アメリカではスタートアップ企業と医療機関の連携が進んでいる~連載『はじめよう!フェムテック』

2025/01/23

2021年10月から、ニッポン放送でスタートした番組『はじめよう!フェムテック』。ベネッセコーポレーションとかます東京の共同企画で、今、社会的なムーブメントになりつつある「フェムテック」を、さまざまな角度から取り上げています。パーソナリティーは、おなじみの伊久美亜紀さんと東島衣里アナウンサー。この連載では、毎週オンエアされた内容を、ギュッとまとめてお伝えします。

番組ではフェムテックに関する、あなたの職場や家庭などでの問題点やポジティブな試みなどを募集いたします。ニッポン放送『はじめよう!フェムテック』宛にメール(femtech@1242.com)でお送りください。

<パーソナリティー>
●伊久美亜紀 Aki Ikumi
ライフスタイル・プロデューサー、企業コンサルタント。大学卒業後、『レタスクラブ』編集部、ハースト婦人画報社を経て、1995年~2022年までは、ベネッセコーポレーション発行のメディア総編集長として『たまひよ』『サンキュ!』『いぬのきもち・ねこのきもち』など年間約100冊の雑誌・書籍・絵本の編集責任者を務め、2023年に独立。32歳の長女一人。

●東島衣里 Eri Higashijima
長崎県出身。大学卒業後、ニッポン放送に入社。現在は「中川家 ザ・ラジオショー」(金 13:00~15:30)、「サンドウィッチマン ザ・ラジオショーサタデー」(土 13:00~15:00)などの番組を担当。「はじめよう!フェムテック」を機に女性の健康や幸せについてさらに考えるようになり、知識のアップデートを心がける34歳。

<ゲスト>
●北 奈央子 Naoko Kita
愛知県出身。早稲田大学大学院で人工骨の研究に携わり、医療機器メーカーに就職。主に外資系医療機器メーカーのマーケティングとして新製品や新治療の開発に携わる。「医療・健康」「女性」「自分らしく」をキーワードに、医療者と一般の人々をつなぐ役割をしたいと考え、2016年4月より女性のヘルスリテラシーの研究をスタート。研究する中で、「言いづらい」「行動しづらい」といった女性の健康に関する悩みを実感し、それらを解決するために株式会社「ジョコネ。」を設立。「徹底的に女性目線」でサービスを提供している。 NPO法人 女性医療ネットワークの理事も務める。著書に『女性がイキイキと働き続けるためのヘルスリテラシー」(セルバ出版)がある。プライベートでは一児の母である。 https://joconne.com/


認知が広がりつつある「フェムテック」を推進して、女性だけでなく社会全体の幸せを目指したい!という意気込みでスタートしたこの番組。ゲストは、株式会社ジョコネ。代表・北 奈央子さんです。「2024年6月以来のご登場となる北さん。今回は、昨年9月にアメリカのボストンで開催されたフェムテック関連イベントに参加をされたということで、最新事情について伺っていきたいと思います」(伊久美)

もはや “フェムテック”という言葉は、ほとんど使われていない!?

■東島アナ「2度目のご登場となります株式会社ジョコネ。代表の北 奈央子さんです」

■伊久美「お久しぶりです! 女性をコネクトするという思いで、“ジョコネ。”という社名にされたのですよね!? 非常に印象に残っています」

■北「そのとおりです! 覚えていてくださってありがとうございます」

■東島アナ「2024年6月の放送では、スイスで開催されたフェムテック関連イベント“ウィメンズ ヘルス イノベーション サミット”を現地取材された様子について伺いました。スタートアップ企業のサービスや商品をプレゼンテーションするコンテストが行われていることを教えていただきましたが、中でも印象的だったのは、生理の貧困を解決する糸口として、ロールタイプの生理用ナプキンをつくり、無償配布を推進しているアメリカの会社があるということでした。いいね! と盛り上がりましたね」

■伊久美「ロールタイプにはびっくりしました。昨年9月のサミットでも、その会社のかたにお会いしたのですか」

■北「はい。日本で発売、提供できることをすごく楽しみにされていました」

■東島アナ「北さんは、昨年9月、アメリカのボストンで開催された“ウィメンズ ヘルス イノベーション サミット”の取材にも行かれたということなので、またお話を伺いたいと思います。今回のサミットはいかがでしたか」

