱源部分を卓上IHコンロとしても使えるという、ユニークな製品も展開。
◆監修・執筆/戸井田 園子
性能・コスト・デザインなどを総合的に判断し、製品選びに役立つ情報を発信する家電コーディネーター。総合情報サイトAll Aboutの家電ガイドを始め、雑誌、テレビ、ラジオなど数多くのメディアで活躍中。