高橋真麻さん「[他人と自分を比べる癖]を断捨離。そこから今の私が生まれました」

2021/10/25

■高橋真麻
フリーアナウンサー。1981年、東京生まれ。大学卒業後、フジテレビジョンにアナウンサーとして入社し、バラエティや報道番組などを担当。入社10年で独立しフリーに。現在のレギュラーは『スッキリ!!』のコメンテーターや『バイキングMORE』、『ソレダメ! 〜あなたの常識は非常識!?』など。特技は歌を歌うこと。1歳の女の子の母

■やましたひでこ
断捨離®提唱者。1954年、東京生まれ。子育てや介護を経験した後、ヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」から着想を得た「断捨離」理論を構築。BS 朝日『ウチ、〝断捨離〞しました!』(毎週月曜夜8時)にレギュラー出演中。著書に『モノ・人・心の悩みが消えていく 断捨離道場』(講談社)など。

物が増えるのは自然現象。いちばん大事なのはそれを放置しないこと

【ひでこ】連載第5回ではお父上の英樹(俳優の高橋英樹)さんをお招きして、30トン以上断捨離された話を伺いました。きっかけは真麻さんなのですよね。

【真麻】そうなんです。元々両親ともに、1つ買えばすむのに予備をいくつも買うタイプ。それで家じゅうに物があふれているのが子どものころから嫌で嫌で。せめて自分の部屋だけはスッキリさせたくて、小まめに片づけてました。

【ひでこ】ご両親が反面教師になって、真麻さんは物の量に敏感になったのですね。

【真麻】はい。それに私は一人娘なので、両親が還暦を過ぎてからは「パパとママに何かあったときに、あの大量の物を私1人で管理するなんて無理!」と思うようになって。それで、元気なうちに自分たちで整理してほしいと頼みました。

【ひでこ】シニアは物を捨てることに抵抗がある世代。見事に大断捨離を果たした英樹さんとお母様はご立派ですね。

【真麻】ただ最近、リバウンドしてきているみたいで……。
実家に帰るたびに物が増えているんです。

【ひでこ】あのね、リバウンドするのは当たり前なんですよ。
なぜなら、物が増えるのは自然現象だから。冬が来ると並木道に落ち葉がたまるのと一緒ね。

【真麻】わ、そのたとえ、わかりやすいです! 葉っぱが落ちるのは防げないですもんね。

【ひでこ】そう。だからリバウンドを怖がる必要はありません。
ただし大事なのは、何年も放置しないこと。落ち葉も放っておくとこびりついて、簡単には取り除けなくなるでしょう? だから、ときどきは大きな断捨離をしないとね。

【真麻】納得。さっそく父と母に話してみます!

家族に物を減らしてもらうには、まずは自分の物を減らすことから

【ひでこ】真麻さんご自身の住まいはどうですか?

【真麻】私は物が増えてきたなと感じたら、ストレス発散を兼ねて断捨離しています。ただ、リビングなどの共用スペースには夫の物もあるので、自分の思い通りには片づけきれないときもあります。私から見ると不要な物なのですが、勝手に捨てるわけにはいかないし……。

【ひでこ】どんなに愛し合っている家族であろうと、残念ながら、他人の物はじゃまに見えるものよね(笑)。

【真麻】ひでこ先生がおっしゃる通りです! うちの夫はときどき、私の趣味とは違うアートやオブジェを買ってくるんです。夫の部屋に置くぶんにはいいけれど、突然リビングに飾り始めることもあって、「お願いだからやめて~!」と頭を抱えたくなります……。

【ひでこ】人間にはね、相手を支配したいという潜在意識があるんです。だから同じ空間を他人と共有すると、つい縄張り意識が働いてしまうの。

【真麻】わかります。会社で、隣の席の人のデスクの上の物が自分のデスクにはみ出してくると、無性に気になってしまうのと同じですね。

【ひでこ】そう。解決するにはどうしたらいいかというと、真麻さんがひたすら自分の物を減らして、スッキリした空間の心地よさを旦那さんに体感してもらうこと。すると旦那さんも影響を受けて、片づけるようになるはずですよ。

【ひでこ】なるほど。断捨離する頻度をもう少し増やしてみます!

