結婚式の「ご祝儀」の金額の相場・表書き&中袋の書き方・お金の入れ方・渡し方を解説
2019/01/23
結婚式も友人だけでなく、上司や同僚、部下などの披露宴に招待されることも多くなってきたのでは。そんなときいくら包んだらいいのか、冠婚葬祭アドバイザーの中山みゆきさんに教えてもらいました。
ご祝儀とはそもそも何?
ご祝儀とは「お祝いの行事に対しての心ばかりの寸志(心づけ)」という意味です。元々は、人生や日常の生活において、その節目節目にお祝いする際、お世話になったかたがたへのお礼や感謝の気持ちを表した謝礼としての意味でした。今では、お祝いの行事にお祝いとして金品を贈る習慣になっています。お祝いのお金はご祝儀袋に包みます(お葬式などのときは、不祝儀袋=香典袋に包みます)。
金額の相場は?
下記の一覧は、新郎新婦との関係と年代別にご祝儀の平均金額をまとめたものです。身内を除く20代~40代のご祝儀は、約3万円が平均相場となっています。披露宴でいただく料理の単価がだいたい1万~2万円。引き出物を入れると3万円が相場というわけです。
また、20代~40代に関してはほとんどのケースで年齢に合わせてご祝儀も高くなっています。30代、40代でそれなりのお給料をいただいているかたと、20代で就職して間もないかたとでは金額の差があって当然でしょう。
また同じ年代でもご結婚されるかたとのお付き合いの深さなどにより、多少の違いも出てきます。ただし、会社の取引先に限っては、世代による金額の差はあまりありません。年齢には関係なく、会社でのご自分の立場や状況で判断しましょう。
新郎新婦との関係/年代別・ご祝儀の平均額(単位:円)
【兄弟・姉妹】
・20代:44,306
・30代:62,308
・40代:76,207
・50代:70,000
・60代:75,000
【おじ・おば】
・20代:50,000
・30代:62,667
・40代:63,627
・50代:73,028
・60代:70,374
【従兄弟・従姉妹】
・20代:38,019
・30代:39,176
・40代:36,091
・50代:42,571
・60代:46,667
【その他の親戚】
・20代:32,500
・30代:40,000
・40代:36,786
・50代:46,977
・60代:61,023
【上司】
・20代:30,000
・30代:37,105
・40代:34,759
・50代:35,769
・60代:45,556
【同僚】
・20代:29,797
・30代:28,796
・40代:27,174
・50代:27,917
・60代:23,308
【部下】
・20代:30,435
・30代:30,952
・40代:31,053
・50代:34,000
・60代:33,333
【取引先】
・20代:30,000
・30代:30,000
・40代:42,000
・50代:32,000
・60代:30,000
【友人】
・20代:27,408
・30代:29,057
・40代:28,509
・50代:27,724
・60代:33,571
■データ出典:一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会の調査より(平成19年度)
お札の枚数、偶数はNG?
昔から割り切れる偶数は「割れる(別れる)」といって慶事には避けられているので、お札の枚数は奇数が基本。ただし、現在では「2」はペアと考えられるようになり、金額は2万円でも気にされなくなってきています。その場合は、1万円札1枚と5000円札2枚にして、3枚で奇数。このようにご祝儀袋に入れればいいでしょう。
「8」は末広がりの意味もありOK。また10万円を贈ることもあります。ただし「死」や「苦しむ」を連想させる「4」と「9」は絶対に避けます。
夫婦一緒に招待された場合のご祝儀はどうすべき?
ご夫婦そろって招待された場合、当然お祝い金は2人分です。現在のお祝い金の目安は1人3万円。単純計算で、夫婦だとその倍で6万円。しかし、「6」という数字は偶数で慶事には使わない数字なので、この場合5万円を包むのが一般的です。
【5万円では少ないと思われる場合】
プラス1万円で品物を贈る方法もあります。または、3万円ずつ別々に包んでもいいでしょう。その際は、夫婦同じデザインのご祝儀袋を使いましょう。
【5万円は経済的に負担のある場合】
それぞれ別に2万円包みます。このときも、夫婦同じデザインのご祝儀袋を使いましょう。
ただし、この5万円というのは、遠い親戚・友人・知人の目安であり、兄弟・姉妹や姪っ子・甥っ子の場合は、夫婦合わせて10万円が相場となっています。
子どもも一緒に招待された場合、金額は変わる?
基本的には小さい子どもの分は考えなくても構いません。とはいえ、子ども用の食事が用意される場合は、やはり気になるもの。そんなときは、大人のご祝儀に子どもの分を上乗せして包むのがマナー。ご祝儀1人分の3分の1くらいを上乗せする方法もあります。でも、まだ抱っこの年齢ではプラスする必要はありません。
中学生、高校生ともなると大人と同じように包むのがベストですが、経済的に厳しいのなら、大人の半額程度+品物をプレゼントと言う手もあります。付き合いの深さで考えてみましょう。
ご祝儀袋の水引は「結び切り」が常識
結婚式は1回で終わりたい祝い事だから結び切り
蝶結びは、何度繰り返してもいい「出産」「入学」「七五三」などのお祝いで使う
結婚のお祝いに使うご祝儀袋の水引は、「結び切り」のものを使います。これには1回で終わるという意味があります。「蝶結び」の水引は、解いてまた結び直せることから、何度でもできるという意味があるため結婚式ではNG!
