結婚生活で起きる5つの離婚危機と対処法を専門家が解説
2019/05/27
夫婦生活を続けるうえでは、さまざまな困難やトラブルが起きます。そのなかでも、最悪のケースのひとつが離婚。今回は、夫婦関係のスペシャリストである「恋人・夫婦仲相談所」の所長・三松真由美さんに、結婚生活の離婚危機が起きやすい状況について解説をしてもらいます。
日々形を変えて積み重なる「イラ」が離婚につながる?
誰しも「永遠に続く愛なんてあるもんか!」と、結婚相手に対してそんな気持ちを抱く瞬間が1度や2度はあることでしょう。
夫であれば「遅刻しそうになって急いでいるのに、ゴミ出しを鬼顔で強要された」「実家の親が病気になってヘルプを求められたのに、兄嫁に任せなさいよと無視された」「ワイシャツを着ようとしたら全部しわくちゃゃだった」
妻であれば「保育園のお迎え時間に遅れたら母親の役割を果たしていないとなじられた」「いそがしくて、できあいの惣菜夕食が続いたら、仕事辞めろと言われた」「夫の口癖は、おまえ、教養ないな。ニュース読めよって…何様?」
などなど…どの家庭でもありそうなワンシーンではありませんか。1度くらいであれば、それほど根には持たないでしょう。しかし、結婚生活は続いていくもの。こんなイラっとするシーンが、日々形を変えて積み重なるわけです。
なかには慣れてしまったり、聞き流す術を体得したりしてスルーできる人もいます。いちいち腹を立てていてもしょうがないと余裕で構える人もいます。あるいは、自分が悪かったと反省する人もいます。
しかし、そうできない場合どうなる?最悪のケースとして起こるのが離婚です。
今回は、結婚生活の中で起きやすい離婚危機について、夫婦仲相談所視点で解説・アドバイスをご案内します。
危機的状況1:金銭感覚不一致
相手のお金の使い方は、交際中の段階である程度はわかるもの。にも関わらず、結婚後「これほどルーズだとは思わなかった!」と驚かされる場合があります。あるいは、新しい趣味ができた、起業したくなった、ギャンブルに目覚めたなどで、自己資産を大幅に上回った使い方をすることも。
秘密の借金がばれた場合、怒りは増幅します。借金していることを知らなかったという不信感による喧嘩は夫婦仲相談所に多数寄せられます。
浪費の逆もあります。厳しすぎる節約に夫は息が詰まってしまい、妻のことを嫌いになってきたという話もありました。
浪費にせよ節約にせよ、相手のことを考えない自己中心的なお金の使い方は不愉快なこと。離婚を考えて当然でしょう。
危機回避アドバイス
家庭の収入を把握し、2人で話し合いながら使うという基本ができてない夫婦は少なくありません。毎月1度、2人で家計の経営会議を開く意識を持ちましょう。
まとまったお金を支出するときは30分くらいでもいいからちゃんと話し合う。相手に対して日々のむだづかいの不満があるなら、すり合わせをする。節約したぶん、貯金できたら褒め合うなど、お金を動かすときにメリハリをつけましょう。借金は認めないけれど、へそくりは認めるなどの余裕も必要です。
危機的状況2:傷つく言葉言いたい放題
言葉や悪意ある態度で相手を威嚇する、精神的苦痛を与える、都合の悪いことが起きたときに相手のせいにする、自分の非は認めない…いわゆるモラハラです。
「こんなメシしかつくれないの」「なんでこんなことできないわけ?」「あなたが偏差値低い大学だからこの子も似たのよ」「あなたの息、臭い。ここで息しないで」などなど、言った本人は軽い気持ちだったとしても、相手には深刻なダメージとなりかねません。
言葉だけでなく、荒っぽい動作でテーブルや壁を叩いたり、怒っているふうにドアをバタンと閉めたり。クッションを投げるのも相手を萎縮させます。
これらのことが日常的に発生すると、相手の顔を見るだけで吐き気がするようになるのです。自分を敵対視する人、蔑む人とは一緒にいたくない…離婚もやむなしでしょう。
危機回避アドバイス
嫌な言葉を言われたとき、いちいち「それ言われると傷つく」など解説していられません。「あなたはどんなことを言われるとイラっとする?」とあらかじめ聞き出し、「私がそれを言ったら指摘して。直すから」と伝えます。
“自分が変われば相手も変わる”作戦です。お互い言われると嫌な言葉を3つずつ書いて貼っておくくらいの遊び心も必要です。どの言葉が相手を傷つけるかをいちいち考えずに吐いているのが現状です。ビジュアル化はバカにできません。もし、これだけやっても変わらないようであれば、逃げることも選択肢に入れておきましょう。
危機的状況3:不倫
不倫はパートナーをとことん傷つける行動です。不倫相手にプレゼントをしたり、食事をごちそうしたり、ホテル代を払ったりと金銭をかけている場合、夫だけでなく家のお金も盗まれたと感じます。教育費のために妻が働いてがんばっているのに、不倫相手にお金使うなど不届き千万。そう思われてもしかたありません。
場合によっては、パートナーに相手にされない寂しさを埋めるために始まったシビアなケースの不倫もあるでしょう。不倫にもさまざまな種類があります。しかし、どちらにしても法的に不貞行為とみなされるので、アウトです。
危機回避アドバイス
こうすればよいという定番対処法はありません。「許して忘れる」を選択した場合は、今後ほじくり返すことをせず、昇華させることに専念してください。思い出したように小言を言うと、すっきり改善は遠くなります。
危機的状況4:親族とのいさかい
結婚自体に親族が賛成でなかったという場合は、陰で相手への不満をあらわにします。冠婚葬祭のとき、里帰りで顔を合わせたとき、あからさまなモラハラ状況になる。
「財産目当てで結婚した」「家柄が釣り合わないのにもらってやった」など昭和的発言もいまだ残っています。単純に嫁に嫉妬してトゲをチクチク刺す姑さんもいます。ここに相続問題、介護問題が加わり、泥沼化すると十分離婚理由になります。
危機回避アドバイス
姑舅問題は発展すると修羅場となります。そこで夫が妻の味方をするか、父母の味方をするかは重要なポイントです。
親族にはひどい仕打ちをされるけど、夫は自分を守ってくれるという揺るぎない確信があれば、離婚は避けることができます。放置、見ないふりが1番やってはいけないことです。
危機的状況5:セックスレス
セックスレスだけで離婚なんかするの?と感じるかたもいるでしょうが、セックスレスの裏に潜むさまざまな問題を見過ごしてはいけません。「なぜセックスレスになったのか」を真剣に考える夫婦とそうでない夫婦は、離婚確率は違ってくることでしょう。
性欲がない、妻がオンナに見えない、夫に色気を感じない…そんな表面的事象だけがセックスレスの原因ではありません。セックスレスに至るまでの心の叫びが、離婚につながります。
危機回避アドバイス
不倫同様、原因が多岐にわたるので、一般的なアドバイスはありません。まずはお互いの理由を明確にする。理由がわかれば「じゃあしょうがないね」でやり過ごせるかも知れません。セックスに関する会話ができていないことが問題です。どうしてもセックスレスを改善したい場合は…それだけで1つの記事になってしまうので、機会を改めて解説したいと思います。
◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。