その使い方で大丈夫?間違えやすい日本語「失笑」の本当の意味とは
2021/01/26
みなさんは、いつも使っている日本語の意味を正しく理解できていますか?よく意味を調べないまま使っていると、とんでもない勘違いをしているかもしれません。
たくさんの人が意味を間違えている言葉が、実はいろいろあるのです。
意味を間違えやすい日本語の言葉について、国語科教員免許を持つサンキュ!STYLEライターのdanngoさんが解説します。
「失笑」の使い方、どちらが正しい?
今回は、「失笑」という言葉の使い方について考えてみましょう。次の2つの例のうち、どちらが正しい使い方だと思いますか?
【A】飲み会の席で酔っぱらった上司がつまらない自慢話ばかり繰り返すので、みんな「失笑」して酔いもさめてしまったよ。
【B】結婚式のスピーチをつとめた上司が緊張のあまり震え声になってしまい、ときどき声が裏返ることまであったので、たまらず「失笑」してしまったよ。
正解は……
答えは【B】でした!
「失笑」の本来の意味は「こらえきれずに笑う」です。ふつうに笑うのとは違い、我慢していたにもかかわらず、ついふき出して笑ってしまったときに使います。自分の過失のせいで相手に笑われたときには「失笑を買う」という表現もよく使いますね。
現在は【A】のように「笑いも出ないくらいあきれる」という意味で使う人が増えてきているそうで、文化庁による平成23年度の「国語に関する世論調査」では6割の人が【A】の意味で使っていた、という結果が出ています。
「笑いを失う」と書くので勘違いしやすいですが、本来の意味とはほぼ逆なので気をつけましょう。
いかがでしたか?正しい意味で使えていたでしょうか。
世代間で理解度に差があることも多いので、年の離れた人に手紙を書くときなどは特に気をつけたいところです。
とはいえ、長い歴史の中で言葉の意味が少しずつ変わっていくのは自然なこと。勘違いされている意味も、「最近では」「俗に」という言葉を添えて辞書で紹介されることが増えてきています。
正しい意味をふまえたうえで、間違った意味も受け入れていく柔軟さがあってもいいかもしれませんね。
◆記事を書いたのは・・・danngo
国語科教員免許と漢検準一級を持つ、アラフォーの専業主婦。二児の母で、子育て関連の記事を書くのが得意です。本を読むのが大好きですが、一度読み始めると家事がおろそかになってしまうのが悩み。子どもの遊び相手をすると本気になりすぎて怒られ、家事は手抜きになる一方です。甘いもの、日本の古いものをこよなく愛しています。