人間の健康には“性差”があることを認識することが、快適で幸せな社会へのスタート地点 ~連載「はじめよう!フェムテック」vol.13

2022/02/15

2021年10月26日(火)から、ニッポン放送でスタートした番組『はじめよう!フェムテック』(毎週火耀~木曜 午後7時53分~58分頃)。ベネッセコーポレーションとかます東京の共同企画で、今、社会的なムーブメントになりつつある「フェムテック」を、さまざまな角度から取り上げています。パーソナリティーは、おなじみの伊久美亜紀総編集長と東島衣里アナウンサー。この連載では、毎週オンエアされた3回分の内容を、ギュッとまとめてお伝えします。

●パーソナリティー

伊久美亜紀 Aki Ikumi
大学卒業後、出版社3社の編集部を経て、1995年ベネッセコーポレーションに入社。『サンキュ!』編集長を長く勤め、現在はK&Fメディア総編集長として『たまひよ』『サンキュ!』『いぬのきもち』など年間約100冊の雑誌・書籍・絵本の編集責任者を務める。バツイチ29歳の長女一人。

東島衣里 Eri Higashijima
長崎県出身。大学卒業後、ニッポン放送に入社。現在は「中川家 ザ・ラジオショー」(金 13:00~15:30)、「サンドウィッチマン ザ・ラジオショー」(土 13:00~15:00)などの番組を担当する。最近、女性の健康、そして幸せについて友人と語り合うことが多くなった31歳。

●ゲスト

掛水久美子さん Kumiko Kakemizu
株式会社ツルハグループマーチャンダイジング マーケティング部長
大学卒業後大塚製薬に入社、医薬品情報担当者(MR)や香港大塚勤務を経て大豆関連商品の担当に。ソイジョイや40代以降のゆらぎ世代女性の健康・美容のサプリ「エクエル」のブランディングに携わる。その後転職し、ドラッグストアチェーンツルハグループで、顧客データの活用やお客様との接点であるアプリを使った施策の検討をしている。また、2歳8カ月のお子さんをもつワーキングママでもある。


まだまだ認知度の低い「フェムテック」を推進して、女性だけでなく社会全体の幸せを目指したい!という意気込みでスタートした番組の第13週。ゲストは、株式会社ツルハグループマーチャンダイジング マーケティング部長の掛水久美子さんです。「掛水さんは、フェムテックの商品開発に、まさに最前線で取り組んでこられたかた! その経験と客観的な視点で語られる“人間の健康”についてのお話が、とても興味深かったので、この番組でもご披露していただきたいと思っていました」(伊久美)

【Talk 1】

■東島アナ「大塚製薬時代には、まさにフェムテックの人気商品であるエクオールのサプリ“エクエル”の開発に携わられていた掛水さんですが、フェムテックの課題についてどのようにお考えですか」

■掛水「フェムテックという言葉が、流行っていくことには賛成です。言いやすくて格好いい響きですし、まだ知らない人には“何だろう?”って興味を持ってくれるきっかけになってくれるといいですよね。ただ、現状は吸水ショーツや月経周期アプリなど、物やサービスばかりが注目されていますが、本当は“なぜその商品が必要なのか”を、多くの人に知ってもらうことが、重要だと思っています」

■伊久美「掛水さんの考え、まさにこの番組が目指していることと同じです!フェムテックの商品やサービスだけではなく、その裏側にある“社会の幸せにつなげていこう”というメッセージを伝えています」

■掛水「前職で女性の健康と美をサポートする“エクエル”という商品の担当をしていたときに婦人科の先生に伺ったお話なのですが、健康という意味が女性と男性では違う、ということを認識してがくぜんとしました。私自身がそこから考え方が変わったので、まずは“性差”を理解することが必要だと思います」

■東島アナ「男女の性差はわかっていますが、健康を考えるときに男女の違いを、意識していないかもしれませんね」

■掛水「女性の健康って、女性ホルモンの影響による“ゆらぎ”というものがあります。決して気分でゆらいでいるのではなく、ホルモンのバランスでゆらぎたくないのにゆらいでしまう。すごく気分のいいときと、なんかモヤモヤして落ち込みやすいときが周期的にやって来るのですが、それはその人の性格によるものではなく、ホルモンの影響によるものというのは事実なんです。そして、フェムテックの商品やサービスは、その“ゆらぎ”を少しでも小さくするために必要なものも多くあります」

