ローンで買った家、繰り上げ返済すべき?専門家の回答は…
2018/04/26
憧れのマイホームを買ったあとに知っておきたい「家のお金の大事な知識」を編集部よりお届け。教えてくれたのは、ファイナンシャル・プランナーの深田晶恵さんと公認会計士・税理士の山田寛英さんです。
「早く繰り上げ返済するほどお得」といわれた時代に比べ、低金利の今は、繰り上げ返済で得をする利息も短縮できる返済期間も、その効果が低くなってきました。逆に返済を急ぐあまり手もとのお金を使い切り、子どもの教育費すら貯められない状況になっては危険! まずは貯蓄を増やすことを優先し、繰り上げ返済は教育費の負担が終わってからでOK。特に購入してから10年間は住宅ローン減税を受けられるので、返済を急がなくていいでしょう。
繰り上げ返済はするべき?
繰り上げ返済後に最低限残すべき貯蓄額がある!
ある程度貯蓄が増えて、繰り上げ返済をする余裕ができてきた場合も、貯蓄を全部使ってしまうのではなく、もしもに備えて「最低限の金額プラス教育費」は手もとに残しておきましょう(深田さん)
※教育費は学資保険料プラス月貯蓄で高3秋までに1人400万円貯めて
学資保険だけではたりないのが現状です。学資保険以外に園児のうちは月1万円→小学生になったら月2万円→中高生時代は月1万円貯めるなど、高3までに400万円貯められるよう貯蓄計画を立てて備えましょう
「期間短縮型」で60歳以降の負担を減らそう
繰り上げ返済には返済期間を短くする「期間短縮型」と毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」があり、オススメなのは期間短縮型。60歳以降も返済が続くようだと老後が不安なので、60歳完済をめざして期間の短縮を優先して(深田さん)
家を買った直後の3年間は繰り上げ返済禁止期間
サンキュ!世代は妊娠・出産により収入の変動が予想される時期です。収入減からローンの返済が困難になることのないよう、家を買ってから最低3年は貯蓄を優先しましょう(深田さん)
銀行に金利交渉ができる?
今ローンを借りている銀行に金利の割引交渉をする手も
今借りている銀行に「ローンの金利を下げてほしい」とお願いしてみる手も。住宅ローンは銀行間での競争が激しいので、他行への借り換え試算表などを見せながら「他の銀行に借り換えを検討中」という本気度を示せば、金利の引き下げに応じるケースもあります(深田さん)
2世帯住宅は相続税対策に?
2世帯住宅なら建築コストが軽減
親が持っている家を2世帯住宅に建て替えれば、土地代がかからず、建築コストを抑えることができます。また親が亡くなった場合に相続税を安くできるという利点も(小規模宅地等特例)。祖父母に孫の世話を頼めるなどなにかと安心だし、将来的には親の住んでいた部分を人に貸したり、子どもが成長したときにそこに住まわせるなど、いろいろな使い方ができるのも2世帯住宅のよさです(山田さん)
支援制度にはどんなものがある?
住宅取得等資金の贈与税非課税制度
年間で110万円を超える贈与にかかる贈与税ですが、住宅購入の際の資金援助は要件を満たせば700万円もしくは1200万円まで非課税で受け取ることが可能。ただし売買契約時期によって限度額は変わるので要注意
すまい給付金
住宅ローン減税による税金の戻りが少ない人向けの制度で、初年に1回だけもらえます(19年6月30日までに居住開始した人が対象)。最大で30万円ですが、年収が435万円以下などの条件があり、全額を受け取るケースは少ないのが実情
住宅ローン控除
年末のローン残高の1%の税金が戻り、最大控除額は40万円(一般住宅の場合)。「10年間で400万円戻る」といわれますが、これは10年後も4000万円以上のローンが残っている場合。自分の場合はいくら戻るのか冷静に計算を
いかがだったでしょうか。1%台の低金利でローンを組んだ人は繰り上げ返済を急がず、その分教育費などをしっかり貯める方がよさそうですね。
<教えてくれたのは…ファイナンシャル・プランナー 深田晶恵さん>
独立系FP会社「生活設計塾クルー」所属。相談業務、雑誌・新聞への執筆などを行っている。著書に『住宅ローンはこうして借りなさい』(ダイヤモンド社)
<教えてくれたのは…公認会計士・税理士 山田寛英さん>
不動産に特化した「パイロット会計事務所」にて不動産を買う・売る・相続する際の相談業務を行う。著書に『不動産屋にだまされるな』(中公新書ラクレ)
参照:『サンキュ!』5月号「買う前&買ったあと住まいにかかわるお金のすべて」より一部抜粋。掲載している情報は18年4月現在のものです。
監修/深田晶恵、山田寛英 取材・文/秋山由紀
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