"人の価値"を形にしブランド化する、ある主婦の挑戦

2019/02/20

主婦から起業というチャレンジに挑んだ女性がいます。彼女が第2子出産後、退社して始めたビジネスは"セルフブランディング"。そんなM・Aさんの今までとこれからについて聞きました。

■お話を聞いたのは……M・Aさん(東京都 36歳)サンキュ!ブロガー。大学卒業後、サントリーに入社。二度の出産経験後「今後は"物"ではなく"人"というブランドを輝かせる仕事がしたい」と18年春に退社、ブランドプロデューサーとして独立。夫と長女(5歳)、長男(2歳)の4人家族

出産後に変わるライフステージに柔軟に対応するために

サントリーに入社後、ブランドマネジャーとして新商品の開発にかかわってきたM・Aさん。長女出産後も仕事のペースを落とすことなく、第一線で働き続けてきたといいます。

ところが、初めて立ち上げからかかわり、つくり上げた商品がまさかの大コケ。

「わが子と同じくらい大切に育ててきた商品だったので、すごく悔しくて、心にぽっかり穴があいたようでした」

その後、2人目を妊娠。仕事と家事・育児の両立はさらに大変になり、自分にとってベストな働き方は何か、自問自答したそうです。「迷いのなか、会社員以外の働き方もあるのではないかと、起業塾に通ってみることにしました。そこで、自分のやりたいことや強み、持っているスキルなどを徹底的に掘り下げ、起業した女性の先輩たちに話を聞きました」。すると見えてきた、新たな選択肢。

商品ブランディングの手法を"人"に置き換えてみる

「私はこれまで、ある商品を売るのに、ほかとは違う個性を見いだし、いかにその価値を高めるか、というブランディングをしてきました。その"商品"を"人"に置き換えると、今まで培った手法がそのまま、今自分のキャリアに悩んでいる人の売り出し方や新たな仕事の見つけ方に直結すると思ったんです」

実際、会社以外の人とも積極的に会ってみようと、かつての友人や異業種の知り合いと交流を持つなかで「マーケティングのやり方を教えて」「どうやって商品を差別化するの?」と聞かれることも多く、自分では当たり前にやってきた仕事が、ほかの人にとっては価値になることも実感したそう。

そしてついに18年の春に退社。ブランドプロデューサーという肩書を創作し、クライアントの個性やスキルをブランド化する仕事をスタート。「例えばご主人の転勤でパリに移住した女性は、フランスの作家のアクセサリーを日本に販売する仕事をしていましたが、いまひとつ売り上げが伸びないことに悩んでいました。そこで、パリで生活するなかで変化した彼女の独自の価値観を商品とともに紹介。すると『彼女の世界観』がより明確になり、買いたい人が増えました」

相談後、クライアントがよりいきいきと頑張る姿を見ることができるのがなによりうれしいと言うM・Aさん。費用はケースによりますが、半年ほどかかわって40万〜50万円くらいだとか。「子どもたちの成長を励みに、ビジネスとしてもこの仕事を成長させていけるよう、頑張りたいと思います」

忙しくても9時間睡眠を確保! 仕事も家のこともやりたいことをやるための小さな習慣

自分の采配でなんとでもなるフリーランスだからこそ、日々の自己管理が大切。M・Aさんの一日と仕事もプライベートも大切にするために心がけている習慣とは?

どこでも仕事ができるよう、バッグに必要なものを全部入れておく

個人カウンセリング、法人向け講座など、日によって仕事内容はさまざま。どんなケースにもすぐ対応するために、この15点を必携。

自分の頭の中を整理する「妄想すごろく」と「頭の中付箋」

やる気が出ない、考えがまとまらないときに1人でやるのが妄想すごろく。自分に次々質問していくと、やりたいことが具体的に。また、やるべきことを仕事、子ども、家事とカテゴリー別に付箋に全部書き出すと、もやもやが晴れ、頭の中がすっきりするとか。

手先、髪先、足先……細部までの気くばりが好印象の肝

「お客さまと向かい合って話をしていると、意外と細かい部分が目につくもの。細部にまで気をつかうことで、私の背すじもピンと伸びる気がします」。仕事のときは必ずハイヒールと決めているそう。

ビジネスの見つけ方・始め方

「今はSNSを活用すれば、個人で簡単に発信できる時代。そんな時代だからこそのビジネスの見つけ方、始め方があります」とM・Aさん。

「そもそもその内容が好きじゃないとビジネスは続きませんよね。まずは自分の過去にまでさかのぼって、自分の好きなこと、好きだったことを挙げてみて。そのなかになにかしらの共通項が見つかったら、それこそがビジネスの種だと思います」。

次はそれについてSNSで継続的に発信を。「例えば『料理下手だった自分が料理好きになるまで』などとして毎日料理レシピを紹介すれば、共感してくれる人が増え、価値あるものとして評価されれば、ビジネスにつながります」

参照:『サンキュ!』1月号「挑戦するわたし」より。掲載している情報は18年11月現在のものです。
撮影/キムアルム、構成・文/宇野津暢子

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