人気料理人・笠原将弘さんの今を作った思い出の母の味とは!?
2018/04/27
なにげなく食べている毎日のごはん。でもあとになって思い返すと、それがいかにかけがいのないものだったかがわかるものです。誰もの心に残る「思い出のごはん」。人気料理人・笠原将弘さんを育てた思い出の味をご紹介しましょう。
愛情あふれる母の味、具だくさんの「みそ汁にゅうめん」
テレビに、雑誌に、イベントにと、多方面で大活躍の料理人・笠原将弘さん。笠原さんのお店・日本料理『賛否両論』(東京・恵比寿)は、予約がとれない店として知られています。実は笠原さんのお父さんも料理人。実家は焼き鳥店で、両親ともに夜遅くまで働く日々の中、ときにはお店のカウンターで宿題を広げ、常連さんたちにかわいがられながら育ったといいます。そんな笠原さんにとっての思い出の味を尋ねると、こたえてくれたのがお母さんが作ってくれた「みそ汁にゅうめん」。
「みそ汁にゅうめんは朝ごはん。うちは両親ともに夜遅いから朝はゆっくりなんだけど、それでも僕のためにおふくろが頑張って起きて、よく作ってくれました。僕は麺が好きだったのでうれしかったですね。溶き卵を入れてボリュームをつけるのがおふくろ流でした」(笠原さん)。
つるんとして汁けもある麺は、小さい子どもの朝ごはんには食べやすくてぴったり。寝起きで食がすすまないときでもするすると食べられるのもいいですね。
「夕飯は店で食べることも多かったから、ほとんどがおやじの料理。でも、おふくろのにゅうめんは、今でも懐かしく思い出します」(笠原さん)。
味の記憶とともに、心に残るのは、作ってくれる母の姿。大切な思い出につながっています。
笠原さん思い出の味「みそ汁にゅうめん」のレシピを特別に公開!
みそ汁にゅうめん
材料(4人分)
そうめん……4わ
木綿豆腐……150g
生わかめ……30g
生しいたけ……2個
ねぎ……1本
卵……2個
好みで七味唐辛子……少々
A(だし汁800mℓ みそ大さじ4 みりん大さじ1)
作り方
1
豆腐は2cm角に切る。わかめはざく切りに、しいたけ、ねぎは薄切りにする。そうめんは表示どおりにゆで、器に入れる。
2
鍋にAのだし汁を入れて中火にかけ、しいたけ、ねぎを入れてさっと煮る。豆腐、わかめを加え、軽く煮立ったら、Aのみそを溶き入れ、みりんを加える。
3
卵を割りほぐしてに流し入れ、ふんわりとしたら火を止める。の器に入れ、好みで七味唐辛子をふる。
約80%の人が「ある」と語った「思い出の味」。人気ナンバーワンは王道のおかずだった!
突然ですが、
「あなたにとって小さな頃の思い出の料理とはなんですか?」
昨年末、『サンキュ!』読者を対象に行った食に関するアンケート(n=215)によると、「小さな頃の思い出の料理はありますか?」との問いに「YES」とこたえた人は79.1%。全体の8割が「思い出の味」を持っているという結果になりました。そして気になるのはその料理。
1位 から揚げ
2位 コロッケ
3位 餃子
1位と2位の票差はほぼ変わらず、少し空いて3位。誰もが好きな人気のおかずが並びます。みんなが好きなおかずが上位になるのは当然のように思いますが、注目したいのが、それが「特別な料理」ではなく、「ふだんのおかず」であるということ。日々の食卓の中で繰り返し作られるおかずこそが、大きくなっても心に残るということがわかります。
毎日の食事作りはついルーティンになってしまいがち。とはいえ、気負わなくても大丈夫。手をかけたものでなくても、ごちそうでなくても、毎日作る普通のごはんがあれば、愛情は十分伝わるのです。
笠原さんの思い出の料理も、アンケートから導き出された料理も、その背景には、子供のために作ってくれる母の姿が見えてきます。毎日のごはんは、子供たちの未来の記憶へつながっています。
調理/笠原将弘(賛否両論) 撮影/木村拓(東京料理写真)、中野博安 スタイリスト/三谷亜利咲 構成・文/田久晶子
雑誌『サンキュ!』に掲載された笠原将弘さんの連載が1冊の本になって好評発売中!! 笠原さんの思い出の味が、大切なストーリーとともに紹介されています。毎日のごはん作りに役立ちますよ。
『僕の和食、思い出の味 伝えたい味』
定価:本体¥1200+税