不登校の小中学生は全国で約19万人……もし、うちの子が学校に行かなくなったら?【前編】
2022/09/27
不登校の小中学生は全国で約19万人(※)。けっして他人事ではないから、「もしも」のときの対応を知っておきたい。声掛けのコツや過ごし方、子どもと親をラクにする考え方など、たとえ不登校になってもあわてないためのヒントをお届けします。
(※)文部科学省「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
教えてくれた人/ 『おはなしワクチン』著者 子どもの不登校を経験した父 蓑田雅之さん
コピーライター・「東京サドベリースクール」評議員。息子の不登校をきっかけに教育分野の研究・発信を始める。不登校の予防薬としてのセミナー「おはなしワクチン」を日本全国の企業や保育園・幼稚園・NPOで開催。
不登校はやっぱり増えている
「自分の子ども時代と比べて不登校の子が増えた」と感じる人は多いのでは?実際、13年度からはずっと増え続け、ここ数年で急速に増加。20年度は小中学校で19万人を超えました。かつては学校に「不登校を出すのは学校の恥」という文化がありました。そのため不登校の子の正確な数が文部科学省に伝わっていなかったことも考えられます。
Q「不登校」と「欠席」何が違う?
A 病気やケガ、家の経済的な問題以外の理由で 1年間に30日以上休んだら「不登校」
不登校と欠席の主な違いは欠席日数。教室に入れず保健室で過ごすケースなどは出席扱いにする学校も増えています。このような不登校傾向にある子どもは中学生だけで約33万人いるという調査結果もあります。
Q 子どもが 「学校に行かない」って言い出した。 親はどうする?
A とにかく 「最初が肝心」 何より大事なのは 「子どもの自己肯定感」 を守ること
自己肯定感とは「自分が好き」「自分には価値がある」という感覚で、安心して生きるために欠かせないもの。「学校に行かないと言い出した子はそれが壊れかけ、土台が大きく揺らいでいる状態です。ですから最初の対応がとても大事。自己肯定感を回復させるには、親が子どもの気持ちを否定せず受け止めて味方になること、家にいて安心できる環境や親子関係をつくることが何より大切です。子どもの自己肯定感さえ守れたらあとは何とかなります」。学校に行かない子は、心がケガしていると考えてください。
あなたはしていませんか?「子どもの自己肯定感を破壊する声掛け」
● 学校行きなさい (怒)
● どうして行かないの? (理由を詮索)
● お願いだから行って (懇願)
● いま頑張れなかったら大人になってもっと困るよ (脅迫)
● いつまでゲームやっているの? (怒)
● いつまでYouTube見ているの? (怒)
子どもの自己肯定感を守る声掛け
● 「そうなんだ、学校に行きたくないんだね。分かった」 (受け入れる)
● 「いいね」「すごいね」「面白そうだね」(共感)※ゲームなど子どもがやっていることに対して
● 「おはよう!」「おやすみ!」 (目を見て明るくあいさつ)
子どもの自己肯定感を守る親の行動
● 学校に行かせようとするのをやめる
● どんな状況でも、子どもの味方になる
● 親はいつも通りに暮らす
Q なぜ不登校が増えている?
A ●法律で「不登校は問題行動ではない」と定義された ●不登校体験を発信する著名人が増えた ●コロナの影響
「国が教育機会確保法(16年に成立)で出した方針や、自分の不登校体験を明かす人が増えたことで、不登校は特別ではないという認識が広まりました。それで『自分も無理に行くのはやめよう』と考える子どもが増えたのかもしれません。」コロナ禍による長期休校の影響もありそうです。また不登校とカウントされていなくても、保健室登校など「隠れ不登校」も増えています。
Q 不登校になるきっかけは?
A きっかけは1つではないことが多いです
【主な理由】●いじめ ●先生が合わない ●HSC(敏感)、ADHD(元気過ぎる・空気を読むのが苦手)、学習障害などの特性 ●本人にも理由がわからない ●言葉にできない など
不登校のきっかけはさまざま。複数の問題が重なるケースや本人も説明できないケースなど、原因は外から見えにくく特定できない場合も多いです。「おなかいたい」など体の症状が先に出ることも多いです。また、いじめが原因でも、子どもはそう言わないことが多い傾向があります。子どもが、これ以上自尊心を傷つけたくないからかもしれません。
記事は後編に続きます【2022年9月29日正午公開】
蓑田雅之さんの本『もう不登校で悩まない! おはなしワクチン』 \1,320/びーんずネット
不登校の子どもを育てる保護者の心をラクにしてきたロングセラー。(※)一般の書店では販売していません
取材・文/神坐陽子・『サンキュ!』編集部 イラスト/macco
参照:『サンキュ!』2022年11月号 特集「もし、うちの子が学校に行かなくなったら?」より。掲載している情報は2022年8月現在のものです。
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