今こそ知っておきたい『経済とお金』の基本。値上げラッシュは今後も続くの⁉
2023/03/08
暮らしには欠かせないお金、でも経済とはどんな関係があるの?ものやサービスなどの商品にかかる値段は経済によって変化します。専門家がわかりやすく解説。経済のきほん用語集や、お金だけがすべてではない考え方も参考にしてみて。
経済とお金の関係を知ろう
ものやサービスなどの商品はお金を払うことで手に入ります。そして商品にかかるお金、すなわち値段は経済によって変化します。
値段は「もうけ」、そして「需要」と 「供給」で変化します
ものの値段を決めるポイントの1つ目は、作る側にとっての「もうけ」。食パン1斤を作るのにかかった費用が合計200円だった場合、1斤300円で売れば、100円の「もうけ」が出せます。2つ目に大切なのは「需要」と「供給」のバランスです。買いたいというお客さんが「需要」で、売りたいものが「供給」です。買いたい人が多いのにものが少ないと値段は上がり、ものは多いのに買いたい人が少ないと値段は下がるのです。(監修/永濱利廣)
値上げラッシュだった22年。こうした状況は今後も続く!?
今の日本は「もうけ」が出にくく、「供給」より「需要」が上回っていて、ものの値段が上がり続けるインフレの状態。こうした背景には、ロシアのウクライナ侵攻による原材料費や資源価格の高騰、新型コロナウイルス大流行による物流の混乱、円安による輸入品のコスト増など世界情勢が深く関係しています。以下のもの※は引き続き値上がりすると予測されますが、世界各国のインフレ対策の影響で、電気代やガソリン代は下がりつつあります。
年明けにかけて値上がりするもの※
□パン類
□麺類
□菓子類
□外食費
□飲料、ビール類
毎年4月と10月に売り渡し価格の改定が行われる小麦など、10月から価格改定された商品は多いです。これまでの値上げは原材料費高騰、物流コストの上昇が理由ですが、22年秋以降は急激な円安による輸入コストの上昇も価格に反映され、一部商品は再値上げも予想されます。
経済のきほん用語集
●「景気」
国全体の経済活動が活発かどうかを表すもの。みんながものやサービスにお金を使い、会社がもうかってそこで働く人の給料が上がれば、さらにお金を使うようになる。この状態を「景気がいい」といいます。反対にものやサービスが売れず、会社がもうからないから給料も上がらず、ますますものが売れなくなる。この状態を「景気が悪い」といい、景気が悪くなると物価は下がっていきます。
●「値段(価格)」と「物価」
値段と価格は同じ意味で、値段(価格)はものやサービスなど1つの商品の価値を金額で表したもの。商品の値札に書かれているのが値段(価格)です。これに対し、物価は特定のものやサービスの金額ではなく、地域や国など、もっと広い目で見たものやサービスの水準を表す言葉。世の中全体を見たときの、ものの価格の動きを物価といいます。値上げラッシュでさまざまな商品の値段(価格)が上がっている今は、物価も上がっているといえます。
●「円安」と「円高」
円安は外国のお金に対して円の価値が下がることで、逆に円高は円の価値が上がること。1ドルに対しての円の価値が100円から130円になると、以前は1ドルの商品を100円で買えたのに、今は130円が必要に。つまり、それだけ円の価値が下がった(円安になった)といえます。外国のお金と円の交換比率(為替レート)は日々変動し、みんながドルより円を欲しがれば円の価値が上がって円高に、円よりドルを欲しがれば円の価値が下がって円安になります。
●「インフレ」と「デフレ」
会社がもうかってそこで働く人の給料が増えると、ものを買うときに「少し高くてもいいものが欲しい」と考えるように。また、売る側は「少しくらい高くても買ってもらえる」と考えるようになり、ものの価格が上がります。これはお金より、ものの価格が上がるということで、このように物価が上がり、お金の価値が下がる状態をインフレーション(インフレ)といいます。逆に、ものが売れなくなって物価が下がり、お金の価値が上がる状態をデフレーション(デフレ)といいます。
(監修/永濱利廣)
やっぱりお金はたくさん必要?
今のような不景気では、お金が足りないかもと不安になるのは当然。しかし、私たちの暮らしはお金だけが支えているわけではありません。
「お金だけが資産」と思い込むのは、実は勘違いです
皆さんは資産がどのくらいありますか?「資産なんて特に……」と答えた人は、それは勘違い。資産は「強み」とも言い換えられます。性格など"心"、特技や趣味など"技"、体力面の強みや身体的特徴など"体"も資産。自分の強みがわかれば、お金以外の資産も生かし、自分にとって幸せな暮らしを送れるのです。(監修/レオス・キャピタルワークス 仲木威雄)
「心」「技」「体」だって資産になる
体力があるなら人より長く働くことができるし、外で稼げなくても「料理が得意」「家の中を明るくできる性格」があれば働く夫のサポートができます。これは家計にとって立派な資産!
自分にとっての幸せがわかれば、やみくもに不安にならない
お金持ちになりたいという人も、今の暮らしに不安や心配があるのか聞くと「そんなことはない、満足です」と答えたりします。"満ち足りた暮らし"に必要なのは、莫大な財産ではなく、自分にとっての幸せを見つけること。それがわからないと貯蓄額ばかり気にしたりガマンだらけの節約をしたり、"間違ったお金持ち"を目指すことに。(監修/丸山晴美)
「何をしている時間が楽しいか」考えてみよう
大きな夢や目標でなくても、日々を振り返り「○○しているときが楽しい」「10年後も○○していたい」などを書き出すと、自分にとっての幸せや、理想の暮らしの手がかりに!
<監修>
・永濱利廣さん
第一生命経済研究所首席エコノミスト。著書『エコノミストの父が、子どもたちにこれだけは教えておきたい大切なお金の話』など。
・仲木威雄さん
資産運用会社レオス・キャピタルワークスの「つみたて伝道師」。全国各地で投資の本質を伝える活動に従事。
・丸山晴美さん
節約アドバイザー、ファイナンシャル・プランナー、消費生活アドバイザー。モットーは"効率よく、ケチじゃない節約"。
※本書は『サンキュ!』17年3月号~ 22年11月号に掲載された記事を抜粋、加筆、再編集しています。読者やサンキュ!アンバサダーの名前、年齢、家計などについての情報は、取材当時のものです。それ以外の情報は特別な表記がない限り、2022年12月21日時点のものになります。
※名前は本人の希望により仮名を使用している場合があります。
※月収、年収は手取り額、ボーナスは年間の手取り額で記載しています。
※投資には元本保証はありません。損失のリスクも検討し、自己責任のうえで行ってください。
参照:『サンキュ!』2023年3月号「お金のきほんがわかる本」より。掲載している情報は2023年1月現在のものです。監修/永濱利廣、仲木威雄、丸山晴美 編集/サンキュ!編集部