「高みの見物」はどう使う? よく使う日本語の正しい使い方と間違った使い方を解説
2022/04/19
日常生活やビジネスで使う日本語、正しく使えているか不安なことってありませんか?よく調べないまま使っていると、間違った使い方をしているかもしれません。
多くの人が意味をよく理解せずに使っている言葉がけっこうあるので、注意が必要です。
意味を間違えやすい日本語の言葉や言い回しについて、国語科教員免許を持つライターのdanngoさんが解説します。
「高みの見物」の意味とは?
「高みの見物」という言葉は、「第三者の立場から物事を眺める」という意味を持つ言葉です。
「高み」というのは「高いところ」という意味のある言葉。
「高みの見物」は、もともと見晴らしのよい高い場所から下の様子を見物することをあらわしていました。
転じて、「直接関係ない立場からなりゆきを見ること」という意味になったとされています。
「高みの見物」の正しい使い方、例文は?
「高みの見物」という言葉は、自分に直接関係ないことを第三者の立場から気楽に眺めることをさします。
具体的には、こんなふうに使うといいでしょう。
・彼は2人の争いに関与せず、高みの見物をきめこんでいる。
・自分の出番は終わったから、他の出演者の様子を高みの見物といこう。
目上の人に使ってもいい?だめ?
「高みの見物」は目上の人に使うことはひかえたい表現です。
「余裕のある立場からものごとに関与せず傍観する」という意味があるため、「気楽な身分ですね」「お暇ですね」と皮肉を言っているようにとられやすいです。
たとえ悪気がなくても、誤解される可能性があるのでやめておきましょう。
「高みの見物」の注意したい使い方
「高みの見物」の「高み」は見晴らしのよい高い場所をあらわしています。そのため、「高見」と書くのは誤りです。
また最近よく見られる、「自分には関わりのない問題を上の立場から見下して茶化す」というニュアンスは本来持たないので注意しましょう。
したがって、以下のような使い方は公の場でしないでください。
・あいつ告白してふられたらしいな。彼女持ちの俺は高みの見物だ。
・同僚の山本は資格試験に落ちたらしい。私は去年受かったから高みの見物してやろう。
みなさんは「高みの見物」という言葉を正しく使えていましたか?
世代間で理解度に差があることも多いので、年の離れた人に対して使う時は特に気をつけましょう。
ただ、間違って使われているうちに言葉の意味が少しずつ変わっていく可能性もあります。
正しい意味を理解したうえで、相手が間違って使っている時は柔軟に受け入れるのが大人の対応かもしれませんね。
◆記事を書いたのは・・・ danngo
国語科教員免許と漢検準一級を持つ、アラフォーの 主婦。二児の母で、子育て関連の記事を書くのが得意です。本を読むのが大好きですが、一度読み始めると家事がおろそかになってしまうのが悩み。子どもの遊び相手をすると本気になりすぎて怒られ、家事は手抜きになる一方です。甘いもの、日本の古いものをこよなく愛しています。