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ボーダーラインは年収600万円!?私立の小・中学校に必要なお金ってどのくらい?

2020/01/20

子どもの教育費は親にとって大きな問題ですよね。いつまでにいくら必要か、しっかり計画を立てて貯めないと、後で大変なことになります。計画を立てる際に考えておきたいのが、公立と私立どちらに進ませるかという点。そこで今回は、私立と公立では教育費にどのくらい差があるのか、私立の小・中学校に行かせるに必要な金額とはどのくらいなのか、節約アドバイザーの丸山晴美さんに教えてもらいました。

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...

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みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「私立と公立の教育費差と必要な金額」!

私立の小・中学校を選ぶのは「ぜいたく」なの?

私立の小・中学校というと「ぜいたく品」的なイメージを持つかたもいますが、住むエリアによっては、公立の学校が荒れていて、子どもを守るために私立学校を受験せざるを得ないかたもいます。

また、大学までエスカレーター式で行ける私立学校に小学校から入れば、その後は親も子どもも楽になるからと、小学校受験を考える方も少なくありません。

高校の場合は、成績優秀な生徒は特待生制度で学費が無料になったり、低所得家庭には授業料の補助や無償化などの制度があったり(制度の内容は自治体によって異なります)、ある程度学費を抑えることが可能です。そのため、私立高校にも比較的進ませやすくなっています。

でも、小・中学校の場合にはそうした補助制度はほとんどありません。

そこで、私立の小・中学校に行かせるには、いったいどのくらいのお金を用意する必要があるのか、どのくらいの収入が親に必要なのか知っておきましょう。

私立に通う子どもは小学校1.2%、中学校7.4%

繋いで、実行女子中学生二人
paylessimages/gettyimages

そもそも私立小・中学校に進学する子どもは、現在どのくらいいるのでしょう?

文部科学省の「学校基本調査/令和元年度(速報)」で発表されている現在の「在学者数」は下記です。★印が私立学校に行っている子どもの割合です。

令和元年度 小・中学校の在学者数 

【小学校】 
国公立校/約629万人
私立校/約7万8,000人  
★私立校在学者割合/約1.2%

【中学校】
国公立校/約297万9,000人
私立校/約23万9,000人  
★私立校在学者割合/約7.4%★

上記は全国平均の数字です。私立学校に通う子どもの比率は地域によって差があり、小・中学校どちらも東京などの大都市ほど私立への進学率が高い傾向にあります。

ちなみに、高校(全日制)の私立校在学者割合は約32.4%。国公立との差が大きく縮むことがわかります。

公立と私立の費用差は小学校で月額約10万円、中学校で月額約7万5,000円!

ブロンズ法は表で拡張されます。正義のシンボルです。レトロなオールド スタイルのフィルター処理された写真
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次に、公立と私立でかかる金額の違いを見ていきましょう。

文部科学省「28年度 子供の学習費調査」によると、学校教育費、給食費、学校外活動費などをすべて含めた「学習費総額」が以下です。比較しやすいように高校も加えました。

平成28年度 小・中・高校の学習費総額 

【小学校】 
公立:1年間約32万2,000円(月額約2万7,000円)
私立:1年間に約152万8,000円(月額約12万7,000円)

【中学校】
公立:1年間に約47万8,000円(月額約4万円) 
私立:1年間に約132万円(月額約11万5,000円)

【高校(全日制)】
公立:1年間に約45万円(月額約3万8,000円)   
私立:1年間に約104万円(月額約8万7,000円) 

公立と私立の学習費総額の差は、小学校が月額約10万円、中学校で月額約7万5,000円、高校(全日制)が月額約5万円。

小→中→高と進むにつれて、金額的な差が小さくなるのがわかります。

この「小学校月額約10万円」「中学校月額約7万5,000円」というお金を毎月払うことができるかどうか。私立学校に行かせられるかは、これが1つの目安と言えるでしょう。

さらに中学受験のための塾費用、平均200〜300万円も必要

研究所で勉強する女子中学生の手
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上記は純粋に学校生活にかかる費用ですが、私立小・中学校に入るには受験があり、入学前にかかるお金もあります。

中学受験の場合、現在は早い子で小学2年生から、平均では小学4年生から塾に行き始めると言われています。

塾の費用は学年が上がるにつれて高くなり、受験直前期にはさまざまな補足講習なども行われます。その結果、小学4年生から塾に行った場合で、トータル200~300万円程度かかると言われています。

さらに、受験の際の出願料なども加わります。

また、一貫校ではない私立中学校に行った場合、高校受験もあります。中学2年生の終わりくらいからまた塾代が発生することも考えておく必要があります。

先に紹介した学習費総額の月額差額に加え、これらのお金も払う体力がないと、私立小・中学校進学はなかなか厳しいのが現実です。

私立OKのボーダーラインは「世帯年収600万円」!?

