レシートを見てびっくり!自他ともに認める節約家のとある主婦、実は月額の娯楽費が半端ない金額だということが判明しました。FP兼マネーライターの大上ミカさんが、今回も名アドバイスをお届けします。
【レシート診断とは】
自分細かく家計簿をつけなくても、レシートを10分ながめるだけで、自分のムダが浮き彫りに! このレシート診断は、プロが一方的にアドバイスするものではなく、あくまでも自分でレシートを振り返り、ムダな出費とその原因に気づいていく「セルフチェック」がベースです。細かく家計簿をつけなくても、ものの10分で改善点が見つけられる、レシートの振り返りのコツを1000人以上の家計を取材してきたマネーライター・FPの大上ミカさんがナビゲートします!
<Sさんのお悩み>ボーナスと手当しか貯められないのが悩み!
年間100万円以上貯めているしっかり者の専業主婦のSさん。「やりくりの自己評価は60点。ボーナスや手当は貯めていますが、毎月の収入からは貯蓄できないのが悩みです。最近、出費が全体的に上がっているので、もし手当やボーナスが減ったら赤字になりそうで心配。特に外食代などのゆとり費がなかなか減らないので、ここをどうにか見直したいです!」
【Sさん宅の家族構成とやりくり】
Sさん(38歳)、夫(40歳)、長男(9歳)、次男(6歳)の4人家族。九州在住。発達障害の次男の療育に専念するため4月に退職し専業主婦に。月収は手取り36万円。住居費などの固定費を除くと、手元の変動費の内訳は次の通り。
<手元の変動費>
食費 3万7000円
日用品 7000円
夫小遣い 4万円
妻小遣い 1万6000円
ゆとり費 2万円〜4万円
合計 12万円〜14万円
今回は、これら変動費のうち夫小遣いを除く部分を対象に1週間分(9月6日〜12日まで)のレシートを収集。どんなムダがあるか振り返ります。
Sさんの1週間のレシートを大公開!
1週間で使った変動費は、合計22,832円。レシート枚数は13枚で、内訳は次の通りです。
想像以上に多かった「ゆとり費」。その原因は節約の頑張りすぎ!?
1週間分のレシートとしては少ない方。しかしそれが飛んだ抜け穴でした…。
3000円ほどのイメージだった「ゆとり費」が、実際は倍以上!
大上:1週間レシートを集めてみて、いかがでしょう? 何か気づいたことはありますか?
Sさん:思った以上に「ゆとり費」が多いです……。
大上:ふむふむ。Sさんにとってのゆとり費とは、どんな出費ですか?
Sさん: 私は、生活にどうしても必要な出費以外は、すべてゆとり費として考えています。たとえば、お菓子、外食、ちょっとしたレジャーなどです。もちろん、全部なくすわけではなく、月2万円までは使ってもいいことにしているのですが、自分の予想ではこの週のゆとり費は多くて3000円ぐらい。ところが、レシートを見ると6237円もあり、ショックでした!
大上: まあ、倍以上ですね! ちなみに、どの出費ですか? この週のゆとり費の内訳を教えてください。
Sさん: これです。
↓レシートチェック前のSさんのゆとり費内訳(1週間の合計:6237円)
大上:なるほど。内容としてはほぼ、お菓子やカフェ代ですね。
Sさん:はい。食費や日用品は節約を心がけているのですが、お菓子やカフェにまさかこんなに使っていたとは思わず……。しかも、ほとんど毎日ですし。ひとつずつは少額なものが多く、このぐらいは平気だろうと無意識のうちにお財布を開いているんだなぁと反省しました。
大上:こうしたお菓子やカフェにお金を使うときは、どんな気持ちでいることが多いですか?
Sさん:普段、食費や日用品の節約を頑張っていることもあって、その「ごほうびに」と思って買うことが多いです。あとはなんとなく「疲れた」「ホッとしたい」と思うと、「少しぐらいいいかな」と手が伸びてしまいやすいですね。
大上:もしかしたら節約を頑張りすぎて、ストレスがたまっているのかも。いくら食費や日用品を減らしても、疲れやストレスでこうした出費が増えてしまっては、貯蓄はいつまでも伸びません。
現在、食費と日用品はかなり頑張っているほうですので、もう少しゆとりを持たせてみては? 貯まる人はストレスなくやりくりできる予算にし、日常生活では「頑張ったごほうび」をあまり買っていません。ゆとり費に甘えないですむ予算を作るほうがやりくりもラクで、余計なムダ買いも減。家計も安定すると思います。
レシートチェック2:ゆとり費のうち、1,714円は実は妻個人の出費だった!
大上:ちなみに、ゆとり費で買うお菓子やカフェは、どなたが食べるのですか?
