"最低限しか買っていないつもり"がまさかの大出費!【連載】FPの1週間レシート診断#3

2018/11/10

細かく家計簿をつけなくても、レシートを10分ながめるだけで、自分のムダが浮き彫りになる「レシート診断」。今回のお悩みは、「手取りがあるのに貯まらない…」という主婦からです。マネーライター兼FPの大上ミカさんの診断はいかに!?

【このレシート診断について】
自分のムダは自分で気づくのが一番効果的! このレシート診断は、プロが一方的にアドバイスするものではなく、あくまでも自分でレシートを振り返り、ムダな出費とその原因に気づいていく「セルフチェック」がベースです。細かく家計簿をつけなくても、ものの10分で改善点が見つけられる、レシートの振り返りのコツを1000人以上の家計を取材してきたマネーライター・FPの大上ミカがナビゲートします!

今月のお悩み:手取りはそこそこなのにお金が全然貯まらない!

<Kさんのお悩み>
専業主婦のKさん(30歳)。夫と長男(9歳)、長女(6歳)の4人家族です。月収は夫の手取り30万円(ボーナスなし)と、Kさんのハンドメイド作品をネットで販売する売り上げが3〜5万円ほど。
「夫の収入はほぼ生活費で使い切り、貯蓄は不安定な私の収入頼み。それも家電の故障などがあると使ってしまい、なかなか積み上がりません。総貯蓄額は今、30万円。赤字でなければいいと思ってましたが、この先は子どもも大きくなってくるので、なんとか出費を見直したい!」

Kさんの1週間のレシートを大公開!

Kさんに1週間レシートを捨てずに保管してもらい、何をどれだけ買ったかを調べました。その結果がコチラ。

一見、普通のレシートと金額に見えますが、ひも解いていくと色々な”無駄”が見えてきます。

レシートチェック1: レシート枚数も合計額も、想像の2倍以上!金銭感覚の甘さが浮き彫りに


大上:1週間でレシートが30枚ありました。毎日3店から7店、どこかで買い物をしていますが、こんなにたくさんお店をはしごするのはどうしてでしょうか?

Kさん:近くにショッピングセンターがあって、毎朝子どもを幼稚園に送ったあとに寄るんです。ハンドメイドに必要なグッズや、夕飯の買い物などが一度に済むので……。でも、レシートの枚数にはびっくりしました。そんなにたくさん買い物している感覚はまったくなくて。せいぜい10枚ぐらいかと(汗)。

大上:それはかなりのギャップですね。ちなみに、1週間の合計金額は24,828円でしたが、この金額はだいたい想定内でしたか?

Kさん:いいえ全然……。1万円ぐらいかなぁと思っていました。

大上:思っているより、枚数も金額もはるかに多かったというわけですね。

Kさん:はい。自分では普通に買い物していて、ムダ遣いしているつもりはなく。外食もほとんどしないし、うちはお金を使っていないほうだろうと思っていました。

大上:レシートを集めて「意外と多い」と感じたということは、無意識のうちに使いすぎているか、使途不明金が多い証拠。幸いレシートには、買った日付や時間、お店や品目も全て記録されています。さっそく、中身や自分の行動パターンを振り返り、ムダな部分をチェックしていきましょう!

レシートチェック2: 朝カフェで、無意識のムダがルーティン化!

大上:レシートをみると、ほぼ毎日同じお店に行っていますね……。スーパーはともかく、「カフェ」と「100円ショップ」も毎日行っているようですが、これは?

Kさん:「100円ショップ」はハンドメイド作品のパーツや発送資材を購入するために行きます。必要なものしか買っていないので、ムダ遣いはないはず。ただ、幼稚園を送った後だとまだお店が開いてなくて。家に帰ってまたお店に出てくるのも面倒だから、コーヒーでも飲んで待ってようって、カフェに寄ってしまうんですよね……。

大上: なるほど。ただ、それではいくら「100円ショップ」で必要なものだけ買っても、コーヒー代で高くつく買い物に。1杯220円でも、1週間のうち6日行けば1320円、1ヶ月では5000円を超えますよ。

Kさん: 高っ!! それだけあれば、他にたくさんパーツが買える! 朝寄るの、もうやめよう……!

