心身の不調を我慢しながら働く“隠れ我慢”の現状とは? ~連載『はじめよう!フェムテック』

2023/09/12

2021年10月から、ニッポン放送でスタートした番組『はじめよう!フェムテック』。ベネッセコーポレーションとかます東京の共同企画で、今、社会的なムーブメントになりつつある「フェムテック」を、さまざまな角度から取り上げています。パーソナリティーは、おなじみの伊久美亜紀さんと東島衣里アナウンサー。この連載では、毎週オンエアされた内容を、ギュッとまとめてお伝えします。

番組ではフェムテックに関する、あなたの職場や家庭などでの問題点やポジティブな試みなどを募集いたします。ニッポン放送『はじめよう!フェムテック』宛にメール(femtech@1242.com)でお送りください。

<パーソナリティー>
●伊久美亜紀 Aki Ikumi
ライフスタイル・プロデューサー、企業コンサルタント。大学卒業後、レタスクラブの編集部、ハースト婦人画報社を経て、1995年~2022年までは、ベネッセコーポレーション発行のメディア総編集長として『たまひよ』『サンキュ!』『いぬのきもち・ねこのきもち』など年間約100冊の雑誌・書籍・絵本の編集責任者を務め、2023年に独立。31歳の長女一人。

●東島衣里 Eri Higashijima
長崎県出身。大学卒業後、ニッポン放送に入社。現在は「中川家 ザ・ラジオショー」(金 13:00~15:30)、「サンドウィッチマン ザ・ラジオショーサタデー」(土 13:00~15:00)などの番組を担当。最近、女性の健康、そして幸せについて友人と語り合うことが多くなった32歳。

<ゲスト>
●宮城英子 Hideko Miyagi
2003年に株式会社ツムラに入社。2009年からコーポレート・コミュニケーション室広報グループに所属し、企業広報や漢方の啓発とともに、2021年に“#OneMoreChoice プロジェクト”を女性メンバー2人で立ち上げ、現在も心地よく生きられる社会の実現に向けて活動している。プライベートでは、小学校と保育園に通う子どもを育てており、ライフステージに伴う不調症状などの自身の体験も、#OneMoreChoice プロジェクトに活かされている。 

まだまだ認知度の低い「フェムテック」を推進して、女性だけでなく社会全体の幸せを目指したい!という意気込みでスタートした番組の第2フェーズ。今回のゲストは、株式会社ツムラ コーポレート・ コミュニケーション室 広報グループの宮城英子さんです。 「漢方薬を扱う企業として、長年、人々の不調症状の研究を続けているツムラさん。実に、日本の8割の女性が、何らかの不調症状を我慢しながら働いているそう。この現状を改善するために、肝いりで“#OneMoreChoice プロジェクト”を立ち上げた経緯について、早速伺っていこうと思います」(伊久美)

#OneMoreChoice~不調を無理に我慢せず、心身ともに快適な毎日を過ごそう

■東島アナ「ゲストは、株式会社ツムラ コーポレート・ コミュニケーション室 広報グループ宮城英子さんです。ツムラさんといえば漢方薬を扱っていらっしゃる企業として有名ですが、そのツムラさんが、今力を入れているのが “#OneMoreChoice プロジェクト”ということなのですが、詳しく教えていただけますか」

■宮城「はい。#OneMoreChoice プロジェクトは、誰もが不調を無理に我慢することなく、心地よく生きられる健やかな社会を目指した活動です。2021年からスタートし、ツムラが中長期の取り組みとして、活動を進めています」

■東島アナ「このプロジェクトを始めたきっかけは、なんだったのでしょうか」

■宮城「もともと漢方を主力事業とする会社ということで、不調症状に関する調査や広報活動は続けていますが、注視したのは20代、30代の方でも、不調を抱えたまま過ごしている方が多いということです。不調を感じ辛い思いをしながら生活をしたり、学校へ行ったり、働いたりしている方々に対して、何かできることがないかと考え、この活動が立ち上がりました」

■東島アナ「ホームページ拝見しますと、“#OneMoreChoice ~不調に、我慢に代わる選択肢を”とあるのですが、どのような意味がこめられているのでしょうか」

■宮城「このプロジェクトで発信しているメッセージです。お二人は、“隠れ我慢※1”という言葉を聞かれたことはありますか」

■伊久美「ごめんなさい。似たような言葉は聞いたことがありますが、“隠れ我慢”はないですね」

■宮城「実はこのプロジェクトで打ち出している重要なキーワードとなります。¬“隠れ我慢=心身に不調を感じた時に、無理に我慢して仕事や家事をすること”と定義しています。2021年に弊社で公表した調査では、女性の8割が隠れ我慢をしているということが明らかになっています※3」

■伊久美「8割って、ちょっとびっくりしますね。我慢の内容も個人差がありますよね?」

■宮城「例えば、月経痛や月経前症候群によるイライラ、不安、頭痛など、様々な不調症状を無理に我慢して、仕事や家事をしてしまう方々が8割、ということです。このプロジェクトでは、“我慢に代わる選択肢を”というメッセージを発信し、我慢に代わる選択肢を選べる社会の実現に向けて、活動を進めているところです」

■伊久美「私自身、“なんとなく不調※2”というのは時々ありますが、自分では我慢をしているつもりはないです。でももしかしたら……、我慢は隠れているのかもしれません」

■東島アナ「無意識で我慢してしまうことってあると思います」

■伊久美「ツムラさんの#OneMoreChoice プロジェックトは、我慢すること以外の選択肢を提案されているのですよね。具体的には、どのようなことですか」

■宮城「体調不良で辛い時の選択肢として、休むことも一つですが、そうはいっても休めない時はリモートワークにする、もしくは誰かに相談してみる、それだけでも少し気持ちが楽になると思うのです」

■東島アナ「このように、プロジェクトとして言葉で定義していただけると、今まで我慢して、自分の中だけで悩みを抱えていた人も、働き方を変えたり、誰かに相談してみようと思えますよね」

■宮城「ありがとうございます。実際、この活動を始めてから、“まずは、自分から不調を伝えてみよう”という方が増えてきています」

■伊久美「実感できているのは嬉しいことですね」

あなたの“隠れ我慢”のタイプ、チェックしてみませんか!

