60代の先輩に聞いてみた!キッチンで大切にしてきたこと

2021/06/27

どんな場面でも遊びを大切に、自分を労り、いやにならないようにと気をつけてきた随筆家の山本ふみこさん。道具の数は最低限に、飾るとしまうを分けて使うなどさまざまなキッチンの工夫を教えてもらいました。

<教えてくれた人>
山本ふみこさん
随筆家。58年北海道小樽市生まれ。「ふみ虫舎通信エッセイ講座」主宰。『朝ごはんからはじまる』『まないた手帖』(毎日新聞社)、『おとな時間の、つくりかた』(PHP文庫)、『暮らしと台所の歳時記――旬の野菜で感じる七十二候』(PHP研究所)、『こぎれい、こざっぱり』『台所から子どもたちへ』(オレンジページ)、『家のしごと』(ミシマ社)ほか、キッチンに関する著書多数。

泣いたり、遊んだり

先輩主婦が云いました。
「台所で不機嫌はだめ。いらいらは味つけに影響しますからね」
そうかもしれません。
でも、わたしときたら、若い日から、台所でぷりぷり怒ったり、ちょっぴり泣いてふきんで(!)涙をぬぐったりしてきました。なぜといって台所は、わたしにとってひとりで好きなようにしていられる場所ですから。
「こんちくしょう」とばかりに、目にふきんを当てている女なんてのは、絵にならないかもしれませんが、そんなこと、かまうものですか。
ひとがどう云おうと、好きなようにすればいい……。台所に限らず、わたしはいつもそうしてきました。

どんな場面でも、遊びを大切にしています。しごとも、仕事も(家事を「しごと」、職業を「仕事」と使い分けています)いやになってしまわないように、気をつけているのです。

料理の遊びは、盛りつけです。
器選び、盛りつけ、そうして「天盛り」と「吸い口」で遊びます。あえものや煮ものの盛りつけのさいごにのせる飾りが「天盛り」、吸いもののお椀に添える香りが「吸い口」です。
遊びを際立たせる役者として、かんきつ系の皆さん(レモン、すだち、かぼすほか)やねぎは、つねに出番を待っています。そのほか、大葉、ゆず、木の芽、新しょうがなど、季節ごと、楽屋はいつもにぎやかです。
たとえば、きょうもきょうとて、出先から急いでもどる途中、近所のラーメン屋さんに寄って、5つ入りの餃子を1パック求めました。大きくて、おいしい餃子です。
これを椀種に。
大餃子を半分に切って椀に置き、すまし汁を注ぐと、愉快な吸いものになります。家の者たちに人気のひと品ですが、小口切りにした青ねぎやら、ゆずのせん切りやらを、さいごにちょんとのせますと、助けてもらうばかりではない、共演のよろこびが生まれるのです。

台所はいつもがらんとしています。道具の数も最低限です。「がらん」のなかで、やる気と工夫が湧いてきます。

冷蔵庫横に下がっている5人衆。5人衆は、引き出しにしまわない飾り置きという位置づけです。「しまう」と「飾る」を分けて使っています。

大鍋は、米の保存場所。この大鍋は忙しい日、スープをどんと作るときに活躍します。スープ→シチュー→グラタン(あるいはクリームコロッケ)スープ→カレー→カレーうどんというぐあいに変化させます。しかし、ふだんは、米を懐にしまっていてくれるのです。直径30cm、高さ28cmの大鍋です。

大事な道具は数数あれど、鉄瓶にはほんとうにお世話になっています。母から譲り受けたこの南部鉄瓶は、50年選手です。

この戸棚には、「お助け」たちが隠れています。炊き込みご飯の素、レトルトカレー、ルーローハンの煮込みソースなど。いざというとき「お助け」たちがいてくれる!は、安心とたのしみにつながります。「自分を労わる」「いやにならないように(自らに)気をつかう」は、わたしの大事な約束なのです。

参照:『サンキュ!』2021年7月号「何かを変えたいならキッチンから始めよう!」より。掲載している情報は2021年5月現在のものです。撮影/代島治彦 構成/yuh 編集/サンキュ!編集部

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