「出産育児一時金」の42万円。いつどんな手続き・申請をするともらえるの?
2018/12/26
健康保険の適用外である分娩・入院費などの出産費用をサポートするのが、「出産育児一時金」。子ども1人につき42万円がもらえますが、いつどのような手続きが必要なのでしょう。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんに詳しく教えていただきました。
手続きは医療機関によって異なる
「出産育児一時金」の支給方法は、「直接支払制度」と「受取代理制度」があり、出産する医療機関によって導入している制度が異なります。
「直接支払制度」とは?
健康保険から支給される「出産育児一時金」を、妊婦やその家族の代わりに、医療機関が直接受け取る仕組みです。退院時に窓口で42万円(原則)を超えた差額分だけ支払うことになるので、前もって大きなお金を用意する必要がありません。基本的には産院と書類を交わすだけなので手続きも簡単。現在は、多くの産院でこの「直接支払制度」が導入されています。
「受取代理制度」とは?
「直接支払制度」を導入していないごく少数の医療機関で採用されているのが、「受取代理制度」です。「直接支払制度」と同じく、窓口で支払う出産費用を抑えることができますが、出産前に健康保険に申請をする必要があります。前もって産院に確認しておきましょう。
「出産育児一時金」の申請方法
1. どの健康保険からもらうかを確認する
「出産育児一時金」は、加入している健康保険からお金が支給される制度です。
専業主婦なら夫が加入する健康保険からの支給。妊娠を機に仕事を退職する人は、退職日から6カ月以内に出産した場合に限り、これまで勤めていた会社の健康保険か夫の健康保険か、どちらかを選びます。
2. 医療機関の支払制度を確認する
退院するまでに、自分が出産する医療機関が「直接支払制度」「受取代理制度」のどちらを導入しているのか、確認をしましょう。
「直接支払制度」なら、産院からもらう書類に必要事項を記入・押印します。
「受取代理制度」の場合は、産後2カ月以内になるころ、書類に必要事項を記入・押印して健康保険に提出します。
3. 健康保険証を提示する
出産で入院するときに、産院の窓口に健康保険証を提示します。
4.支払いをする
実際の分娩・入院費用に応じて、窓口で支払いをします。
42万円を上回った場合・下回った場合
42万円を上回ったら?
分娩・入院費が42万円を超えた場合は、その分が自費になります。退院するときに超過分を産院の窓口で支払います。
42万円を下回ったら?
使わなかった金額はきちんともらえます。
【直接支払制度の場合】
分娩・入院費の明細書と必要書類を健康保険に提出すると、約1カ月〜2カ月半後に指定口座に差額が振り込まれます。
【受取代理制度の場合】
出産前に健康保険に提出済みの「出産育児一時金等支給申請書」に記入している口座に、差額が自動的に振り込まれます。
「産後申請方式」
「産後申請方式」は、窓口でいったん出産費用を全額支払い、後日健康保険から「出産育児一時金」を振り込んでもらう方法です。
「直接支払制度」に対応していない産院などでは、「産後申請方式」になることもあるので、事前にしっかり確認しておきましょう。
出産一時金として受け取れる金額は変わりませんが、退院するときに高額なお金を用意しておかなければならないので、注意が必要です。
まとめ
出産後はとても慌ただしいので、どの方法でお金を受け取ることができるのか、出産前にきちんと確認しておくことが大切です。夫に手続きをしてもらうケースも多いので、夫婦で確認しておきましょう。
取材・文/有馬未央(KIRA KIRA)