専門家が見た・聞いた、セックスレス解消はじめの一歩
2019/05/15
「恋人・夫婦仲相談所」の所長として、数多くの夫婦にセックスレス改善についてアドバイスをしてきた三松真由美さん。今回は、そんなセックスレス改善の専門家が目の当たりにした、セックスレス解消はじめの一歩について、具体例とともに紹介してもらいます。
セックスレス改善はオーダーメードで提案
筆者はセックスレス改善の方法について、さまざまな夫婦の悩みを聞きながら20年間考え続けています。しかし、この問題は夫婦の数だけパターンがあります。性格も、体型も、性の情報量も、性の体験数も、嗜好もまったく違うかたがたに向け「セックスレスはこうすればバッチリ解決!」という決定的な解決策はありません。
なので筆者は、常にセックスレスに悩む夫婦に合うオーダーメードの改善法を提案しています。よって、セックスレスカウンセリングには夫も妻も来てもらわないと正解に導くことが難しいのです。妻だけの意見を聞いていても偏ってしまいます。夫も堂々とカウンセリングに来る時代になってほしいものです。
今回は、セックスレスに悩んでいた女性側が改善した事例を挙げてみましょう。さきに述べたとおり、この問題は夫婦の数だけパターンがありますが、具体的な解決例が何かしらのヒントになることはあるかもしれません。なお、登場する人物の名前・年齢はすべて仮となります。
改善例1:「したいな」を伝えただけで解消!
ヒロコさん(28歳)はITベンチャーでプログラミングの仕事をしていて、残業は多く家に仕事を持ち帰るほどのハードワーカー。一方、夫のミツルさん(30歳)は定時に帰れる仕事。時間に余裕があるので家事をせっせとこなしていました。
疲れ切っている妻をねぎらい、できるかぎりサポートするハナマル夫。しかし気を遣いすぎて、なるべく長く寝かせてあげようと夜のお誘いはずっと我慢していました。そしてヒロコさんがセックスレス相談に来たのはお誘いがなくなって8カ月目。「夫が寝る前、おでこにチュってするだけでセックスしようとしない」という相談でした。話を聞くと、自分から「抱いてほしい」と伝えてないというので、下から目線でかわいく伝えなさいと助言。すると翌朝ヒロコさんからメールが届きました。
「改善しました!抱っこしてほしいと言ったら、え?僕はずっと我慢してたんだよ。ヒロコがいそがしそうだから。僕だってしたかったさーって、イチャイチャしてくれました」
これは、夫婦仲相談所史上初となる「一言解決」の事例です。
思いやり、優しさ、遠慮……最近の男性はけなげな気持ちがあるので、妻を思いやるあまり、セックスを遠慮していたわけです。しかし、仕事がいそがしかろうが、少々お疲れだろうがしたい女性はいます。女性から希望を言いにくいかもしれませんが、勇気を出して「一言」を発すれば、たちまちセックスレス解消につながる可能性もあるわけです。ただし、伝え方には注意。「なんでしてくれないの」「私に魅力を感じなくなったの」的な強要はいけません。下から目線を心がけましょう。
改善例2:スキンシップを徐々に増やして解消!
マリエさん(35歳)は2年間同棲していた夫タツキさん(36歳)とセックスレス6年目でした。結婚前からのセックスレス改善はなかなか難しいのですが、手をつなぐことも少ないと言っていたので、まずは背中や腰のマッサージをきっかけに「触る回数」を増やすようアドバイスをしました。
タツキさんが腰痛持ちだったので、夜、30分のマッサージ。最初はパジャマの上からでしたが、慣れてきたらオイルマッサージに切り替えました。裸になったタツキさんのパンツを下ろしてヒップまで撫でてあげるとタツキさんのスイッチが入ったのがわかりました。家ではそこ止まりと言うので、記念日や誕生日にホテルでマッサージするよう助言。マリエさんは実践し、ホテルでついにセックスレス改善。
セックスレスの前に必ずスキンシップレスがあります。まず触る、触り合う。3秒でいいので相手の身体にタッチする習慣をつけてください。非日常空間に脱出するのも大事です。家の中はマンネリムードが漂いますのでたまには出かけてみましょう。
改善例3:セックスフル夫婦と遊んで解消!
ナミさん(34歳)とヒデトさん(37歳)は幼稚園年中の子どもがいます。子どもが生まれてからのセックスレス。よくあるパターンです。ナミさんが勤務している会社の同僚ジュンカさんは、夫婦2人で海外に行ったり、インスタ映えする店に食事に出かけたりと恋人気分満載の夫婦。また、ジュンカさんは女子会でセックスの話も明るくするタイプ。これを聞いた筆者は、ナミさんにジュンカさん夫婦と食事に行ったりホームパーティーして、オトナの話ができるようになればいいと提案しました。
約半年後、ナミさんから「5年ぶりにできました!」の報告。ジュンカさん夫婦とヒデトさんも腹を割って話す仲になり、ジュンカさんと夫のダイスケさんが「エッチって大事」という話を切り出したのです。そのうち男同士で飲むようになり、ダイスケさんから刺激を受けたヒデトさん。4人でセクシー映画を観ようという流れに。そして生唾ゴックンの映画を観た夜、ついにリカバリー成功したと言うのです。
きっかけは大事です。淡々と生活しているとずっとそのまま年齢を重ね、脳が老化してゆきます。セックレス期間が長い場合はあえて刺激を入れ込んだり、自分たちと違う考えを持った友達や、今までなら触れなかった官能コンテンツを持ち込んだりしましょう。
今回は3つのセックスレス改善事例を挙げました。3組の夫婦ともまったくタイプも生活スタイルも違います。ヒロコさんは仕事優先バリキャリのように見えますがじつはもろい、守ってほしいタイプ。マリエさんは恥ずかしがりで無口な控えめ女性。ナミさんは流行に敏感でファッショナブル。SNSフォロワ―がたくさんいます。
つまり妻のもタイプも夫のタイプも違います。深い部分まで書けませんが、夫の性格、恋愛遍歴を考慮して夫のセクシースイッチを触ればセックスレス改善は夢ではなくなる、ということです。
日常生活の中で軽くタッチしあったり、オトナの会話をするように心がけることを怠ってはいけません。「千里の道も一歩から」という諺はまさにセックスレス夫婦のリカバリーへの状況を示す言葉ではないかと思います。
◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。