■伊久美「“ゆらぎ”という言葉は、女性にはしっくりくると思うし、知っておくだけで、自分自身の体調や感情をコントロールしやすくなりますよね。男性には理解しにくいと思いますが、女性という生物には“ゆらぎ”があるということを覚えていただきましょう~」

【掛水 Voice 1】

社会全体で、生物学的に女性には女性ホルモンによる“ゆらぎ”が起こりやすいことを認知する

人間の“性差”については色気のある話題として取り上げられがちですが、健康を考える上で、もっと生物学的な機能の違いを、一つの知識としてドライに扱うべき。そして女性にはホルモンバランスの影響で“ゆらぎ”があることを男性にも知ってほしい。“ゆらぎ”を軽減するためには、女性自身だけでなく、男性ならではの視点や技術が必要だと思います。

【Talk 2】

■東島アナ「今夜、掛水さんにお伺いしたいのは、“働く女性と企業”についてです。年々、女性は働きやすくなっていると思われますか」

■掛水「働きやすさって、男性と女性で基準が違うと思います。女性には“ゆらぎ”がありますから、そのことを前提に考慮した上で、会社のルールづくりにも反映してほしいなぁと思います」

■伊久美「まだまだ、ルールを決めている管理職の人たちは圧倒的に男性が多いですよね」

■掛水「ルールづくりの場に女性を入れていくということも大切ですし、一方で、男性が持っている経験値や知識を生かす必要性もあると思います。なので、男女で女性の健康や“ゆらぎ”について一緒に考え議論して、ルールに生かしていくべきかなぁと思います」

■東島アナ「組織のルールをつくる時に、働き方を測る指標がないという難しさがありますが、それはどのようにクリアしていけばいいと思われますか」

■掛水「男性と女性が同じように働くことは、健康の基礎が違うので無理だと思います。違いをお互いに認識して、それぞれのよさを活かせるようにすることが重要ですね。“女性ばかりをえこひいきしている”といわれがちですが、そうではない。まずは女性の健康を男性に理解してもらうことで、少しずつ底上げしていきたいです」

■伊久美「“性差”について考えるというのは、あくまでも“男女平等”というのが前提ですよね。この話題、まだまだ課題がありそうですが、一歩一歩進んでいきましょう」

【掛水 Voice 2】

企業のルールづくりをする管理職には、女性の体と健康についてのインプットが必要

年々、働く女性は増えています。昨今、女性の働きやすさが重視される風潮になってきていますが、働きやすさの定義は明確になっていません。経営者の喫緊の課題として、“女性管理職が少ない”“若手がすぐ辞めてしまう”という現状があります。その原因について、今こそ真剣に向き合うべき。社会全体で、女性に起こるライフイベントを鑑み、女性の健康について学べば、なにか調整できることが見えてくるはずです。ちょっとした工夫で、仕事も人間関係も、円滑に乗り越えられる場面が増える気がします。

合言葉は「はじめよう!フェムテック!!」

●次週のゲストは、フードスタイリストのマロンさんです。


【番組インフォメーション】
『はじめよう!フェムテック』は、毎週・火曜日~木曜日、19時53分~57分の番組です。火曜日:ニッポン放送をキーステーションに、全国19局ネット、水曜日・木曜日:ニッポン放送をキーステーションに全国27局ネット、で放送中。聴き逃したかたは、お住まいのエリアのradikoでもお聴きになれます!


●記事まとめ/板倉由未子 Yumiko Itakura
トラベル&スパジャーナリスト。『25ans』などの編集者を経て独立。世界を巡り、各地に息づく心身の健康や癒しをテーマとした旅企画を中心に、各メディアで構成&執筆。イタリア愛好家でもある。伊久美さんとは27年来の付き合い。https://www.yumikoitakura.com/

●撮影/寿 友紀

 
 

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