ついついやっちゃうムダ買い!ムダ買いをやめるのが難しい理由3つと解決法
2021/11/21
ダメだとわかっているのに、ついムダ買いや衝動買いをしちゃうのはどうして!?経済学と心理学をかけ合わせた学問「行動経済学」に詳しい専門家とキュートな相棒が、ムダ買いしちゃう理由と回避テクを紹介します!
<教えてくれた人>
経済コラムニスト 大江英樹さん
オフィス・リベルタス代表。資産運用やライフプラニング、行動経済学に関する講演や執筆などで活躍中。著書に『その損の9割は避けられる』(三笠書房)。
トリさん
行動経済学に詳しい、羽衣セキセイインコの女の子(6歳)。大江さんの相棒として活躍中。
実は、ムダ買いや衝動買いは人間の本能なんです
人は「上手にお金を使いたい」と思いつつ、欲しい物があれば手に入れたいし、お得な情報があればつい気になってしまうもの。頭ではわかっていても、いつでも合理的に行動できるわけではありません。そこで知ってほしいのが、"行動経済学"です。これは、買い物や投資などの意思決定をするときの傾向について研究した経済学のこと。ムダ買いかどうかの判断はむずかしくても、「どうして欲しいと思うのか」を知れば、買い物の失敗を防げます!
ムダ買いをやめるのはむずかしいけど、「ついやっちゃう理由」を知れば、回避できます!
ムダ買いをやめるのはむずかしい!?理由3
1 店や販売員は物を売るプロだから
店側は、人が買い物をするときの行動を知り尽くしているプロ。店頭のポップや宣伝のうたい文句に隠されている、"買い物欲を刺激する仕掛け"を見抜き、流されないようにしましょう。
→売る側の狙いを知って回避
2 「欲しいか欲しくないか」なら、欲しいに決まっているから
素敵な物や新しい物を「欲しいか、欲しくないか」で買うかを判断していたら、お金はいくらあってもたりません。それを買わないと、本当に不便かで判断しましょう。
→「必要かどうか」で考えよう
3 人は多くのことを「ファスト(速い)思考」で決めてしまうから
人は、直感や感情で判断する「ファスト思考」と、論理的に判断する「スロー(遅い) 思考」で意思決定するといわれています。衝動的に欲しくなったら、「なぜ?」と自問してみて。
→時間をおいて、冷静になろう
みんながついムダ買いしちゃう物ランキング
『サンキュ!』読者に、「最近ムダ買いした物」を調査※。ここで上位の物を買うときは、いつも以上に注意が必要!?次回の買い物の参考にしてね!
1位 服
「モデルは素敵だけど、自分には似合わなかった」「本命品の類似品を買ったら、結局着なかった」など、買う前のイメージと違ったという人が多数!
2位 100円グッズ
「安いしいいか」「とりあえず買おう」と、よく考えずに買って後悔しがち。どうやら反省も忘れやすいようで、同じ失敗を繰り返している人が多くいました。
3位 おやつ・飲み物
物欲&食欲のコラボで、気がゆるんでしまう人が多数。特に、疲れているときやイライラしているときほど、予定外に買ってしまう傾向があるようです。
4位 収納グッズ
「サイズが合わなかった」「上手に収納できなかった」と、リサーチ不足が原因のムダ買いが多数。
5位 ダイエット商品
おこもりの運動不足を解消する目的で増加傾向に。「買ったら満足してしまった」のコメントも…!
※サンキュ!モニターアンケートより(2021年7月実施/回答者数223名)
300円ショップで半額になっていたアジャスターつきマスク。肌に合わず、結局、外では使っていません
A・Rさん(埼玉県 39歳)
人は"小さくて安い物"ほど「ま、いっか」とムダ買いしやすいんです
「小さい×安い」商品は、買い物ハードルが下がる傾向があります。いくら安くても、まるごと野菜や大容量の調味料など、大きい物は衝動買いしにくいのです。100円や300円ショップは、便利ですが気軽に浪費しやすい場所ともいえます。
これは参照性依存といいます
そのときの気分や状況で、判断基準や考え方が変わること。節約中は「100円も大事」と思いつつ、買い物シーンによっては「100円は少額」と、お金の価値が変化してしまうのです。
スーパーで、カゴの中がいっぱいになってくると、「ついでに」と、予定外のお菓子やアイスを買っちゃうんですー!
