『塾代ってどれくらい?』『私立高校、今の収入で支払える?』わが家はこうやって学費を乗り切りました
2023/08/31
子どもの成長とともに気になるのは、進学にかかるお金のこと。塾代や受験費用など、一体いくらかかるの?尽きない悩みに専門家がアドバイス。先輩ママに聞いた、学費乗り切り方法&しくじり体験談は必見です!
<教えてくれた人>: ファイナンシャル・プランナー 竹下さくら
なごみFP事務所にて個人のコンサルティングを主軸に講演・執筆活動を行っている。2児の母。著書に『奨学金 上手...
- Q 塾代ってどれくらいかかるの?その塾代はどう賄えばいい?
- 先輩ママに聞いた!わが家はこうやって学費を乗り切りました
- Q 大学受験に一体いくらかかるかわからなくて怖い~!
- 先輩ママに聞いた!受験&入学費用、ここでしくじりました
Q 塾代ってどれくらいかかるの?その塾代はどう賄えばいい?
H・Kさん(44歳/子ども13歳、10歳)
A 中3の塾代で年50万円かかると覚悟して。塾代は生活費の中からやりくりを
塾によって料金の幅がありますが、文部科学省の調査によると、塾代などの「補助学習費」の平均額(*)は、公立中学3年で年約45万円、公立高校3年で年約23万円。私立の場合、一貫校への進学で受験がないこともあるので、塾代がやや下がる傾向に(中学受験前の塾代については下記参照)。塾代は大きな負担ですが、小学校までに貯めたからといって、ここで学費用積立に手を出すのは避けて。あくまで大学進学に備えるものなので、塾代は貯蓄とは別に生活費の中でやりくりするのが基本。家計の見直しや収入を増やすなどの対策が必要になります。
(*) 文部科学省「令和3年度子供の学習調査」より。
中学受験をしたいと言われたら、負担はどれくらい増える?
S・Aさん(42歳/子ども10歳、9歳)
《小3の2月から塾がスタート。受験前の小6の塾代だけで年100万円の出費に!》
早くから中学受験を予定しているなら、小3の2月から塾に通い始めるのが一般的。塾の月謝のほか、入会金・教材費・模試代・特別講習費などがかかります。学年が上がるごとに費用が上昇し、小6では年100万円以上かかる場合も。私立中学に進学してからの負担も含めて、慎重に判断して。
先輩ママに聞いた!わが家はこうやって学費を乗り切りました
1人娘は、私立中・高→医学部へ。学資保険+貯蓄+パート代をつぎ込み、借りずにすんだ!
ショパンさん(神奈川県 48歳/長女25歳)
長女は、私立の中高一貫校から国立大医学部を卒業。「大学6年間で1300万円以上の出費!今からようやく老後資金が貯められます」。
パートや内職などを転々としながら、コツコツ800万円以上貯めていたものの、マイホーム購入と長女の中学受験で貯蓄が目減り。さらに、県外の医学部への進学で仕送りが月14万円かかり、パートでいくら働いても追いつかず、鼻血が出そうな6年間でした。それでも、学資保険の満期金と児童手当やお祝い金は手をつけず、すべて貯めていたおかげで学費をカバーでき、借金せずに乗り切れました!
遠方の進学を見越して、大学入学までに500万円貯めたけど、入学準備と授業料でギリギリだった
西田奈美さん〈仮名〉(北海道 50歳/長女19歳、二女16歳)
昨年、長女が東京の私立大に進学。「二女の高校受験も重なっていたため、21年から22年春にかけては、出費続きで大変でした」。
長女の入学準備金と学費として、児童手当と自分のパート代をすべて貯めて、高3までに約500万円準備。入学前の受験料や旅費・宿泊費、引っ越し代などで100万円以上かかりましたが、備えがあったのでそれほど慌てませんでした。4年間の授業料約400万円は貯蓄の残りで賄い、毎月の仕送り代約9万円はパート代と夫の給与の一部から捻出しています。
Q 大学受験に一体いくらかかるかわからなくて怖い~!
A・Tさん(42歳/子ども11歳、9歳)
A 私立大で10学部受けると、30万円以上。遠方だと交通費や宿泊費も必要に!