水引には、贈る品物や金包みをしっかり結びとめるという意味があります。また、けがれのないものを贈るという意味もあります。
水引で使われる色は、白、赤、金、銀、黒、黄などがありますが1色で使用する場合と組み合わせて使用する場合があります。結婚などの慶事一般には、紅白、金銀、金赤が使われます。
ご祝儀袋は、包む金額とのバランスを考えて
最近では、豪華なものやデザインが華やかなものなど、ご祝儀袋の種類がたくさんあって悩んでしまいますね。大切なことは、包む金額とのバランス。中に入れる金額が高くなるほど、ご祝儀袋も豪華なものを選びます。
目安として、包む金額の100分の1程度の値段のご祝儀袋を選ぶと間違いないでしょう。
【1万円から3万円を包む場合】
親しい友人の結婚式なら、おしゃれな和紙を使ったものでもOK。ご祝儀袋の値段は、300円から500円程度。
【3万円から5万円を包む場合】
水引が豪華なものを選ぶといいでしょう。ご祝儀袋の値段は、500円から1000円程度。
【5万円以上を包む場合】
松竹梅や鶴亀などの縁起のいい飾りが付いた上質な紙のものを。ご祝儀袋の値段は、1000円から2000円程度。
最近は「Happy Wedding 」などの表書きのご祝儀袋もあります。とてもカジュアルになりますので、こういったご祝儀袋を使うときは、親しい友人に限ったほうがよいでしょう。
表書き・中袋の書き方
表書きは、毛筆や筆ペン、サインペンなどを使い、濃い墨で楷書体で書きます。ボールペン、万年筆はNGです。表書きの上には「寿」「御結婚御祝」「御祝」など、下部分には名前を書きます。
上部分は、最近ではすでに印刷されているものが多いです。もし、上部分を自分で書くときは、「4文字」は避けましょう。これは「4文字」が「死文字」を連想するから。例えば「祝御結婚」の4文字。年配のかたは気にする方もいらっしゃるので、避けたほうが無難です。
【個人名の場合】
名前は中央下にフルネームで、上部分の「壽」などよりもやや小さめに書きます。
【夫婦連名の場合】
名前は中央下にフルネームで、上部分の「壽」などよりもやや小さめに書きます。夫の名前を中央より少し右に書き、その左に妻の名前を。妻の名前は姓は不要で、名前のみで。また、連名ではなく、夫の名前だけ書くこともあります。
【2名連名の場合】
名前は中央下にフルネームで、上部分の「壽」などよりもやや小さめに書きます。右には地位や年齢が上の人、その左にその下の人の名前となります。
3名連名の場合、右から左に地位や年齢が高い人順に書きます。
中袋は、だいたいのご祝儀袋には付いています。中袋の表面には金額を漢数字で、裏面には住所・名前を書きます。結婚式のあとに新郎新婦側がご祝儀をまとめる際に、上包みをはずして整理します。中袋に金額・名前・住所などの記入がないと、上包みをはずすと誰からいくらいただいたかわからなくなってしまうので、必ず記入しましょう。最近のご祝儀袋には金額、住所などを書き込む場所が印刷されているものもあるので便利です。
● 漢数字の例
「壱萬円」「弐萬円」「弐萬伍仟円」「参萬円」「伍萬円」「拾萬円」
お金の入れ方、封のとじ方
中袋の表面に、お札の肖像画をこちらに向け、上部分にくるように入れます。お札はもちろん、新札です。ご祝儀袋の折り返しの部分は、下側の長いほうが上になるように重ねます。
結婚式などの慶事では「喜びは天を向く」という意味から。反対に、お葬式などでは「悲しみはうつむく」ということから、上側が上になるように重ねます。
大人の礼儀を見せつけるふくさの包み方、渡し方
ご祝儀袋は「ふくさ」に包んで持参したいところ。ふくさを用いるのは「お祝い金を汚さないように」と相手を思いやる気持ちの表現のひとつです。ふくさは、慶び事ではえんじ色か赤、紫など赤系統を用います。「紫」は慶事・弔事両方使えるので、1つ持っていると便利です。ふくさがない場合は、小さな風呂敷やハンカチで代用しても構いません。
【ふくさの包み方】
1. ご祝儀袋を、ふくさ中央よりやや左へ寄せる。
2. 左の角をとり、中央に折り込む。
3. 上の角をとり、その上にかぶせる。
4. 下の角をとり、その上にかぶせる。
5. 右を折り、裏へ折り返す。左の上下に小さく三角形ができる。
会場に着いたら、お祝いの言葉「本日はおめでとうございます」「お招きいただきありがとうございます」を述べてから、ふくさごとバッグなどから取り出し、ふくさを開いて両手でご祝儀袋を差し出します。そのときにご祝儀袋の文字が受付係に読めるようにします。
ふくさがなかなか上手にたためない、正直たたむのが面倒、という人には簡易の金封ふくさがおすすめ。
まとめ
ご祝儀の金額から、袋の選び方、包み方までひととおり大人の作法を教えてもらいましたね。結婚式はおめでたい席ですから、失礼のないように、気持ちよくお祝いしたいものです。
教えてくれたのは・・・中山みゆきさん
冠婚葬祭アドバイザー。All Aboutで冠婚葬祭サイトの運用に携わる。現在は、その知識を生かして冠婚葬祭関連のアドバイス活動を重ね、「思いやり」の心を大切にした情報を発信中。
取材・文/有馬未央(KIRA KIRA)