じつはおすすめできない!?玉ねぎのNGな食べ方を野菜のプロが解説!
2024/10/10
血液をサラサラにしたり胃の機能を守ったりと、健康効果が多い玉ねぎ。医師にすすめられて積極的に食事にとり入れている人もいると思いますが、もしかしたらせっかく健康のために食べているのに意味のない食べ方をしていまっているかも!?
今回は、野菜ソムリエ・食育インストラクター・気象予報士として活躍する植松愛実さんに、やってしまいがちな玉ねぎのNGな食べ方と解決策を教えてもらいます。
血液サラサラを目指すなら…「しっかり加熱して食べる」はNG
玉ねぎには、血液をサラサラにして、血栓ができるのを防いだり、動脈硬化を防いだりする栄養がある、と聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。「硫酸アリル」と呼ばれる栄養素なのですが、じつはこの栄養素は熱に弱いという性質があります。
そのため、血液をサラサラにするために医師にすすめられるなどして玉ねぎを食べる場合は、炒めたり煮たりして加熱を加えて食べるのはNG。目安としては、玉ねぎの甘みが出るほどしっかり加熱すると、せっかくの効果がかなり減ってしまう、と考えてください。
さらに、「硫酸アリル」は水に溶けだしやすいという性質もあるため、水に長時間さらすのもNGです。ただ、何もせず生のまま食べるのは大変なので、スライスやみじん切りにしてから15分ほど放置して空気にさらすと、辛味が抑えられて食べやすくなります。
なお、「硫酸アリル」には揮発性(空気中に蒸発する性質)もあるため、15分を超えて長時間放置するのも避けましょう。辛味が多少残ってしまう場合は、ドレッシングなどの油分や酸味のある調味料を加えることで、辛味を感じにくくすることができます。
胃の調子を整えるには…「生で食べる」はNG
じつは、玉ねぎを生で食べるのが向かない場合もあります。玉ねぎには胃の調子を整えてくれる効果もあるのですが、この効果を持った栄養素(「プロピルメルカプタンと」言います)は、加熱しないと現れないのです。ちなみにやや専門的な話ですが、さきほどの「硫酸アリル」が加熱によって「プロピルメルカプタン」に変化します。
そのため、胃の調子を整えたい!と思って玉ねぎを食事にとり入れる場合は、生で食べるのはNG。辛味を感じなくなるくらいまでしっかり加熱してから食べましょう。
ただ、「プロピルメルカプタン」もじつは水に溶けやすい性質があるため、水を使う料理にする場合は煮物ではなく、飲み干せる程度の薄い味つけのスープなどにして、丸ごといただくのがおすすめです。
目的にあわせて玉ねぎの豊富な栄養をとろう!
玉ねぎには、今回紹介した栄養素だけでなく、ビタミンやポリフェノール、オリゴ糖など多岐にわたる栄養素を含んでいます。それぞれの栄養素には、熱に弱かったり水に溶けやすかったりなど弱点もありますが、どんな調理法であっても何かしらの栄養素はちゃんと残っているので、とくに気にせずにさまざまな食べ方で楽しんでいただければ大丈夫です。
ただ、特定の効果を期待して玉ねぎを摂取する場合は、目的にあわせた食べ方でないと、せっかくの効果を逃してしまうことに。そのため、ぜひ今回紹介した調理法を参考にして、健康に役立てながら玉ねぎを味わってください。
■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。
編集/サンキュ!編集部