「お陰様で」はどう使う?よく使う日本語の正しい使い方と間違った使い方を解説
2022/03/14
日常生活やビジネスで使う日本語、正しく使えているか不安なことってありませんか?よく調べないまま使っていると、間違った使い方をしているかもしれません。
多くの人が意味をよく理解せずに使っている言葉がけっこうあるので、注意が必要です。
意味を間違えやすい日本語の言葉や言い回しについて、国語科教員免許を持つライターのdanngoさんが解説します。
「お陰様で」の意味とは?
「お陰様で」の「陰」はもともと「光や風が当たらないところ」をあらわす言葉でした。
そこから「かばい守ってくれること」という意味ができたのです。「お陰」だけだと「人から受ける恩恵」のことを指します。
相手への敬意をしめす「様」をつけて「お陰様で」となると、相手の親切や厚意に感謝する言葉となります。
ですから、「お陰様で」という言葉は、相手が自分に対してなんらかの手助けをしてくれたことに感謝の意を示すときに使います。
また、直接恩恵をこうむっていないときでも、気にかけてくれたことに感謝する気持ちを表すこともできます。
具体的には、以下のように使うといいでしょう。
・お陰様で、ご助言をたまわった先月の企画は好評を得ております。
・お陰様で、大きな病気をすることもなく勤続十周年の年を迎えることができました。
目上の人に使ってもいい?だめ?
「お陰様で」は相手の協力や心遣いなどに対して感謝の気持ちをあらわす丁寧な言葉なので、目上の人に使うことができます。
なお、文面で「お陰様で」と書くとかたい印象を与えそうなときは、ひらがなを多く使って「おかげ様で」と書いてもかまいません。
間違いやすい「お陰様で」の誤った使い方
「お陰様で」は相手の配慮や協力によってよいことが起こったときに使います。したがって、あまりよくないことが起こっているときに使うと失礼な表現になってしまいます。
・お陰様で、発売いたしました商品は競合会社の新商品に押され気味です。
・お陰様で、毎日目が回るようにいそがしく体調を崩しがちです。
以上のような表現では、嫌味を言っていると受け取られかねないので注意しましょう。
「お陰様で」を使うときは、文章中にネガティブな要素を入れないようにするのがポイントです。
みなさんは「お陰様で」という言葉を正しく使えていましたか?
世代間で理解度に差があることも多いので、年の離れた人に対して使うときは特に気をつけましょう。
ただ、間違って使われているうちに言葉の意味が少しずつ変わっていく可能性もあります。
正しい意味を理解したうえで、相手が間違って使っているときは柔軟に受け入れるのが大人の対応かもしれませんね。
◆記事を書いたのは・・・ danngo
国語科教員免許と漢検準一級を持つ、アラフォーの 主婦。二児の母で、子育て関連の記事を書くのが得意です。本を読むのが大好きですが、一度読み始めると家事がおろそかになってしまうのが悩み。子どもの遊び相手をすると本気になりすぎて怒られ、家事は手抜きになる一方です。甘いもの、日本の古いものをこよなく愛しています。