歯茎が下がってきたら大人虫歯に要注意!
2022/02/12
健康な歯を保つための情報をお届けしている歯科医師でサンキュ!STYLEライターの野尻真里です。
最近、歯茎が下がってきたなぁと感じていませんか?
歯茎の下がりを感じたら、今まで見えてこなかった歯の根元部分に出来る虫歯、所謂“大人虫歯”に注意が必要です。
この大人虫歯は30代から出来始め、加齢によってどんどん増えていきます。
今回は、大人虫歯の特徴や予防について紹介していきます。
歯茎が下がると見えてくるのが歯の根元部分
健康な状態でお口の中に確認できる歯は、歯の頭の部分のみです。
歯の根っこの部分は、通常は歯茎に覆われてお口の中に露出することはありません。
しかし、歯周病の進行や歯磨き圧、加齢などの様々な要因で歯茎が下がると、歯茎に覆われているはずの根元部分がお口の中に露出します。
歯茎が下がったことによって、歯が長くなった印象や、食べ物が歯間に詰まりやすくなった、知覚過敏症で冷たい物に歯がしみるという自覚症状を感じることがあります。
歯の根元の虫歯は厄介
歯の頭の部分はエナメル質と呼ばれる硬い構造によって覆われています。
しかし、歯茎が下がったことによってお口の中に露出した歯の根元の部分は、このエナメル質に覆われていないため、頭の部分より柔らかく虫歯によって歯を溶かされやすいです。
この状態を例えるならば、お家の土台が外にむき出しになっているような状態です。
そのため、歯茎が下がったことによって見えてきた歯の根元部分は、頭の部分よりも非常に虫歯になりやすいです。
また、自身でなかなか気づきにくいため虫歯の発見が遅れることもあり、大人が虫歯で歯を失う際の大きな原因となっています。
大人虫歯の予防には高濃度フッ素が効果的
根元部分の大人虫歯を予防するには高濃度のフッ素が効果的だと言われています。
フッ素とは、虫歯菌によって歯が溶かされた際にまた歯を固めようとする働きや、歯質自体を虫歯に負けないように強くする働き、虫歯菌が歯を溶かさないように菌の作用を弱める働きがあります。
現在、日本で認められている歯磨き粉のフッ素最高濃度は1500ppm以下となっており、高濃度(1450ppm)の歯磨き粉を毎日継続して使用することで虫歯の予防となります。
また、濃度自体は歯磨き粉よりも低いですが、フッ素の入った洗口剤の使用も虫歯予防に効果的です。
歯磨きの際は、歯と歯茎の間に歯ブラシの毛先を当てて、優しく磨いてあげることで汚れを溜めないことも重要となります。
大人虫歯を作らないように気をつけましょう
日々診療をしている中でも、大人虫歯は多くの患者さんが罹患しています。
歯が残せないまでに進行してしまった例も多くみられます。
皆さんも大人の虫歯は根元からと思って対策をしてください。
※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。