■北「前回のスイスでの会議の倍くらいのかたがいらっしゃっていて、さらなる盛り上がりをみせていました」

■伊久美「倍の人数ですか!? すご~い」

■北「やはり世界最大といわれるアメリカ開催です。600人以上のかたが参加されました。アメリカ国内を中心に、世界中から多くの人が参加されました」

■東島アナ「今回の開催で印象的だったことを教えていただけますか」

■北「実はですね、、、フェムテックという言葉が、もう使われていなかったのです」

■伊久美「北さ~ん!この番組名は『はじめよう!フェムテック』ですよ~(笑)」

■北「すみません(笑)。まず、カンファレンスの名前が“ウィメンズ ヘルス イノベーションサ ミット”ということで、そもそもフェムテックという言葉が使われていません。私が初めてこのサミットに参加したのはアジア開催の時だったのですが、その時も“なぜフェムテックという言葉を使わないのか”と参加者に聞いてみたのです。そうしたら、“アメリカではもうフェムテックではなく、“ウィメンズ ヘルス”と言うとのことだったのです。そこで、今回も会場でセッションの間に、“ウィメンズ ヘルスと言うかフェムテックと言うか”を、挙手してもらったのですが、ウィメンズ ヘルスが8割でした」

■東島アナ「なぜフェムテックより、ウィメンズ ヘルスという言葉がより使われているのでしょう」

■北「フェムテックというと、女性特有の健康課題、いわゆる生理や更年期、乳がん、子宮頸がんなどに関するデジタルヘルスというイメージがすごく強いみたいです。ただ、女性のヘルスケアの課題はそれらだけでなく、例えば心臓病や、アルツハイマー型認知症など、男女共通のものに広がっているので、そこにギャップがあるということでした。また、デジタルヘルスを超えてもっと医療を巻き込んでいかなければならないという思いがあるようです。“ウィメンズ ヘルスは、人口半分の課題なのだ”ということで、力強いセッションが展開されました」

■伊久美「性別やデジタルだけじゃないということは、すごく納得します。私たちの番組では、当初から“女性が健康になると幸せ。女性が幸せになると男性も幸せになる。男性も幸せになると社会全体が幸せ。つまりフェムテックを広義に捉えてきました。ですから、ウィメンズ ヘルスとほぼ同じ考えなのです」

■東島アナ「確かにシンクロしていますね。ウィメンズ ヘルスということで考えると、妊娠、出産そして更年期の女性特有の健康課題というのは、やはり女性の健康課題の一部という考え方もありますね」

■北「そうですね。実際にマッキンゼー・アンド・カンパニーが、“女性の健康負担がどういうところで起きているか”という調査をしています。その結果でも、女性特有の健康課題による負担は5%だけで、残り95%は男女共通のものだったのです。ですから、フェムテックだと5%の健康課題が対象という印象になるので、もっと広いということを伝えるためにウィメンズ ヘルスと言っているということだと思います」

■東島アナ「その他にも印象的だったことはありますか」

■北「スタートアップ企業と医療機関の連携がすごく進んでいることですね。アメリカの大きな病院グループでメイヨー・クリニックという医療機関がミネソタ州にあるのですが、そこが診療データをオープンにし、スタートアップ企業が解析してモデルをつくり、アプリ上で活用できるプログラムがあります。実際に骨盤痛に関するアプリを開発しようとされている企業の中には、そのプログラムに入って多くの患者データを解析し、痛みの原因の解明をしていく動きをしているところもあります」

■伊久美「日本だと、大きい病院グループが、実績がまだ見えてないスタートアップ企業と組むというのは、あまり想像できないですね」

■北「スタートアップ企業の社会的な位置づけが、アメリカは日本よりポジティブな気がしますし、病院もそういう研究から、なにかを生み出すことに非常に積極的ですね」

■伊久美「変化を認める、進化を認めるというか、すごく素敵なことですよね」

●次回も、株式会社ジョコネ。代表の北 奈央子さんをゲストにお迎えします。

合言葉は「はじめよう!フェムテック!!!」

【番組インフォメーション】 『はじめよう!フェムテック』は、毎週・土曜日15時50分~16時にニッポン放送でオンエア。お聴き逃しのかたは『radiko』のタイムフリー機能で、放送1週間後までお聴きになれます。

●記事まとめ/板倉由未子 Yumiko Itakura
トラベル&スパジャーナリスト。『25ans』などの編集者を経て独立。世界を巡り、各地に息づく心身の健康や癒やしをテーマとした旅企画を中心に、各メディアで構成&執筆。イタリア愛好家でもある。伊久美さんとは28年来の付き合い。https://www.yumikoitakura.com/

●撮影/寿 友紀 

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