世界中のおいしそうなものを、ある物でとりあえず作ってみた!パリのオムレツも韓国風茶碗蒸しも

2023/10/21

見せてもらうのは「棚」と「引き出し」と「冷蔵庫」の中。今回は食と酒と旅を愛する文筆家・ツレヅレハナコさんのお宅にお邪魔しました。

おいしそうな料理が発信されるSNSや本を見ると、料理家を目指していたのかと思いきや、実はただ「食べることが好き」なだけだったのだとか……。

ツレヅレハナコさん
instagram:@turehana1

家族構成:猫のあんきも(13歳)
住まい:東京都在住。「台所」にこだわり抜き、3年前に戸建てを建設

美術大学を卒業後、書籍や健康雑誌・料理雑誌などの編集部勤務を経て、独立。SNSで発信するおいしい食&酒情報が人気。

簡単で気の利いたレシピに定評があり、Webや雑誌など多くの連載をもつ。レシピ本をはじめ、旅行記、お取り寄せ本まで、食にまつわる著書多数。

近著に『ツレヅレハナコのおいしい名店旅行記 LaLaBegin特別編集』(世界文化社)がある

食べたいものは自分で作る!食にまつわる本を読みあさっていた少女時代

◎編集部
ツレヅレさんのインスタグラムを見ていると食への愛が伝わってきますが、小さい頃から料理が好きだったのですか?

☆ツレヅレさん
好きでしたね。うちは両親が共働きで忙しかったので、食べたいものは自分で作るしかなかったんです。

小学校4年生くらいのときかな。石井好子さんの『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』という本を読んで、「オムレツってすごくおいしそう!食べてみたい!」って思ったんです。それを母に話したら、「いつも食べてる卵焼きでしょ」といわれたんですけど、「そうじゃない!」と。

それで自分で卵を買ってきて、オムレツを焼いてみたりしてました。

なにかで「クミン」というスパイスを知って、お小遣い片手に探し回ったこともありましたね。

ツレヅレさんが影響を受けた食の本。ツレヅレさんの幼少期(70年代)には、現在のように各国のさまざまな料理が街で気軽に食べられるということはありませんでした。中央がオムレツを知るきっかけになった本。

◎編集部
すごい探求心!当時から世界の料理に興味があったのですね。

☆ツレヅレさん
海外の映画に出てくる料理が気になると、どうしても食べてみたくなって。
当時はインターネットもないので、図書館に行ってまずは調べるところから始めていました。日頃から、食に関する本をひたすら読んでいました。
忘れもしないのは、映画『ゴットファーザー』に出てきたニョッキ。どうしても食べてみたくて!
じゃがいもと粉を混ぜて作ることがわかり実際作ってみましたが、かたくて全然おいしくない……(笑)。つまみ食いをした兄からも大不評でした。
そもそも正解の味がわからないので、ずっとニョッキがトラウマになっていて。30歳くらいになるまで避けてました。あれの本当のおいしさを知るまでは、時間がかかりましたね。

1980年に新聞社から出版された「世界の食べもの」シリーズ。各国の暮らしと食べ物が豊富な写真で紹介されている。眺めているだけで楽しく、この本からヒントを受けることも多いのだとか。現在はもう手に入らないと思っていたところ、フリマサイトで見つけて、大人買い!

毎日の愚痴のついでに、リアルなレシピをブログに書いていたら……

◎編集部
じゃあ、料理の仕事につくのは子どもの頃からの夢だったんですね。

☆ツレヅレさん
もちろん食べることも料理も好きだったのですが、仕事にしようと思っていたわけではないんです。

大学を卒業してなんとなく編集者になったのですが、ある雑誌の編集部で5年間くらい料理記事を担当することがありました。

そこで多くの料理家さんと仕事をさせてもらったのですが、プロのレシピって本当にすごいんですよ。
材料も作り方も考え尽くされていて、それでいて栄養バランスもよくておいしい!そんなレシピを紹介できることに、誇りを持っていました。

一方で、「時間がないときは、なかなか作れないよなあ」という気持ちもありましたね。

リビングの食器棚。撮影スタッフや来客者がセルフで取れるように、食器や器が置かれている。棚の上に置かれているのは、旅先で出会ったモロッコのタジン鍋、メキシコのトルティーヤバスケット、トルコの絵(右から)。

◎編集部
料理に関するブログを始めたのはこの頃なんですよね?

☆ツレヅレさん
そうですね。最初は彼氏の愚痴だったり(笑)本当に日々のことを書いていたんです。でも食に関する記事をアップすると、アクセスがすごく増えるんですよね。

それでふだん自分が作っているリアルなレシピを紹介するのがメインになりました。それからあれよあれよと、本を出版する流れになりました。

レシピというより、料理をもっとラクに楽しむコツを伝えたい

◎編集部
今や、料理家としての地位を確立されていますよね。

☆ツレヅレさん
私は自分のことを「料理家」と名乗ったことは一度もないんです。
「おいしい物をすすめたい!」「食べることは楽しい!」ということを伝えたくて、その流れでレシピも出しているという感じです。

世の中には「できれば料理はしたくない」と思っている人が一定数いるし、例えば揚げ物とかホームパーティーとか、やってみたくても「大変そう」と思って躊躇している人も多いですよね。

でもちょっと考え方を変えたり、やり方を変えたら、実はそんなに難しくない。凝った調理をしなくても薬味をちょっと加えるだけで、急に特別な感じになって、人生は豊かになる。そんなコツを、紹介できたらいいなと思っているんです。

1階にある置物コーナーの棚。旅先で購入したものや、読者の方にプレゼントされたものが大切に飾られている。

◎編集部
たしかに、自分で料理のハードルを上げてしまうと苦しくなるのかもしれませんね。

☆ツレヅレさん
そうですね。

私がよく作る「ケランチム」という韓国版の茶碗蒸しのようなものがあるのですが、実は電子レンジでできるんです。材料は卵とカニカマと、あれば万能ねぎだけ。

本来は土鍋でつくるのですが、電子レンジで作れればハードルが下がりますよね。

実は子どもの時に卵と水を入れてチンしておやつにしていたのですが、ちょっと味が似ているんです。
ケランチムを食べるたびに、そのときの味を思い出します。

「ある物でとりあえず作ってみた」そんな子ども時代を思い出す、韓国版茶わん蒸しレシピ

電子レンジでできるので、あと1品ほしいというときにもぴったりな手軽さ。ふわふわ食感が、子どもも大人も好きな味!

【ケランチムの作り方】

1:大きめの耐熱容器に卵2個、水1カップ、裂いたかにかま2個分、鶏ガラスープの素小さじ1、塩小さじ1/2をよく混ぜ合わせる。

2:ラップを掛けて、600Wの電子レンジで2分加熱して、スプーンで混ぜる。

3:ごま油小さじ1/2を加えて、さらに2~3分加熱。固まったら万能ねぎをのせ、ふわふわなうちにどうぞ!

撮影/砂原文 取材・文/草野舞友 企画/サンキュ!コメつぶ

次回は「台所」を中心にしたおうちの話。個性的だけれど参考にできることがいっぱいのご自宅を紹介します!

 
 

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