少子化の今、現役志向が高まり、滑り止めも含めて、5大学程度、複数の出願方法で合計10学部以上出願するケースが増加。私立大は、同じ学部でも入試方法を変えて複数回受験できます。入学の間口が広がっている一方、出願数が増えるほど、受験費用も上昇。私立大の場合、1学部につき3万~3万5000円が一般的なので、10学部受けると30万円以上の出費になることも。さらに、県外受験の場合、交通費や宿泊費などもその都度かかることに。そうした費用も踏まえて、ゆとりのある資金準備が大切です。
先輩ママに聞いた!受験&入学費用、ここでしくじりました
大学の入学金と前期授業料の一括払いが間に合わず、急遽、生命保険の貸付制度を利用
ぱらっちさん(京都府 43歳/長女18歳、長男2歳)
長女が府内の私立大に進学。「仕送り代がかからないのは助かっています。入学時のノートPC購入で20万円かかったのは痛かった~!」。
受験費用は学資保険の満期金で賄いましたが、学費は満期金と貯蓄では足りないと予測して、高校在学中に奨学金の申し込みを。合格後、入学金と前期の授業料の支払い時に、奨学金が入学後の5月からの支給のため間に合わないことがわかり、大慌て!生命保険の解約返戻金を担保にお金を借りて支払いし、無事に入学できました。
推薦入試を5つの出願方法で受験。出願料だけで計18万円の出費に。これは想定外だった~!
MIKIMAMAさん(大阪府 49歳/長女18歳、長男15歳)
長女が府内の私立大に進学。「推薦入試で12月の合格後、すぐに入学金と前期授業料の支払いがあり、早めの準備が大切だと実感」。
娘は合計3つの私立大を受験。1校は総合型選抜入試だったのですが不合格に。その後受験した公募制推薦の1校は、5つの出願方法があり、全部出願すると最大6万円×2日分。出願費用だけで3校合わせて18万円かかりました。「1つの試験で、合格の可能性が少しでも広がるなら」と思ってすべて出願しましたが、こんなにかかるとは知らず焦りました。
Q 万一私立高校に進んだら、今の収入で学費を支払っていけるか心配です
Y・Mさん(48歳/子ども14歳、9歳)
A 私立高でも授業料支援の対象に。ただし、世帯年収910万円以上だと自腹になる可能性もあります
国の支援金制度である「高等学校等就学支援金」。20年4月から私立高の支援金上限額が引き上げられ、親の世帯年収約590万円未満であれば、最大年39万6000円支給されます。世帯年収約910万円未満は、年11万8800円支給され(公立・私立同様)、授業料が実質無償に。このほか、自治体独自の就学支援金を設けているところもあり、私立高へ進学するハードルが低くなってきています。ただし、年収約910万円以上の共働きだと、支援対象外となる可能性があり、授業料は自腹負担に。最終判定は年収ではなく、住民税が対象で、年収目安を超えていても支給される場合もあるので、住所地の自治体で確認を。
《所得割額は、前年度の課税証明書等で確認》
課税証明書等に記載されている「市町村民税所得割額」「都道府県民税所得割額」を確認し、金額を合算します。
支給額は、各自治体、世帯の住民税額等によって異なります
「高等学校等就学支援金」の判定基準となる住民税は、扶養控除の対象人数が多いなど、所得控除によって異なります。「マイナポータル」のサイトや「課税証明書」などでチェックして。
《どうやって申請するの?》
新入生は高校入学時の4月などに、在校生は収入状況の届け出を行う7月ごろに、学校から案内があります。在学校を通じて、就学支援金オンラインシステムで申請を行います。
<教えてくれた人>
ファイナンシャル・プランナー 竹下さくらさん
なごみFP事務所にて個人のコンサルティングを主軸に講演・執筆活動を行っている。2児の母。著書に『奨学金 上手な借り方新常識』(青春出版社)。
参照:『サンキュ!』2023年9月号「どうする?進路と学費お悩み相談スペシャル」より。掲載している情報は2023年7月現在のものです。構成・文/宮原元美 編集/サンキュ!編集部