夫を「大事な人」と思う70代女性はわずか6%!?ショッキングな男女差はなぜ生じたのか?夫婦関係のプロが徹底解説

2024/01/29

長年付き添った夫婦。ともに相手を「大事な人」として見ている…と思いたいものですが、実際には異なるようです。「恋人・夫婦仲相談所」の所長である三松真由美さんに、70代夫婦が抱える問題と、その回避策について解説してもらいました。

会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、We...

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全体の離婚数が減少傾向の一方で、上昇傾向が続く熟年離婚

厚生労働省の「令和4年人口動態統計特殊報告」によれば、「同居期間20年以上の離婚」、いわゆる「熟年離婚」の割合は21.5%。

全体の離婚数が減少しているにもかかわらず、「熟年離婚」は昭和25年以降、上昇傾向にあります。

年を重ねてからの離婚は、健康面でも経済面でも多くの困難が待ち構えているはずなのに、それでも夫婦関係を解消したいという人が増えているという事実。私たちの将来の姿である「熟年カップル」には、どんな問題点が待ち受けているのか、今のうちに“傾向と対策”の学習をしておきましょう。

妻が夫に向ける冷ややかな視線の原因とは?

「幸せな熟年カップル」になるために、今から気を付けておくべきことは何なのか?

それを考える上で参考になるのが、50代以上の女性を主な読者層に持つ雑誌「ハルメク」がおこなった「シニアの夫婦関係・パートナーに関する調査2023」というアンケートです。

ここには、私たちの先輩である現50~70代夫婦のリアルな声が公開されています。この結果を見てまず気になるのは、「夫婦関係の満足度における男女差」です。

「満足」「やや満足」と回答した人は2022年を除き、2020年から2023年まで一貫して女性のほうが低く、2023年は7.3ポイントの差があります。

この差は夫婦の年代によっても異なっており、なかでも70代の差が大きく、2023年は男性の80%が「満足」「やや満足」と答えたのに対して女性は58%。ちなみに70代男性の80%という数字は全世代の男女の中でもっとも高く、70代女性の58%は全世代の男女の中で最低値という、両極端な結果となっています。

これだけでも、パートナーへの視線は女性のほうが冷ややかであることが見て取れます。しかし、さらにショッキングな結果もありました。

「配偶者はどのような存在か?」という質問に「この世で一番大切な人」と答えた70代の内訳を見ると、男性24%に対して女性は6.0%。

70代の男性の妻への想いの厚さに対して、女性の夫に対する思いの薄さ!

70代になると夫婦間で相手への熱量に相当大きなギャップが生まれていることがわかります。なぜ、男性にとってはパートナーが「この世で一番大切な人」なのに、女性にとってはそうではないのか。

それを読み解くカギの1つは、パートナーへの「依存度」だと考えられます。

出典:PR TIMES

前述の「配偶者はどのような存在か?」という質問の回答の中で、男女差が大きい項目にこんなものもありました。

「手のかかる子供」(70代)→男性0% 女性8%

一般的に年齢が上がるほど、男性から女性への依存率が高まる傾向があります。食事、洗濯といった必須の家事から、この世代には欠かせない健康管理、通院・服薬。心身の状態によっては日々の生活の介助・介護などを妻が一手に引き受け、夫は妻に「お世話されている」という状況にある家庭が少なくないであろうことが想像できます。

リタイヤして家でぶらぶらしているのに、食事の支度は一切しない。家の中で何がどこにあるのかわからない。妻が出かけようとすると「俺の飯はどうなるの?」と嫌な顔をする。あちこちが痛い辛いと妻に不調を訴える。加齢で頑固になり、妻の言葉に耳を貸さないどころか、日々のニュースにいちいち怒って持論を述べまくる。

「うるさい。何様?」と妻が思ってもしかたありません。

夫にとっては、衣食住のライフラインすべてを担っている妻は、その存在がなければ生きていけない「この世で一番大切な人」でしょうが、そんな妻にべったり依存する夫が、妻にとって「この世で一番大切な人」なわけはありません。

70代になってもパートナーを「大切な人」と思えるために今やるべきこと

70歳になったときに夫婦関係に満足していられる女性になる。そして妻にとって夫が「この世で一番大切な人」になっているためには、30~40代で夫の家事能力(生きる力)を上げ、自立性を高めておくことが大切。

「説明してもうまくできないから」「自分がやったほうが早いから」「頼むと嫌な顔をされるから」などと、様々な家事を妻が合理性を追求してやってしまうと、いつまでたっても妻に依存したままです。

また「このやり方じゃなきゃダメ!」というマイルールにこだわりすぎると夫のやる気も育ちませんので、妻側も「家事の多様性」を認める度量が必要です。不完全家事上等です。

一般的には、日常のいろいろなことを気づいて先回りしてやってあげる女性が「女子力が高い」「気が利く」などと高評価されがちです。確かに昭和の時代は、それがモテ度に反映されました。

しかし「気が利きすぎる妻」は「依存する夫」を生み出します。「先回りしてやってあげる」のではなく、気づいたら優しく指摘し、どうすればいいかをアドバイスし、パートナー自身に動いてもらう。

「うちの夫は私に頼りっぱなし」とあきらめず、日々教え、褒めたり感謝したりしながら夫の自立性を育てていくことで、20年後、30年後の夫婦の満足度が上がっていきます。

「70代?まだまだ先の話すぎて…」という方々にこそ伝えたい。

年齢が上がるほど脳機能の加齢で、人は新しいことに挑戦したり、変化したりすることを望まなくなります。「50歳になったらそうしよう」では、遅すぎるのです。

妻が現状維持思考になると、夫は100歳になってもそのままです。70歳になったとき「夫がこの世で一番大事」と断言できるかどうかは、今現在が勝負時と自身に言い聞かせて生きていってください。



◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。

三松真由美さん最新刊「夫とだけ、感じません」発売中

出典:Amazon

 
 

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