おしゃれと断捨離の共通点は「人生を輝かせるレッスン」であること!【やましたひでこ先生の断捨離(R)トーク】
2023/04/15
やましたひでこ先生と断捨離しているゲストがトーク!これまで200本以上の映画やドラマのスタイリングを手掛け、72歳にして現役のドラマスタイリスト・西ゆり子さん。男子3人の母にして、60歳で「家族」を断捨離したとは!?
<今回のゲスト> ドラマスタイリスト 西ゆり子さん
スタイリスト。1950年生まれ。1974年、スタイリストとして独立。テレビドラマや映画におけるスタイリストの草分け的な存在に。担当したドラマや映画は200作品以上。2020 年「日本女性放送者懇談会50周年特別賞」を受賞。著書は『服を変えれば、人生が変わる』(主婦と生活社)。
年齢やセンスを問わず交流して高め合える。「着る学校」は新時代のコミュニティのあり方
西:ひでこ先生と私は同世代。今日はざっくばらんにおしゃべりしましょうね。
ひでこ:賛成!西さんはドラマスタイリストとしてテレビや映画で活躍する一方、2022年には一般の方にスタイリングの基礎を教えるおしゃれのコミュニティ「着る学校」を開校して校長先生に。大御所の女優の衣装を手掛けてきた西さんが、あえて今、一般の女性に目を向け始めたのはなぜですか?
西:過去にお付き合いで、一般の女性にスタイリングのアドバイスをしたことが何回かあったのですが、みなさん、着る服がちょっと変わるだけで、表情も姿勢も発する言葉もどんどんポジティブに変化していくのよ。「おしゃれって人生を変えるんだ!」って実感したら、俄然、個人向けのスタイリングレッスンに興味が出てきちゃった。強烈なオーラをもつ女優さんたちにふさわしい洋服を用意して、ドラマという舞台で彼女たちの個性をより輝かせる仕事にもやりがいはあるけれど、一般の方へのレッスンには人生というリアルなドラマがあって、めちゃくちゃ面白い!って。
ひでこ:いい話!「着る学校」は年齢やセンスの有無を問わず参加できるのも素敵。自分の気持ちひとつでいつでも始められるのは、断捨離と同じね。
西:生徒さんたちは年齢も環境もバラバラだけど、そんなのいっさい関係なく、LINEグループで校長の私も生徒さんも入り交じり、おしゃれのアドバイスをし合っているの。それがまるで家族みたいに温かくて、涙が出るくらい。
ひでこ:そういう関係、まさにこれからの時代に必要!私は「意識縁」と呼んでいますが、つまり、共通の意識や価値観をもつ人たちのつながり。血縁や地縁のようなしがらみから離れて、意識縁でつながる仲間が集まってお互いを高め合う場所という意味でも、「着る学校」は最高ね。
「家族解散宣言」で得たのは自由と後悔
ひでこ:それにしても、72歳で「着る学校」という新しい場を立ち上げた西さんは本当にパワフル!
西:50歳くらいの頃から「料理学校はあるのに、着こなしを教える学校はないの?」と感じてはいたけれど、スタイリストの仕事がギンギンに忙しかったから「60歳になったら」と決めていたの。ほら、還暦って「生まれ直し」って意味でしょ?ところが、念願の60歳を迎えたら、悶々とし始めちゃって。
ひでこ:え!今の西さんの明るくて軽やかな姿からは想像できないけれど。
西:ずっと仕事漬けの人生で、還暦を過ぎてもまだまだ現役。好きなことを仕事にできてありがたい半面、あまりに忙しすぎて家も子育てもほったらかしで、頭も心もグチャグチャになっていたのね。還暦が来たらそこからピューンと飛び出せるはず、と根拠もなく信じていたけれど、現実はそうはいかないわけ(笑)。
ひでこ:(笑)。人生は自分が片づけなければ、ずっと片づかないまま。問題は解決しないからね。
西:それで思いきって「家族解散宣言」をしたの。「私も還暦になったので、これからは家族それぞれが自分の好きなスタイルで生きていきましょう」って。息子3人には独立してもらって、3歳年下の夫とは月の半分は別居生活。
ひでこ:人生を整理するために、まずは家族関係の断捨離をした、と。
西:おかげで風通しのいい関係にはなったものの、数年後には「解散するべきじゃなかったかな」と後悔。家族って煩わしいけれど、その煩わしさも必要だったのかもって。しかもその後、夫にがんが見つかり3年前に亡くなってしまって……。「自然な流れにまかせればよかった」という自責の念は一生背負うでしょうね。前に進むしかないけれど。
ひでこ:断捨離には責任が伴うもの。後ろめたさや罪悪感を背負う責任もあるけど、自分の命をご機嫌にするのもまた自分の責任。「今、私はどうしたいのか」を軸に選び続けるしかないのよね。
60歳を過ぎたら周りの意見は一度は「ハイ」と聞き入れなきゃ
ひでこ:西さんのこれからの目標は?
西:今は「着る学校」を通して、自分が好きな服を着る楽しさとテクニックを伝えること。日本人って周りの目を気にしがちだけれど、洋服の基礎さえ学べば着こなす力が身について、好きなおしゃれを堂々と楽しめるようになる。そんなふうに輝いている大人が増えたら、世の中がもっと明るくなると思わない?
ひでこ:同感。西さんのおしゃれの教えと断捨離は「今の自分にふさわしい物を選び抜く」という点では完全に同じね。
西:だから私たち、似ているのね(笑)。ただ、ひでこ先生もそうだと思うけれど、夢や目標って変わるものだから、この先また違うことをしたくなったら始めると思う。いくつになっても柔軟でいなきゃ。60歳を過ぎたら、他人からの意見や助言は何でも「ハイ」と一度は聞き入れるのが基本よ。取り入れてみると、意外な物が見えてくることもあるから。
ひでこ:わかる。大人は「やりながら考える」くらいでちょうどいいのよね。
<教えてくれた人>
・やましたひでこさん
断捨離(R)提唱者。1954年、東京生まれ。子育てや介護を経験した後、ヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」から着想を得た「断捨離」理論を構築。BS朝日『やましたひでこのウチ、“断捨離”しました!』(毎週火曜夜9 時)では全国の「片づかない家」を手ずから断捨離している。
・ドラマスタイリスト 西ゆり子さん
スタイリスト。1950年生まれ。1974年、スタイリストとして独立。テレビドラマや映画におけるスタイリストの草分け的な存在に。担当したドラマや映画は200作品以上。2020 年「日本女性放送者懇談会50周年特別賞」を受賞。著書は『服を変えれば、人生が変わる』(主婦と生活社)。
参照:『サンキュ!』2023年4月号「断捨離(R)トーク ひでこの部屋」より。掲載している情報は2023年2月現在のものです。撮影/久富健太郎(SPUTNIK) ヘア・メイク/Hachi (ひでこ先生) 取材・文/志村香織 編集/サンキュ!編集部