「入学」ゴールはじゃない!今はこんなに多様化してる!子どもの進路最新NEWS
2022/09/10
20年に大学入試制度が変わり、進路や受験をめぐる環境も大きく変化。また、子どもの多様化にともない、その特性に合った多彩な進路や学習環境の提供も進んでいます!気になる最新ニュースをお届けします。
<教えてくれた人>
ライフコンサルタント 山田遼平さん
自分らしい人生を歩むための個別の興味、課題に合わせた情報提供やライフプラン設計を行う「LITALICOライフ」のシニアライフコンサルタント。FPの資格を持ち、ファイナンス・教育・障がい福祉の専門家として勉強会や面談を実施。
1 悲しいことに、日本の教育費は上がっていく傾向
幼児教育・保育や高等教育の無償化などが実施されるいっぽうで、物価の上昇や少子化の影響を受け、大学の学費は公立も私立も年々上昇傾向に。教育費の大半は大学の学費が占めることから、世帯収入が上がらないなかで、家庭の教育費負担は増え続けています。
出典/文部科学省「平成30年度子どもの学習費調査」、「平成30年度学生納付金調査結果」、「平成30年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員一人当たり)の調査結果について」より。
学校外の教育費も値下げは期待できなさそう
親自身が大卒で、「質のいい教育を求め、塾や家庭教師などにもお金をかけたい」という教育熱心な家庭が増加。こうした背景から塾など業界内の価格競争が起きにくく、金額が下がらない要因に。
そんななか高校・大学の「受験・進学」に大きな変化が!
2 大学生の約半数が奨学金を利用
日本学生支援機構の「令和2年度学生生活調査」によると、大学(昼間部)で49.6%の学生が奨学金を利用。今や学生の2人に1人は奨学金を借りる時代なのです。数百万円単位となる大学の学費の調達手段として、奨学金の利用は一般的になっています。
3 私立大学では推薦枠での入学が約50%にも!
近年は学校推薦型選抜(推薦入試)や総合型選抜(旧AO入試)が増え、私立ではその割合が50%に。大学側がより学生の個性や多様性を求めるようになったことや、早めに学生を確保したい大学側と浪人は避けたい受験生側のニーズが一致したことも大きな原因。
4 特性や心配のある子どもたちにも幅広い選択肢が
20年度に不登校と認定された小中学生は過去最多に。そのいっぽうで、義務教育終了後の進学先の選択肢も広がっています。
例えば高校進学もいろんな学校が
定時制高校【総額約13万円~】
毎日の登校が必要だけれど、午前や午後、夜など通う時間帯を選べ、1日の授業時間は短め。高校卒業資格を得られる。
通信制高校+サポート校【総額約159万円~】
サポート校は通信制高校と連携し、通信制に通う生徒の高校卒業資格の取得を支援。大学受験や就職などのサポートも。
高等専修学校【総額約150万円~】
工業、農業、医療、衛生、服飾など、さまざまな職業に就くための具体的な教育に重点を置き、資格取得などを支援。
フリースクール【月額平均3万3000円~】
不登校の子どもを受け入れる教育機関。入学資格はなく、規模や形態、費用もさまざま。オンラインで学べるところも。
※各金額は卒業までにかかる学費の目安の額です。地域や学校によって異なります。また、高等学校等就学支援金制度の対象となる場合もあります(所得制限あり、月単位のフリースクールは除く)。
5 日本の外で学ぶ子どもも増加
20年はコロナ禍で激減したものの、この10年の留学者数はほぼ右肩上がりで増えて、今後も増加が見込まれます。1カ月未満の短期留学が主流で、最近は韓国や台湾などアジア圏への留学も人気。
6 少し苦手なことがあっても、今はいろんな学び方がある!
例えば「授業で先生の話を聞くのが苦手な子」には、絵など目で見て理解しやすいタブレットを活用した通信教育。「集団行動が得意じゃない子」には、臨床心理士の資格を持つ家庭教師による学習サポート。こうした子どもの個性や特性に寄り添った学習方法の選択も増えてきています。
ゴールは「入学」ではなく、「卒業後どう生きていくか」
進路を考えるうえで意識したいのは、希望の大学や学校に入ることがゴールではないということ。その環境で本人が何を学び、卒業後にどんな道に進みたいのかをまず考え、そのためにはどこで学ぶと良いのかを考えることが重要です。また、親がその子の特性を理解し、子どもが学びやすい環境や学習スタイルを整えてあげることが大切。将来の自立に向けた、大切な一歩となります。
取材協力/LITALICO(りたりこ) https://litalico.co.jp/
LITALICOライフ https://life.litalico.jp/
参照:『サンキュ!』2022年9月号「教育費いくらかかる?丸見え!完全準備ブック」より。掲載している情報は2022年7月現在のものです。構成/竹下美穂子 構成・取材・文/鹿島由紀子 編集/サンキュ!編集部