世帯年収700~1,200万は実は意外と貯められない層かも!?共働き家計に多い「高収入貧乏」の実態と対策
2023/05/03
世帯年収が高めなのに実は貯まっていない、そんな"高収入なのに貧乏"な共働き家計が増えています。高収入だからこそ陥りやすいマインドや落とし穴とは?家計診断のプロによる熱血アドバイス&金言も参考に!
<監修>: ファイナンシャル・プランナー 藤川太
家計の見直し相談センター代表。生活の見直しから資産運用まで幅広く指導し、2万世帯以上の家計を改善。近著に『6...
世帯年収700万~1,200万円(手取り)は、実は「意外と貯められない層」なんです
世帯年収が高めの共働き夫婦は節約意識が低くて家計全体を把握できてないことが多く、「自分たちは稼いでいる」という自負や油断から散財しやすい傾向が。「相手が貯めているはず」と過信して貯蓄せず、実はあまり貯まってない"高収入なのに貧乏"なケースが増えています。
また、年収が多いと税率が高くて負担が大きい上に、所得制限によって国や自治体からの補助金、大学の奨学金などの対象外となる場合も。特に世帯の手取り年収が700万~1,200万円の層は、実際に使えるお金はそこまで多くないので"お金持ち"とまでは言えず、意外と損する面も多い"中途半端な層"といえます。
当てはまるほど危険大!"高収入貧乏″
□ わが家は貧乏だと思っていない
□ 子どものお金は惜しみたくない
□ 今の家計から削れる項目はないと感じる
□ どんぶり勘定でもなんとかなっている
□ 夫婦別財布で、互いの懐事情を知らない
□ 独身時代のお金遣いのクセが抜けない
□ 今の生活レベルを落としたくない
□ 収入が増えたら、それに合わせて暮らしもランプアップさせたい
今のままだとこの先ヤバい!高収入貧乏さんの「まぁ、いいか」マインドに喝!!
「稼いでいるから、どうにかなる」という楽観的な考えや将来への危機意識の低さ……。高収入な共働き家計ならではの能天気なマインドに、お金のプロから愛ある喝をいただきました!
「まぁ、いいか」マインド
●夫婦別財布だから、お互いの収支を知らないんです~。
●貯蓄は夫に任せっきり。今さら家計の話をする雰囲気でもないし……。
【喝!!】その油断が命取り!!家計破たんの一番の理由は、夫婦のお金のコミュニケーション不足にあり!
「まぁ、いいか」マインド
●年収の割に貯蓄が少ないけれど、今から貯めればいいよね?
【喝!!】生活レベルを上げるのは簡単だけど、下げるのは難しいと肝に銘じて!
今すぐ実践!プロのアドバイス
夫と一緒に家族のライフプラン表を作ろう!
夫と家計の話をしたい人、貯蓄が少ないと感じる人は、夫と一緒にライフプラン表を書いてみて。家を買う時期やローンの返済計画、教育費がかかる時期などを書くことで、いつまでにいくら必要かわかり、貯蓄の目標額や今貯めるべき額が見えてきます。ライフプラン表は日々のやりくりや互いの懐事情について話すきっかけにも◎。表に車や家電の買い替え時期、旅行計画など、夫が興味を持ちそうなことを入れるのが、夫をうまく巻き込むコツ。
プロの金言 其の壱
会社と同じで、家庭も情報開示したほうが会計はうまくいく!
夫婦が毎月それぞれ生活費を入れ、残りは互いに干渉せず本人任せ。こんな不透明な会計では効率よく貯めるのは無理。予算管理や貯蓄アップには夫婦の懐事情を開示し、家計を透明化するのが◎。
プロの金言 其の弐
財布を一緒にするなら、今が最後のチャンスと心得るべし!
結婚したとき、家を買ったとき、教育費の準備が本格化したときが、財布を一緒にするチャンス。貯蓄を加速化させたいなら、機会を逃さずに「家計を透明化しよう」と切り出し、夫を説得してみて。
プロの金言 其の参
他のお宅と比べず、わが家の貯めるべき額を見極めよ!
「この年収ならいくら貯めるべき?みんなの平均貯蓄額は?」などと聞く人がいるけれど、この先どんな人生を望むかで貯めるべき額には違いが。ライフプラン表でわが家が貯めるべき額を確認!
「まぁ、いいか」マインド
●夫婦の小遣いが青天井になりがち。でも稼いでいるからいいよね?
【喝!!】自分へのごほうびが多い夫婦ほど、家計が危機になりやすい!
今すぐ実践!プロのアドバイス
クレカ1枚&家計簿アプリで家計管理しよう!
どんぶり勘定さんは、まずは家計簿アプリで家計の現状を把握。キャッシュレス派は無理に現金で管理しなくても、使うカードを1枚に絞ればOK。カードとアプリを連携させればカードの利用履歴が自動入力され、管理がラクに!
プロの金言 其の四
家計の見直しは固定費から手をつけるべし!
節約して貯蓄アップを目指すなら、食費などのやりくり費よりも、住居費や通信費、保険料など、節約効果が大きい固定費を見直すのが有効です。一度見直せば節約効果がずっと続くのもポイント。
「まぁ、いいか」マインド
●夫婦の小遣いが青天井になりがち。でも稼いでいるからいいよね?
【喝!!】自分へのごほうびが多い夫婦ほど、家計が危機になりやすい!
「まぁ、いいか」マインド
●子どもの教育費がすごくかかるけれど、今の時代は仕方ないよね~。
【喝!!】教育費が「かかる」のではなく、「かけている」だけと自覚せよ!
今すぐ実践!プロのアドバイス
家計の"聖域″をつくらず、お金遣いのルールをつくろう!
教育費や共働き夫婦の小遣いは、「ここの支出は削れない」という家計の"聖域"になりがち。子どもの習い事は1つ始めたら1つやめる、夫婦の小遣いは○万円以上の物を買うときは相手に相談するなど、聖域化させないルールをつくるのが得策。
高収入ならではの落とし穴
高年収だから組めてしまう高額なローンにも要注意!
夫婦ともに正社員の場合、夫婦それぞれが住宅ローンを組むペアローンなら、より多額の借り入れが可能。でも出産や育児による妻の休職や時短勤務で、返済が困難になることも。現実的に返済可能な額か慎重に判断を。
<監修>
ファイナンシャル・プランナー 藤川太さん
家計の見直し相談センター代表。立て直した家計は2万世帯以上。近著に『2024年新制度対応版 世界一かんたんなNISAとiDeCoの得する教科書』(宝島社)など。
参照:『サンキュ!』2023年5月号「今どき共働き家計に多い!?高収入貧乏の実態」より。掲載している情報は2023年3月現在のものです。イラスト/雨月衣 構成・文/鹿島由紀子 編集/サンキュ!編集部