私立小・中学校進学に必要な金額が見えてきましたが、ここで気になるのは、親にどのくらいの年収があれば安心して私立学校に行かせられるのか、という点ですよね。

下は「28年度 子供の学習費調査」をもとに、公立、私立別の世帯年収分布をまとめたものです。一番多い年収に(★)印をつけてあります。高校も参考として入れました。

子どもが小・中学校に行っている世帯の年収分布

【小学校】 
〈公立校〉
400万円未満15.8%
400〜599万円:29.5%(★)
600〜799万円:26.5%
800〜999万円:12.5%
1,000万円〜1,199万円:7.1%
1,200万円以上:8.7%

〈私立校〉
400万円未満:3.3%
400〜599万円:6.2%
600〜799万円:13.1%
800〜999万円:14.9%
1,000万円〜1,199万円:15.6%
1,200万円以上:46.9%(★)

【中学校】
<公立校>
400万円未満:15.4%
400〜599万円:24.8%
600〜799万円:26.3%(★)
800〜999万円:18.7%
1,000万円〜1,199万円:8.9%
1,200万円以上:6.0%

【中学校】 
<私立校>
400万円:未満4.2%
400〜599万円:9.2%
600〜799万円:16.3%
800〜999万円:18.4%
1,000万円〜1,199万円:17.3%
1,200万円以上:34.6%(★)

【高校(全日制)】 
<公立校>
400万円未満:19.2%
400〜599万円:25.6%
600〜799万円:26.6%(★)
800〜999万円:14.7%
1,000万円〜1,199万円:7.2%
1,200万円以上:6.7%

<私立校>
400万円未満:13.0%
400〜599万円:15.8%
600〜799万円:21.2%(★)
800〜999万円:17.2%
1,000万円〜1,199万円:13.0%
1,200万円以上:19.8%

私立中学校には世帯年収400万円未満の世帯も4.2%おり、一概に年収が高くないと私立中学には行かせられないというわけではありません。ただ、現実的には、世帯年収1,200万円以上の世帯が最も多く、世帯年収800万円~1,200万円が全体の70.3%を占めています。

私立小学校では、世帯年収1,200万円以上だけで半数近くになります。

私立小・中学校ともに、割合が二桁になる「世帯収入600万円」が、私立に行かせやすいかどうかの1つのボーダーラインと言えそうです。

「学習費総額の差額分」を目安にしつつ総合的に判断を

女性、お金
liza5450/gettyimages

世帯年収が同じでも、子どもの人数や、どこに住んでいるのか、持ち家なのか賃貸なのか、持ち家であれば住宅ローンが完済で来ているのか、おじいちゃん・おばあちゃんからの学費援助があるのかなどによっても、教育にかけられるお金は大きく異なります。

子どもが1人で住宅ローンもなく、おじいちゃんおばあちゃんが援助してくれる状況ならば、年収400万円以下でも余裕で私立校に行かれられる場合もあるでしょう。逆に、ボーダーラインの年収600万円以上でも私立に行かせるのは決して楽ではなく、生活費を切り詰めるなどの努力が必要です。

最終的なポイントは、やはり「学習費総額の差額分」です。「小学校が月額約10万円」「中学校で月額約7万5,000円」を毎月出せるかどうか、が基本に。これ以外にも服代、部活代などかかるお金はいろいろあるので、上記の差額分を「余裕」を持って出せるかどうか考えて、私立か公立かを検討するといいでしょう。

それを踏まえ、教育費の貯蓄額目標を立て、早くから計画的に貯蓄するのが賢い方法です。

教えてくれたのは・・・

丸山晴美さん

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「定年後に必要なお金『新・基本のキ』」(宝島社)など多数。

取材・文/かきの木のりみ

 
 

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