調剤薬局事務ってどんな資格? 医療事務の資格とどう違うの?
2018/11/11
医療事務はよく耳にするけど、調剤薬局事務は聞いたことがないという人も多いかも。実は、調剤薬局事務は子育てママ世代が取得する資格として人気急上昇中なのです。調剤薬局事務の資格のこと、資格の取り方、仕事内容、働き方、給与などを紹介します。
調剤薬局事務と医療事務の違い
医療事務とは、全国の病院やクリニックなどの医療機関の受付、経理や事務などをする仕事。一方、調剤薬局事務の仕事の場所は、調剤薬局。そこが大きな違いです。調剤薬局で薬代の計算や診療報酬明細書を作成するのが主な仕事となります。
調剤薬局事務の資格のメリットは?
昔は病院で診察を受けたあと、病院内で薬をもらっていました。最近では、診察後に、病院の近くにある調剤薬局で薬をもらうことが多くなってきましたね。病院外で薬をもらう「院外処方」は、高齢化社会の日本でますます増加していくと思われます。そのため、調剤薬局事務の求人は増え続けていくでしょう。しかも、調剤薬局は全国にありますから、どこに引っ越しても仕事を探しやすいのもメリットです。
資格はどうやって取ったらいい?
調剤薬局事務の資格を取る方法は大きく分けて4つあります。
【専門の講座に通う】
専門の講師から直接学ぶことができ、質問があればその場で解決できるため、一番効率的な方法です。当然、きちんと通えることが条件。通信講座よりは割高になります。
【専門学校などで学ぶ】
専門学校、短大、大学に入学すれば、じっくり時間をかけて学べます。調剤薬局事務だけでなく、幅広く学べるところがメリット。就職率は高くなりますが、学校に通うことになるため、その分、時間と費用がかかります。
【通信講座を受講する】
時間と場所の制限がない通信講座は、自分のペースで進められて、費用も抑えられるのが魅力。ですが、1人できちんと時間をつくり、やり遂げる意志の強さが必要になります。カリキュラムは充実していて、質問などをメールで受け付けてくれる所もあります。
【独学で勉強する】
自分でテキスト、問題集などを取り寄せて、黙々と1人で勉強する方法。費用
は問題集などの分しか必要ありませんが、かなりの強い意志と覚悟がないと続きません。
受験資格、費用、試験日程など
調剤薬局事務の資格は、すべて民間の資格試験となります。調剤薬局事務の資格試験は薬剤に関する部分のみ。医療全般が範囲の医療事務に比べると、試験の難易度は低くなります。資格試験をいくつか紹介します。
【調剤事務管理士技能認定試験】
・受験資格……不問
・試験日程……年6回(奇数月の第4土曜日)
・試験内容……学科試験、実技試験
・受験料……6500円
【調剤報酬請求事務専門士検定試験】
・受験資格……不問
・試験日程……年2回(7、12月)
・試験内容……学科試験、実技試験(1級〜3級まであり)
・受験料……1級6264円、2級5184円、3級5184円
仕事内容を教えて
処方箋を持って調剤薬局に来る患者さんの受付、診療報酬明細書の作成、会計業務などを行います。いわば、薬剤師さんが自分の仕事に専念できるように事務全般を引き受けるということです。
●受付……患者さんから処方箋を受け取り、薬剤師さんに処方箋を渡します。
●診療報酬明細書の作成……薬剤師さんが調剤した薬の診療報酬明細書を作成します。
●会計業務……調剤された薬の患者さんの負担分を計算して、会計をします。
そのほか、処方箋の入力・データ管理、お薬手帳の確認、電話応対などの仕事もあります。
ライフスタイルに合わせて働ける
調剤薬局事務は正社員、パートタイマー、派遣スタッフと、働き方を自由に選べるため、出産後も働きやすい点が魅力。年齢制限がないのもうれしいですね。子育て中ならパートタイマーや派遣スタッフで、子育てが落ち着いたら正社員として働くなど、自分のライフスタイルの変化に合わせて働く時間を選べます。
どのくらいの給料がもらえるの?
経験やスキルなどによって給料は変わってきますが、大まかな収入の平均を挙げておきます。参考にしてみてください。
●正社員……月給17万円〜19万円
●派遣スタッフ……時給1000円〜1500円
●パートタイマー……時給800円〜1200円
正社員になると当然、各種保険完備、賞与や残業代が別途支給されます。経験とスキルをしっかりと身につけていくと、給与アップも期待できます。
まとめ
医療事務の資格試験より出題される範囲が狭く、比較的手軽に取得できそうな調剤薬局事務の資格。しかも、医療事務と同じくらいの求人の多さ。子育てママに人気の資格ということがうなずけますね。
取材・文/有馬未央(KIRA KIRA)
※記事の内容は2018年9月時点のものです
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参考文献・参考サイト
「最新医療事務のすべてがわかる本」青地記代子監修 日本文芸社刊