あいぼんさん(東京都 41歳)
人はお金を使えば使うほど、「数百円の出費は痛くない」とマヒしてしまうんです
1000円の買い物に500円の物を追加するのは躊躇するけれど、1万円の買い物に500円の物を追加するのは抵抗を感じにくいもの。レジの前に小さくて安い、ガムや電池などが並んでいるのは、ついで買いをさせるためなのです。
必要な物を買ったら、音楽を聴いて気分を紛らわそう
必要な物をカゴに入れて「今日はこれ以上買い物しない」と決めたら、ほかの商品は見ないことが大切。レジに着くまでは音楽を聴いて、意識を商品から遠ざけましょう。
服を試着したとき、店員さんにも褒められたり話が盛り上がると、ついお買い上げしちゃいます(涙)
K・Yさん(愛知県 40歳)
人はやさしくされると、お返しをしたくなる生き物なんです
買うつもりがなかった服でも、店員からていねいな接客を受けたり、時間をかけて商品を探してもらったりすると、"借り"を返したいと感じて「せっかくだから買おうかな」と思いやすくなるんです。
これは返報性の原理といいます
人から感情を向けられたり何かをしてもらったら、自然と相手に「お返ししたい」と思う心理。好意だけではなく、悪意、譲歩などのシーンでも返報性の原理が働きます。
店員さんはみんなにやさしいから、気にしないで大丈夫
店員の接客は、ズバリ、仕事です。必要のない物にお金を使って、お返しをするのはやめましょう。サービスを受けてうれしい気持ちになったら、ていねいにお礼を伝えてください。
ドラッグストアとかでポイント10倍デーをやっていたら、「買わなきゃ損」な気がしてつい寄っちゃいます
かほさん(千葉県 37歳)
人はポイントがたまると得をした気分になっちゃうんです
ポイントは、得するイメージがあるだけでなく、着実に増えていくのを実感できるので、たまるほどに「もっとためたい」と思ってしまうもの。でもポイントがたまる分、現金も支払っていることを忘れないで!
これは保有効果といいます
自分が持っている物を高く評価し、手放したくないと思うこと。お金も、貯め始めほど使ってしまいがちだけど、一度貯まるとあまり使わなくなり、貯蓄ペースが上がる傾向があります。
ポイントに利息はつかないから、たまったら即使うべし
ポイントをため続けても価値が上がるわけではないので、ためたポイントは次回の買い物で使い切りましょう。ポイント欲しさの予定外の買い物や、有効期限切れも防げます。
コーヒーは家でいれたら割安とわかっているけど、外出中(なぜか)コンビニやカフェで買っちゃうんです
ぱーこさん(神奈川県 32歳)
人は「目の前」に幸せが現れると、誘惑されがちなんです
人は、すぐに受け取れる幸せを好む傾向があります。今すぐ飲める"おいしい缶コーヒー"と、帰宅後に飲める"お得でおいしいコーヒー"を比べたら、一般的に、前者を選ぶ人のほうが多いでしょう。
これは双曲割引といいます
比べる2つが、かなり先に受け取る物であれば、より遠い将来でより大きな喜びを得られるほうを選ぶけど、受け取る時期が近いと、目先の喜びに引きずられやすくなる心理現象。
「そもそも、何を優先したいか」を考えよう!
「コーヒーを飲みたいか、飲みたくないか」と考えたら、飲みたいに決まっています。「のどを潤したいか、ムダなお金を使いたくないか」、優先したいことを考えれば「今飲まなくてもいいか」という選択もできるはず。
通販で「あと800円買えば送料無料」と表示されると、いつも予定外の物もポチっちゃいます(汗)
T・Yさん(大阪府 45歳)
人は「無料」なら損しないと勘違いしがちです
だれでも、「ムダなお金は払いたくない」と思うもの。だからこそ、"無料"と言われると「持ち出しがないなら、私に損はない」と思い、結果的に支出が増えたのに「得をした」と勘違いしてしまうんです。
これはゼロコストのコストといいます
"無料"と言われて安心して近づき、結果的に、割高の商品やサービスを買ってしまうこと。「無料相談窓口」や「初月無料」などで、かかわるハードルが下がるのも同じ原理です。
収納場所や手間、心の負担が増えることにも目を向けて
物が増えると、収納場所、管理の手間、「使わなきゃ」という焦りなど、"間接的な損失"も発生するのを忘れないで。必要な物がないなら、送料を払ったほうが得な場合もあります。
参照:『サンキュ!』2021年12月号「私らしい、あたらしいぜいたくのすすめ」より。掲載している情報は2021年10月現在のものです。監修/大江英樹 編集/サンキュ!編集部