Sさん:私です! スーパーで買うお菓子はほぼ私用です。子ども用のお菓子は手作りしているので。
大上:ふむふむ。他に、この中で個人的に買ったものはありますか?
Sさん:スタバ、シャトレーゼも私1人で楽しみました。
大上:ということは、ゆとり費として使った6,237円のうち、1,714円は個人的な出費だったということになります。Sさんはお小遣いとして1万6000円を予算として持っているようですが、小遣いとゆとり費はどんなルールで使い分けてます?
Sさん:ルール? な、ないかも……。友人と行ったランチと書籍代は小遣いから出しましたが、ほかはなんとなく、ゆとり費として使いました。……ハッ。ゆとり費が多かったのは、私個人の出費だったってことですね!
大上:そうだと思います。家計は個人的な出費は小遣いでまかなうのが前提。ゆとり費は2万円が予算とのことですが、「何に使うお金か」というルールがないと、単に「小遣い以外に2万円までは自由に使えるお金がある」という意識に。すると、小遣いで足りない分を甘えることもでき、出費がセーブできなくなります。結局、2万円では足りなくなることもあるのでは?
Sさん:実はそうなんです! 2万円でおさまることは滅多になく、3万円、4万円を超えることも……。どうしたらいいでしょう?
大上:お財布を家計用と小遣いで分けるのが、手っ取り早くてオススメです。個人の出費は、家計と混ぜずに管理することで、小遣いとして使える範囲が明確になります。「この中でやりくりするんだ」という意識を保て、優先順位を考えて使えるようになり、自然とムダな出費を減らせます。
レシートチェック3:冷静に考えれば削れたゆとり費は、2,451円もあった!
大上:ここまで、ゆとり費の中のムダを見てきましたが、逆に、これは使ってよかったと思えるゆとり費はありますか?
Sさん:図書館のカフェ代! 次男と行ったのですが本当に喜んでくれたし、クッキーや飲み物も安くておいしく、笑顔の時間を過ごせて大満足でした♪
大上:それはいい出費でしたね。家族と笑顔になるためのお金は、むしろ予算化していいのではないでしょうか。ちなみに、ゆとり費としては他にチーズケーキのレシート2,700円がありますが、こちらについてはどうですか?
Sさん:これは、私が友人と出かけたときに、家族へのお土産として買ったもの。うーん。決して悪い出費ではないけれど、家族のお土産に2,700円はこうして見ると高いですね(笑)! チーズタルトの6個セットだけにしておけば1,242円で済んだのに。「せっかくだから」とあれこれ追加してしまったのは余計でした……。次から気をつけないと。
大上: 外出先の「せっかくだから」は要注意です。お土産なら1人いくらまでか、ルールを決めておくとブレーキになっていいですよ。あとは、唐揚げのレシート993円もありますが、これはお惣菜ですか?
Sさん:いえ、日曜日にやることがなく、子どもと散歩に行こうとなって。何もないとつまらないだろうと、少し遠い唐揚げ屋さんをゴールにしたんです。でも、これも今思えば、別に唐揚げでなくても良かった! コンビニで100円のお菓子でも、子どもは十分喜んだはず……!
大上: 後から目的に対して使ったお金を振り返ると、よりコストを減らせる方法に気づけますね。今回のレシートチェックで出た反省を踏まえ、どのぐらいゆとり費を減らせるか計算してみましょう。
↓レシートチェック後のSさんのゆとり費内訳(1週間の合計:2,288円)
Sさん: 4000円近くも削れますね! ゆとり費は1週間で3,000円ぐらいにしたいと思っているので、このぐらいだとちょうどいいイメージです。
大上: ゆとり費の内訳を詳しく見たことが、いろんな発見につながりましたね。Sさんの場合は、ゆとり費をざっくり2万円としてしまったのがムダの元かと。少し分割して、レジャー費やお土産代など、家計から払う部分を予算化したり、使うルールを決めたりするといいと思います。もうしばらくレシートチェックを続けて、ゆとり費にどんな出費があるか詳しく調べてみてくださいね。
Sさん:はい! 頑張ります!
レシート診断を終えてみて(Sさん感想)
今まで8年も家計簿をつけていたのですが、ゆとり費の中身が自分の小遣いになっている現実には全く気づかず……。たった1週間のレシートでも、こんなにいろんなことがわかるんだと驚きました。やりくりそのものを根本から見直そうと思います!
Sさんへのアドバイスまとめ
・節約の頑張りすぎはムダ遣いの元。予算にゆとりを持たせよう
・小遣いと家計の財布を分け、個人の出費は小遣いで払おう
・ゆとり費の内訳を把握し、使い方のルールを決めよう