「いやいやする」……は誤用!「やぶさかでない」の正しい使い方と間違った使い方を解説

2022/02/28

日常生活やビジネスで使う日本語、正しく使えているか不安なことってありませんか?よく調べないまま使っていると、間違った使い方をしているかもしれません。

多くの人が意味をよく理解せずに使っている言葉がけっこうあるので、注意が必要です。

意味を間違えやすい日本語の言葉や言い回しについて、国語科教員免許を持つライターのdanngoさんが解説します。

国語科教員免許と漢検準一級を持つ、アラフォーの主婦でライター。二児の母で、子育て関連の記事を書くのが得意です...

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「やぶさかでない」の意味とは?

「やぶさかでない」という言葉は、「努力を惜しまない」という意味を持つ言葉です。

「やぶさか」という言葉は漢字で「吝か」と書きます。けちなことをあらわす「吝嗇(りんしょく)」という言葉に使われる字で、「おしむ」という意味を持ちます。

辞書的には「物惜しみすること」「思い切りが悪いこと」という意味があります。

基本的に「~にやぶさかでない」の形で使われ、「よろこんで~する」「こころよく~する」といったニュアンスで使われます。

「やぶさかでない」の正しい使い方、例文は?

父と母の養父子
takasuu/gettyimages

「やぶさかでない」という言葉は、相手からの要望などに対して「よろこんで引き受けたい」という気持ちを伝えるときに使います。

具体的には、こんなふうに使うといいでしょう。

・さきほどいただいた修正案、検討するにやぶさかではありません。
・先生からのご指示なら、やりとげることにやぶさかでないでしょう。

目上の人に使ってもいい?だめ?

「やぶさかでない」という表現は相手から言われたことを快諾するときに使うため、目上の人にも使えます。目上の人に何か頼まれたときに使いましょう。

似たような文脈で使う「まんざらでない」は「悪くはない」というやや消極的なニュアンスを含むため、目上の人相手に使うのは適当ではありません。

「やぶさかでない」のほうが積極的に取り組む姿勢をしめすことができます。

間違いやすい「やぶさかでない」の誤った使い方

怠惰な事務員が勤務時間中にスマート フォンでモバイル ゲームをプレイします。彼の仕事を避ける、足と靴下のテーブルの上を怠けています。役に立たないリラックスできる男は何をやっていると彼の仕事を忘れています。
Tero Vesalainen/gettyimages

「やぶさかでない」という表現は否定語をふくむため、ネガティブな言い方だと誤解されやすくもあります。

そのため、「仕方なく~する」「いやいや~する」という意味で使われることがありますが、言葉の意味から考えると間違っています。

したがって、以下のような使い方は誤りです。

・今日は大雪で出かけるのがやぶさかではないけれど、大事な用事だから行くよ。
・彼は押しの強い彼女に根負けして、つき合うことにやぶさかでない様子だ。

みなさんは「やぶさかでない」という言葉を正しく使えていましたか?

世代間で理解度に差があることも多いので、年の離れた人に対して使うときは特に気をつけましょう。

ただ、間違って使われているうちに言葉の意味が少しずつ変わっていく可能性もあります。

正しい意味を理解したうえで、相手が間違って使っているときは柔軟に受け入れるのが大人の対応かもしれませんね。



◆記事を書いたのは・・・ danngo
国語科教員免許と漢検準一級を持つ、アラフォーの 主婦。二児の母で、子育て関連の記事を書くのが得意です。本を読むのが大好きですが、一度読み始めると家事がおろそかになってしまうのが悩み。子どもの遊び相手をすると本気になりすぎて怒られ、家事は手抜きになる一方です。甘いもの、日本の古いものをこよなく愛しています。

 
 

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