トマトを生だけで食べるのはもったいない!じつは逃している栄養素と解決策を野菜ソムリエが解説
2024/10/26
年間をとおして食卓に登場し、サラダやつけ合わせに大活躍のトマトですが、じつは生で食べているとほとんど吸収できない栄養素があるのをご存じでしょうか。とはいえ、いくら加熱がおすすめと言われても、「トマトのビタミンって加熱すると壊れるのでは?」と思う人もいますよね。
今回は、野菜ソムリエ・食育インストラクター・気象予報士として活躍する植松愛実さんに、トマトの栄養についてわかりやすく解説してもらい、「もったいない」食べ方を避ける方法を教えてもらいます。
最重要の栄養素!?リコピンまでの壁が厚い
トマトにはビタミンCやβカロテン、カリウム、食物繊維などさまざまな栄養素が含まれていますが、なかでも注目されているのがリコピンです。抗酸化作用があり、美肌づくりにはもちろん、生活習慣病の予防にも効果があるとされています。
リコピンはもちろんトマトだけに含まれる栄養素ではなく、スイカや金時人参、パパイヤ、マンゴーなどにも含まれていますが、スイカは夏しか食べない人が多いと思いますし、金時人参やパパイヤを日常的に食べる人もあまりいないと思いますので、トマトから摂取するのがいちばん現実的。つまり、リコピンはトマトを食べるうえでぜひとも摂取したい「最重要」の栄養素なのです。
ところがこのリコピン、生でトマトを食べるだけでは、ほとんど吸収することができません。というのも、リコピンを守っている細胞壁(さいぼうへき)はかなりしっかりしていて、ふつうに包丁で切ったり、歯で噛み切ったりした程度では壊れないのです。そのため、トマトを食べてリコピンを摂取するには、こまかくすりおろすか、加熱する必要があります。
トマトを加熱したら栄養は壊れないの?
トマトを加熱する必要性はわかったけど、加熱してしまったらビタミンなどほかの栄養素が壊れるのでは?と思うかもしれません。実際、ビタミンCに関しては、やはり加熱によりある程度壊されてしまいます。
しかし、そもそもビタミンCはほかの野菜やフルーツからもとることができますし、ビタミンのなかでもβカロテン(人の体内でビタミンAとして働きます)は加熱ではあまり壊れないため、トマトを加熱調理しても摂取することができます。
そのため、トマトは加熱して食べるのがおすすめ。もちろん生で食べる日があってもかまいませんが、毎回生だけで食べるのではなく、ときどき加熱して食べる機会を作ってみてください。
トマトのすごい栄養を逃さない!野菜ソムリエおすすめのコツ
ここまで、トマトに含まれるリコピンを摂取するためには加熱を!ということを解説してきましたが、トマトの豊富な栄養素をできるだけたくさんいただくために、ほかにもコツがあります。
まずは、βカロテンの吸収をよくするために、できれば油を一緒に使って調理しましょう。炒め物なら当然油を使うことが多いと思いますが、スープにする場合も、最後の仕上げにオリーブオイルやゴマ油などをひと回しするのがおすすめ。風味もよくなって一石二鳥です。
また、トマトを加熱して食べる際、皮を取り除くパターンもあると思いますが、できれば皮ごと食べましょう。リコピンやβカロテンは、皮との境目や皮そのものに多く含まれているため、皮を除いてしまうとかなりの栄養素を捨ててしまうことになります。
トマトは生だけじゃもったいない!上手に栄養をいただこう
トマトは非常に身近な野菜であるにもかかわらず、驚くほどさまざまな栄養素を含んだ野菜です。ぜひ今回解説したコツをおさえて、栄養をあますことなくいただいて、おいしくかしこく活用したいですね。
■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。
編集/サンキュ!編集部