体を動かしながら、英語を楽しく身につけるコツ
2022/01/22
映像教材に合わせて歌ったり、ダンスをしたりと、英語を楽しんでいる様子のうちの子。でも、これだけで英語の力はついてるの?と思うことはありませんか。実は、3・4歳児にとって、英語を学習するうえで体を使って楽しむことは重要なのです。体で英語を吸収することの大切さを、アレン玉井先生にうかがいました。
<お話をうかがった先生>アレン玉井光江先生
教育学博士。青山学院大学文学部教授。日本児童英語教育学会会長。専門分野は児童英語教育と第二言語習得について。著書は『小学校英語の教育法』(大修館書店)など。
※取材時の情報です。
体・手指を動かしながら、英語を楽しく身につけよう
3・4歳は五感を使って物事を理解している時期なので、 体を使うことで英語を自然に身につけやすくなります。つまり英語学習を手遊びやダンス、絵本のしかけ遊びなどを通して行うことは、幼児にとってとても有効なのです。
1 歌や節にのせたり、身振り・手振りを交えて五感を刺激していきましょう
大多数のお子さんは歌が好きです。アレン先生が実際に3歳くらいの子どもたちに英語の本を読むとき、英語に節をつけて読んだり、少しミュージカル風にしたりすると、とても喜んで聞き、内容の理解にもつながっているそうです。歌や節にのせることで、言葉だけを聞くとき以上により深く、大きな刺激を受けるのでしょう。
また、言葉は動作を伴うと記憶に残りやすいと言われています。おうちのかたがお子さんに英語を語りかけるときに、歌や節にのせる、身振り・手振りをしてみるなど、少しミュージカル気分で楽しんでもいいでしょう。
2 体でリズムを感じ取り、英語を徐々に吸収していきます。 少々の間違いは気にしなくてOK!
英語には、日本語にはない独特の音の強弱がありますが、幼児はそれを体でリズムをきざみ、吸収していきます。そして、正しい発音ではないものの、英語のリズムをまねして「言えてる!」と思うところがあります。そういうとき、「間違っているよ、正しいのは…」などと、おうちのかたが間違いを正すことは避けましょう。英語に取り組む中で、子ども自身が「あ、間違っていた」と気づいて修正していきますから、英語のリズムを楽しんでいる時期として、おうちのかたは余裕をもって見守ってあげてくださいね。
3 絵本で行う手指の動作をほかの場面にも広げていきましょう
絵本のしかけ遊びやスティッカー貼りなどの手指を使う動作は、「自分で何かを動かせる」 という点が子どもにとっては楽しいのでしょう。例えば、“open/shut”の扉状のしかけの場合なら、開けたり閉めたりという動作を楽しみながら理解していきます。
また、このような絵本の中の動作をほかの場面にも広げられると、より言葉の理解が深まります。3・4歳頃は全身を使う大きな動作を好むので、“open/shut’'の例で言えば、絵本の表紙を開けたり閉じたり、部屋のドアを開けたり閉めたりなど、生活の中でのより大きな動作に英語を取り入れてみてください。子どもは実際に言葉を使いながら理解していくものなので、動作を表す英語は動きもいっしょに体験させてあげましょう。
体を使った遊び、「こんなとき」の関わり方
体を使った英語の遊びで「もじもじしている」、「自己流でやってしまう」というときなどは、どうすればいいでしょうか。
こんなとき1 恥ずかしがって、英語に合わせて動こうとしませんし、ダンスもしようとしません
【無理じいはせず、「英語は楽しいもの」という雰囲気にすることがポイント】
とくに小さなお子さんなら、そのときの気分や興味によって、やったり、やらなかったりは、よくあることです。
無理に体を使った英語遊びをさせようとすると逆効果で、英語が嫌いになってしまうかもしれないので、大好きなおうちのかたが英語で遊んでくれるという楽しい雰囲気にしておくことがポイントです。そして、「(映像教材の中で)いっしょに踊ろうって言ってるよ。◯◯ちゃん、やってみようか?」というように、日本語でいいので、体を使った英語遊びの土台作りをしてみましょう。
また、お友だちやきょうだいが近くにいる場合は、いっしょにやることで、恥ずかしがらずに自然と体を動かせるきっかけとなることもあるのでオススメです。
こんなとき2 ダンスに夢中になるあまり、指示を聞かずに自己流で踊ってしまいます
【「そんなふうにダンスするなんてすごいね!」とほめてあげて】
英語の歌の振りつけを自己流にやっているのは、自分なりの解釈を示しているのかもしれません。指示を聞いていないように見えるかもしれませんが、何度か見て、聞いていくうちに真似ができるようになるでしょう。自己流のダンスは、英語を体感し、獲得していく1つの過程かもしれません。
「へぇー、そんなふうにダンスするなんてすごいね!」と、ぜひ、ほめてあげてください。間違えているところがあっても、あえて間違いを指摘する必要はありません。気になるようであれば、さりげなく正しいものをやってみせるなどしてもいいでしょう。
体を使った英語の遊びを親子の時間に取り入れる3つのコツ
(1)お子さんが楽しそうに英語に取り組んでいるとき、その様子を見守りましょう。家事をしながら横目で確認するだけでもかまいません。まずはお子さんの興味のあるところを知ることから始めましょう。
(2)お子さんが興味のあるところがわかったら、おうちのかたがリラックスできる時間に、2・3分でもいいので、親子で英語を再現してみます。短い歌をいっしょに歌う、ジェスチャーをつけて英語を言うなど、体を使って楽しく取り組めば、盛り上がるうえにお子さんの理解の助けにもなりますよ。
(3)英語の本や映像教材を、生活の中で再現していくことを習慣にしていき、お子さんと過ごす豊かな時間の一部に英語を取り入れていけると、お子さんの英語の理解がぐっと深まるでしょう。
参照:〈こどもちゃれんじ English〉