最近よく聞く「大人の発達障害」ってなあに?
2020/01/27
忘れ物や遅刻が多い、片づけが苦手、場の空気が読めない、突然キレる……。もしかしたらそれは「発達障害」の症状かもしれません。最近よく聞く「大人の発達障害」について、専門の先生に教えていただきました。
「発達障害」はどんなものなの?
■脳の機能障害による「発達のアンバランス症候群」
小さな問題行動や悩みは、一見すると自分の努力不足や性格、家庭環境の問題ととらえられがち。でも実は脳の機能障害が原因で、決してその人のせいではありません。脳の発達がアンバランスなせいで、できることとできないことの差が大きいだけなのです。
■社会に出てから判明する人が多数
子どものころは知能に遅れがなければ気づかれないままのことが多く、また問題行動が表に出ない子どもの場合、さらに見逃されがち。社会に出て初めて周囲の人とうまくなじめない、仕事や家事がうまくこなせないといったことから発達障害に気づくというケースが多くあります。
■本人の気づきや周囲のサポートが大切
花粉症の人がくしゃみを止められないのと同様、発達障害は生まれもった特性なので、その人の努力でなんとかなるものではありません。ただし本人が発達障害だと気づくこと、そして周囲の人にもその特性を理解してもらうことで、生きづらさはかなり軽減されます。
周りの人や自分にこんな傾向はありませんか?
【タイプ1】
□1人でいることが好き
□スポーツなどのチームプレーが苦手
□本人だけが一方的に話し続けることが多い
□例え話や、軽い冗談が通じない
□人と目を合わせて話すのが苦手
□手順や習慣に強いこだわりがある
□1つのことにハマるとまわりが見えなくなる
□味、音、におい、感触などに敏感
□縄跳びや、球技が苦手
□裁縫など指先を使う作業が苦手
*これらの項目に複数当てはまった人は……
●ASD(自閉症スペクトラム障害)
●アスペルガー症候群
の可能性があるかも?
自閉症の仲間。自分が興味のあることには熱中し、驚異的な集中力を見せるのが大きな特徴で、記憶するのも得意。味や音、におい、感触に敏感で、手先が不器用、運動が苦手という特徴も。対人関係を築くのが苦手で、人と親しくなりたいという気持ちが薄い一匹狼タイプが多い。またコミュニケーションが苦手なので、自分の言いたいことだけを一方的に話し、相手を傷つけたり不愉快にさせることも。
【タイプ2】
□子どものころ、よく「落ち着きがない」と叱られていた
□感情が抑えられず、よくキレる
□どうしても欲しいものは借金してでも買う
□長いつきあいの友人が少ない
□思ったことをそのまま言ってしまう
□ぼんやりして、うっかりミスや忘れ物が多い
□お金の管理や部屋の片づけが苦手
□よく食べ物や飲み物をこぼす
□タバコやお酒なしでいられない
□不特定多数の人と性行動をしがち
□1つの作業に対して、集中力がない
□仕事が長続きせず、転職を繰り返している
*これらの項目に複数当てはまった人は……
●ADHD(注意欠如・多動性障害)
の可能性があるかも?
時間やお金、身の回りのものなど、生活全般の「管理」が苦手。落ち着きがなくいつもそわそわし、1つのことに長く集中できない。衝動性や多動性が強い「ジャイアン」型と、ぼんやりして内向的な「のび太」型、またその混合型もある。行動面の問題だけではなく、社会性、認知機能、運動機能などさまざまな能力に発達のアンバランスがあり、それが大人になってから社会に適合するうえで問題になることが多い。
【タイプ3】
□長文を読むのが苦手
□ブログなど文章を書くのが苦手
□読めない漢字が多い
□簡単な計算もよく間違える
□いつも家計簿の残金が合わない
□誤字脱字がやたら多い
□人に自分の気持ちを話すのが苦手
*これらの項目に複数当てはまった人は……
●LD(学習障害)
の可能性があるかも?
知的発達に遅れはなく、コミュニケーション能力も問題ないのに、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力のうち、特定のものが極端に苦手である(文字を書くのが苦手、文章を理解しながら読むのが苦手、数の概念が身につかず、計算が苦手、位置や日時の認知ができないなど)。中枢神経系に何らかの機能障害があるためと推測されるが、詳しい原因はわかっていない。
※上のチェックリストはあくまで目安であり、これら以外にもさまざまな「発達障害」があります。もし、日常生活を送るうえでこれらの特性からくると思われる悩みがある場合は、必ず専門医の診察を受けてください。
<教えてくれた人>
星野仁彦先生……児童精神科医。発達障害を専門とする児童精神医学の第一人者。福島学院大
学副学長を務めながら、星ヶ丘病院、あずま通りクリニック、ロマリンダクリニックにて診察を行っている。
参照:『サンキュ!』1月号「本人もまわりもラクになる対処法つき 私もあなたも『発達障害』かも?」より。掲載している情報は18年11月現在のものです。監修/星野仁彦(児童精神科医)イラスト/伊藤美樹 構成/竹下美穂子 取材・文/秋山由紀 編集/サンキュ!編集部
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