初めての彼氏からの贈り物がきっかけで、断捨離習慣がスタート

【ひでこ】子どものころから片づけが習慣だったということは、断捨離に目覚めたのも早かった?

【真麻】いえ、10代、20代の頃はあれもこれも欲しくて、それなりにため込んでました。ただ20代で初めて彼氏ができて、その彼から指輪をもらったら、それまで持っていたいろんな指輪が何の価値もなく思えて(笑)。イヤリングもバッグも彼からもらった物しか使わなくなったんです。

【ひでこ】いちずで可愛い〜! 「今の自分に必要な物だけを選ぶ」というのが断捨離の基本の考え方だけれど、そのときの真麻さんにとっては判断基準が「彼からもらった物かどうか」だったのね。ちなみに彼とお別れした後、その物たちは?

【真麻】全部手放しました(笑)。

【ひでこ】大正解! 人生のステージが変わったら、持ち物も入れ替わって当然。

【真麻】今思えば、あれが初めての断捨離だったかもしれません。そのあたりから「物に執着するのって意味ないな」と思うようになって、定期的に断捨離するようになったのですが……。

「人と比べてしまう私」に苦しんだ女子アナ時代

【真麻】なかなか手放せなかったのが、人と自分を比べてしまう癖でした。
同期や後輩のアナウンサーと私を比べて、「あの人のほうがいい仕事をもらってるのはなぜ?」みたいにいら立ったり落ち込んだり。美しい人や聡明な人もたくさんいますしね。

【ひでこ】それはつらかったですね。

【真麻】暗黒時代でした。それで、どうしたら自分を認めてもらえるのか考え抜いた結果、「私は三枚目キャラでいこう」と決めたんです。開き直って頑張っていたら、
30歳を過ぎた頃にそのキャラが確立してきて、そしたら、自分と人と比べる癖が消えたんです。「私は私」と思えるようになって、そこから心が軽くなりました。

私はネガティブで神経質なところもあって、20代の頃は特にピリピリしていたのに、
今は信じられないくらい大らかです。よくもこんなに変われたなぁ……。

【ひでこ】うーん、それって「変わった」のかしら? 
断捨離でいろいろな物を引き算した結果、本来の自分を取り戻す人は多いのよ。
真麻さんは、元々おおらかな性格だったのでは?

【真麻】あ……確かに。子どものころはのびのび自然体でひょうきんな性格だった記憶があります。ただ、成長するにつれて「私のせいで父の名前に傷がついてはいけない」と自分を抑えるようになって。何かを選択するときはいつも「父に迷惑がかからないかどうか」が基準でした。

でも、30歳を過ぎてやっと自分のアイデンティティーが見えてきて、
生まれて初めて「自分の人生を歩いている」という実感を得られるようになったんですよ。

【ひでこ】隠れていた「自分軸」が出てきたのですね。
他人の評価や世間からどう見られるかという「他人軸」を基準に生きていると、
いつのまにか「自分軸」を見失ってしまうんですよ。

【真麻】それはまさに暗黒時代の私……。

【ひでこ】そう。でも、真麻さんは断捨離をする人。
習慣的に物を断捨離することで、物を通して自分と向き合うことにつながり、
「自分軸」を構築するレッスンになったわけ。
つまり真麻さんは断捨離を続けるうちに、だんだんと「自分軸」を取り戻していったのではないかしら?

【真麻】なるほど! 「自分軸」が基準になれば、他の人を気にすることないですもんね。

【ひでこ】真麻さんは他人軸という基準を断捨離して本来の長所を取り戻し、
おおらかで楽しいキャラクターで多くの人に愛されている。
「捨てると得られる」という「断捨離あるある」を、身をもって実現されたのですね。

【真麻】断捨離って部屋だけでなく生き方も変えるんですね。
深いです……!

 
 

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