世界のフェムテック事情はどうなっている!?~連載『はじめよう!フェムテック』
2024/06/14
2021年10月から、ニッポン放送でスタートした番組『はじめよう!フェムテック』。ベネッセコーポレーションとかます東京の共同企画で、今、社会的なムーブメントになりつつある「フェムテック」を、さまざまな角度から取り上げています。パーソナリティーは、おなじみの伊久美亜紀さんと東島衣里アナウンサー。この連載では、毎週オンエアされた内容を、ギュッとまとめてお伝えします。
番組ではフェムテックに関する、あなたの職場や家庭などでの問題点やポジティブな試みなどを募集いたします。ニッポン放送『はじめよう!フェムテック』宛にメール(femtech@1242.com)でお送りください。
<パーソナリティー>
●伊久美亜紀 Aki Ikumi
ライフスタイル・プロデューサー、企業コンサルタント。大学卒業後、『レタスクラブ』編集部、ハースト婦人画報社を経て、1995年~2022年までは、ベネッセコーポレーション発行のメディア総編集長として『たまひよ』『サンキュ!』『いぬのきもち・ねこのきもち』など年間約100冊の雑誌・書籍・絵本の編集責任者を務め、2023年に独立。31歳の長女一人。
●東島衣里 Eri Higashijima
長崎県出身。大学卒業後、ニッポン放送に入社。現在は「中川家 ザ・ラジオショー」(金 13:00~15:30)、「サンドウィッチマン ザ・ラジオショーサタデー」(土 13:00~15:00)などの番組を担当。最近、女性の健康、そして幸せについて友人と語り合うことが多くなった33歳。
<ゲスト>
●北奈央子 Naoko Kita
愛知県出身。早稲田大学、大学院で人工骨の研究に携わり、医療機器メーカーに就職。主に外資系医療機器メーカーのマーケティングとして新製品や新治療の開発に携わる。「医療・健康」「女性」「自分らしく」をキーワードに、医療者と一般の人々をつなぐ役割をしたいと考え、2016年4月より女性のヘルスリテラシーの研究をスタート。研究する中で、「言いづらい」、「行動しづらい」といった女性の健康に関する悩みを実感し、それらを解決するために株式会社「ジョコネ。」を設立。「徹底的に女性目線」でサービスを提供している。 NPO法人 女性医療ネットワークの理事も務める。著書に『女性がイキイキと働き続けるためのヘルスリテラシー」(セルバ出版)がある。プライベートでは一児の母である。 https://joconne.com/
認知が広がりつつある「フェムテック」を推進して、女性だけでなく社会全体の幸せを目指したい!という意気込みでスタートしたこの番組。ゲストは、株式会社「ジョコネ。」代表の北奈央子さんです。「女性の健康課題に関して、世界ではどんな取り組みや開発が進み、人々はどんな意識をもっているのでしょう。最先端事情を取材してきたばかりの北さんに、詳しく伺ってみたいと思います」(伊久美)
世界で進行中!女性の体を解明し、早期発見&治療が可能な社会への取り組み
■東島アナ「ゲストは、“株式会社ジョコネ。” 代表の北奈央子さんです」
■伊久美「とても気になっているのですが、“ジョコネ。” という社名について教えていただけますか」
■北「ありがとうございます! 女性をコネクトするで “ジョコネ。” と名付けました(笑)」
■伊久美「すごく覚えやすいでし、ネーミングの感覚、個人的にツボでした(笑)。絶対に忘れない~」
■東島アナ「常に女性目線で活動されている北さんですが、4月にスイスのバーゼルで開催された“ヨーロッパ フェムテック関連サミット”を取材されたそうですね。どのようなサミットだったのでしょう」
■北「“ウィメンズ ヘルスイノベーション サミット”という会で、アメリカ、ヨーロッパ、アジアで開催されています、今回はヨーロッパに参加いたしました。丸2日間、女性の健康に関してパッションをもつさまざまな人が参加して、熱いディスカッションが繰り広げられました。特徴的だったのは、研究だけでなく、ビジネスについても話す場となり、研究者、スタートアップ企業、投資家、医療関係者など、いろいろなステークホルダーたちが一つの場所に集まり、女性のヘルスケアについて話し合っていることでした」
■東島アナ「フェムテックの関連イベントは増えてきましたが、知るという段階の一歩先をいく、よりビジネスに繋がりそうなイベントですよね。例えばどのようなことが話題に上っていたのですか」