大上: 一度習慣になってしまったムダは、自分で気づかない限り、永遠にかかり続けます。逆に言えば、習慣を変えればムダも消えるということ。今回、ムダだなと思えた朝のカフェをなくすためには、どんな買い物パターンがいいか、もう少し詳しく買い物行動を見ていきましょう。

レシートチェック3: いきあたりばったりな買い物が、出費を爆上げ

大上:レシートを時系列で並べてみると、ほぼ毎日同じルートですね。

Kさん:そうです。子どもを幼稚園に送った帰りにカフェ → 手芸材料の購入 → スーパーで食品を買って帰宅するのが日課です。まとめ買いすればいいのでしょうが、どうしても食材は毎日買いたい派なんです……

大上:なるほど。ところで15日は、午後も食材を買いに行ってますね。

Kさん:帰ったら足りないものがあって。午後、結局もう1回お店に買いに行きました。

大上:足りないものを買いに行ったわりには、午前中より金額が大きいですよ?

Kさん:ほ、本当ですね……! たしか、牛乳がなくて買いに行ったのに、お酒にコーヒー、パスタまで買ってる……。多分、お店の特売に目がくらんで、“子どもが好きだし”“夫が飲むし”って、カゴに入れちゃってますねコレ(笑)。

大上:それがしょっちゅうでは、いくら外食に行かなくても、出費は膨らみます。もしかしたら、“外食していないから、このぐらいいいかな……”と、出費に甘くなっていることはありませんか?

Kさん:ハッ! たしかにそれはあります……! 今話していて気づいたんですが、ハンドメイドの作品が売れた日も、“お金が入るから”と油断しちゃうことが。それも出費がじわじわ増える原因かもしれない……。

大上: Kさんの場合は、使えるお金の範囲=予算を決めていないのがそもそも問題。基本的なことですが、お金は使った分だけ減ります。貯蓄をしたいのであれば、予算を守って暮らすことが大前提です。

今回のレシート診断から、たくさん改善できそうなところが見つかりましたね! もちろん、貯蓄を作っていくためには家計全体の見直しが必要ですが、とりあえず、今すぐできそうなこととして、次のようなアドバイスをさせていただきます。

①使っていい予算を決めよう
レシートを見ると、出費はハンドメイド系と食費が最も多い。まずはこの2つを予算化して、使いすぎを防止。

②「今日必要なものだけ」を買うために、メモを作ろう
毎日買い物に行くのであれば、2日分も3日分も買う必要はなし。「今日、どうしても必要なものだけ」「必ず使い切るものだけ」をメモすれば、不要な出費を減らせ、買い忘れで何度もお店に行き、ムダ買いするのも防げる。

③朝、お店に寄らないルーティンを作ろう
朝のカフェ代を減らすために、買い物する時間を変更しよう。
例えば……
1. 幼稚園に送ったら、まっすぐ家に帰ってハンドメイドに集中
2. ランチの時に、夕食の献立を確認して必要な食材をチェック。手芸材料で買うものもメモ
3. 午後、メモと必要な予算だけ持って買い出しに行く


1週間のレシートをまた集めてみて、今回と比較してみると効果を比較できます。一度成功すると、次々に家計を見直すモチベーションにつながり、削るべきところもどんどん見えてきますので、ぜひ続けてみてください!

Kさん:はい! 頑張ります!

レシート診断を終えてみて(Kさん感想)

自分が思っていた以上に、生活にお金がかかっているとわかってびっくりしました。今まで、赤字じゃなければいいやと思ってお金から逃げていましたが、これでは本当にマズイ! 何にいくら使っているか、ちゃんと調べます!

本日のレシートチェック ワンポイントアドバイス!

監修・執筆・・・

大上ミカ

マネーライター・ファイナンシャルプランナー。雑誌「サンキュ!」(ベネッセコーポレーション)を中心に、雑誌やウェブでお金に関する記事を取材・執筆中。著書に「お金が勝手に貯まりだす暮らし」(リベラル社)がある。




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