■東島アナ「本人にあまり自覚がなく、不調症状を放っておいてしまうというケースは、この番組のゲストの方々からも伺ってきました。ツムラさんが行われた調査ではいかがでしょうか」

■宮城「2021年から3年にわたって、“なんとなく不調”を抱えている方に、毎年調査を行っております。その結果を見ると、この3年間で、ほとんど傾向は変わっていません。不調を感じた時に、病院へ行く方の割合は、今年の調査では35%でした※4。つまり躊躇している方が全体の65%ということで、まだまだ我慢している方が多いというのが現状です」

■伊久美「病院で受診するとなると、躊躇するのでしょうね。このくらいで病院へ行ってよいのだろうか?と迷うのだと思います。結果、みなさん無理に頑張ってしまうのでしょうか」

■宮城「そうですね。調査では、“自分だけが我慢すれば支障がない”、“このくらいは我慢できる” など、そういう理由で隠れ我慢をしていることがわかってきました。私たちのホームページには、“隠れ我慢チェッカー”というコーナーがありまして、隠れ我慢のタイプを5つに分類しています」

■伊久美「気になりますね!例えばどういうタイプがあるでしょう」

■宮城「気遣いさんタイプ・敏感さんタイプ・頑張り屋さんタイプ・慣れっこさんタイプ・不調さんタイプ、の5タイプに分かれています。質問に答えていくと、自分がどのタイプか判明するので、心理カウンセラーのアドバイスをもとに作成されたタイプ別の対処法をチェックしていただきたいです」

■伊久美「これは、誰もが興味がありますよね~。自分がどのタイプなのか気になります。複数のタイプに当てはまることもあるのでしょうか」

■宮城「はい、複数のタイプに当てはまる方もいらっしゃいます。ちなみに調査では、日本女性の中で一番多いのは、気遣いさんタイプでした」

■東島アナ「気遣いさんタイプは、どういう特徴があるのでしょうか」

■宮城「自分がしたいことを我慢して、周りへの気遣いを優先させてしまうタイプです。“私がこんなに頑張っていることをわかってほしい”と思いながらも、我慢しがちな方です」

■東島アナ「このチェッカーのよいところは、“日本の女性ってこうだよね~”というところから一歩踏み込んで、他にもこういうパターンもあると示されているところですね。#OneMoreChoice=選択肢を増やすというプロジェクト名とリンクしているような気がします。一人一人に寄り添ってくれそうですね。まずは自分の心や体に違和感を覚えたら、ちょっと立ち止まってみることが大切ですね」

■伊久美「みなさん、是非やってみましょう!」

合言葉は「はじめよう!フェムテック!!」

●次回も、株式会社ツムラコーポレート・コミュニケーション室 広報グループの宮城英子さんをゲストにお迎えします。



※1隠れ我慢:心身の不調を我慢して仕事や家事を行うこと。株式会社ツムラの登録商標です。

※2なんとなく不調:自覚しながらもつい我慢しがちな症状や、調子が悪いものの病名の診断がつかない症状の総称と株式会社ツムラが定義。

※3「隠れ我慢に関する実態調査(株式会社ツムラ、2021年)」
(調査概要)
■実施時期:2021年1月16日(土)~ 1月18日(月)
■調査手法:インターネット調査
■調査委託先:楽天インサイト
■調査対象:
①全国の20代~50代女性10,000人(人口 構成比に基づく)  
②心身の不調があっても、いつも通り家事や仕事を行っている20代~50代女性1,000人(年代別に250人ずつ)

※4「第3回なんとなく不調に関する実態調査(株式会社ツムラ、2022年)
(調査概要)■実施時期:2022年12月7日(水)~ 12月10日(土)  
■調査手法:インターネット調査  
■調査対象:調査①全国の20代〜40代男女1,800人 
調査②全国の20代〜60代男女3,000人 
■調査委託先:マクロミル  

【番組インフォメーション】 『はじめよう!フェムテック』は、毎週・土曜日15時50分~16時にオンエア。聴き逃しは『radiko』で(※首都圏にお住まいのかたは放送後1週間)お聴きになれます!

●記事まとめ/板倉由未子 Yumiko Itakura
トラベル&スパジャーナリスト。『25ans』などの編集者を経て独立。世界を巡り、各地に息づく心身の健康や癒やしをテーマとした旅企画を中心に、各メディアで構成&執筆。イタリア愛好家でもある。伊久美さんとは28年来の付き合い。https://www.yumikoitakura.com/

●撮影/寿 友紀 

【インフォメーション】
日本最大級のフェムテックイベント、第2回『Femtech Tokoyo』が開催されます。女性の健康問題に寄り添うフェムケア・フェムテックの商品やサービスを扱う注目の企業200社(650製品)がずらりと並びます。『サンキュ!』と『たまひよ』の展示ブースもあるので、ぜひ遊びに来てくださいね。

●ビジネスDAY:10月5日(木)~7日(土)
●一般公開DAY:10月7日(土)
●時間:10:00~17:00
●場所:東京ビッグサイト 東展示棟
●入場チケットは、事前登録すると入場無料 ※当日券は5000円
お申し込みはこちら https://onl.bz/mns9Fv1

 
 

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