■北「ちょうどアメリカのホワイトハウスが、女性の健康に関する研究に、日本円にしておよそ1兆8000万円の予算をつけたということがニュースになっていた時で、多くのかたがそれを活用して、いろいろな研究に取り組んでいきたい!と盛り上がりました」
■伊久美「日本だと700~800億の予算でも大きいといわれていましたが、桁が違う! 国を挙げて、女性の健康の領域の研究が進んでいくことが期待されますね」
■東島アナ「フェムテックの関連のスタートアップ企業はどのようなものを紹介したのか、気になりますね」
■北「サミットの中で、ピッチコンテストがあったのですが、今回10社のスタートアップ企業が選ばれ、ピッチ(短いプレゼンテーション)をしてくれました。いちばん素晴らしかったと思う企業に、参加者が投票する形式で、私も投票しました」
■伊久美「どのような内容のものがあったのか、教えていただけますか」
■北「いくつかご紹介したいと思います。スペインのある会社は、日本でも不妊治療が増えていますが、受精卵の着床率を上げる薬を開発していて、今、ヨーロッパで臨床試験をされているとのことでした」
■伊久美「不妊治療は、日本でも大きな課題だと思いますが、プレゼンテーションの中でエビデンスも語られるのですか」
■北「そうですね。医療と近い分野の話題が多いので、エビデンスは重視されていますね」
■伊久美「そこが重要だと思うのです。私もいろいろなイベントに参加していますが、エビデンスに関してピンとこない時があります」
■北「そうですよね。エビデンスがあることは当たり前になっていると思います。他にも、乳がんの早期発見ということで、自宅で尿を採って送るだけで、がんの可能性を検査するキットを開発しているスペインの会社もありました。また、骨粗しょう症も女性が年を重ねていくと大きな課題ですが、早期発見の画像診断の技術を開発しているドイツの会社もありました。医療と密接な技術がたくさん出てきています。女性の健康に関して、より早く発見し、治療や改善をしていこうという動きが見えました」
■伊久美「ちなみに、優勝したのはどんな内容でしたか」
■北「優勝は、女性が必要とする生理ナプキンの革命品だったのです。通常、生理ナプキンは一つずつパッケージされていますが、なんとロールタイプになっていました!」
■伊久美「トイレットペーパーみたいに、ホルダーにかけ引っ張って使うということですか!? 発明ですね。どういうニーズから考案されたのでしょう」
■北「日本でも生理の貧困については話題になっていて、ナプキンの無償提供が一部始まっていますが、これは世界的な流れです。ロールにすると、より効率よく使えるからです。ただ、ロールにするためには薄くする必要があり、かなり吸水性の高い商品でした」
■伊久美「貧困という社会背景が考慮され、かつ技術的にも優れているということですね」
■東島アナ「ロールタイプのナプキンが、公共の場で見られるようになったら助かりますよね。今回の取材を通して、日本の課題は見えましたか」
■北「やはり女性の体に関して、世界各地で程度の差はあれ、これまで置き去りにされてきたということです。 生理や更年期について正しい知識をもち、正しく女性が行動していける。そして、女性の体のことがきちんと解明されて、女性がもっと適切な対処を選択できる社会を実現したいという意識を感じました」
■伊久美「女性の健康課題が置き去りになってしまっている理由のひとつに、男性の理解度の低さというのもあるのでしょうか」
■北「そうですね。ジェンダーギャップはあると思いますね。ただ、これは日本だけでなく世界共通の課題であることを、今回実感できたのは大きな収穫でした」
合言葉は「はじめよう!フェムテック!!!」
●次回も、株式会社ジョコネ。代表の北 奈央子さんをゲストにお迎えします。
【番組インフォメーション】 『はじめよう!フェムテック』は、毎週・土曜日15時50分~16時にオンエア。聴き逃しは『radiko』で(※首都圏にお住まいのかたは放送後1週間)お聴きになれます!
●記事まとめ/板倉由未子 Yumiko Itakura
トラベル&スパジャーナリスト。『25ans』などの編集者を経て独立。世界を巡り、各地に息づく心身の健康や癒やしをテーマとした旅企画を中心に、各メディアで構成&執筆。イタリア愛好家でもある。伊久美さんとは28年来の付き合い。https://www.yumikoitakura.com/
●撮影/寿 友紀