炭水化物制限ダイエット

血糖値を上げない食べ方について管理栄養士が解説~順番や糖質量も~

2024/06/21

血糖値を上げない食べ方はダイエットに効果的と考えられます。

そもそもダイエットにおいて、摂取カロリーが消費カロリーを下回ると減量につながります。さらに、血糖値の急上昇を防ぐと余分な糖質が中性脂肪に変わるのを防げるため、体重増加や肥満になりにくい可能性も。

とはいえ、食べると血糖値が上がるのはごく自然なことで、血糖値の上昇を避けてはとおれません。そのため大切なのは血糖値を上げないことではなく、上げ方を緩やかにすることです。

そこで今回は血糖値を上げにくい食べ方について、管理栄養士が解説いたします。糖質量の目安やオススメの食べる順番もお伝えするので、最後までご覧ください。

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【実践】血糖値を上げにくい食べ方

それでは実際に糖質の多い食品を食べるときにオススメできる血糖値を上げにくい食べ方を、お伝えいたします。


●白米
白米には、副菜として野菜の煮物やおひたし、主菜として魚の塩焼きや肉野菜炒めを合わせるのがオススメです。副菜→主菜→白米の順に食べれば血糖値の上昇が緩やかになるでしょう。

とはいえ、毎食おかずを用意するのは大変ですよね。そんなときは、たんぱく質の豊富な納豆や食物繊維を含むめかぶを白米に乗せるだけでも、血糖値の急上昇を抑えられます。白米に、野菜たっぷりの豚汁を付け合わせるのもいいですね。


●パン
パンは副菜としてサラダや野菜スープ、主菜として目玉焼きやウインナーを合わせるのがオススメです。

でも難しい時は、牛乳やヨーグルトを摂取してからパンを食べれば血糖値の上昇は緩やかになるでしょう。というのも、牛乳やヨーグルトといった乳製品に含まれる乳脂肪は、食後血糖値の急上昇を防ぐといわれているからです。

●餅
餅はおかずを添えて食べることがない、という方も多くいらっしゃるでしょう。

そこで、餅にはトッピングをすることをオススメいたします。

具体的には

・大根おろし
・納豆
・磯部巻き
・野菜や肉を入れたお雑煮

といった食べ方にすると、食物繊維やたんぱく質のおかげで血糖値が緩やかに上がると考えられます。

●果物
果物は、片手に乗る量を間食に食べるのがオススメです。

果物は血糖値の上昇を緩やかにする食物繊維が含まれる一方で、果糖やブドウ糖のような糖類も含みます。そのため食べる果物の量が多いと、当然血糖値は上がってしまいます。そこで、目安量を決める必要があるのです。

片手にのる量の果物は、糖尿病食事療法のための食品交換表において1単位(80kcal)の目安です。糖尿病の方は血糖値を安定させるために、単位を数えながら食事をしています。そして、1日に果物を食べる量の目安は1単位です。

糖尿病の方の食事量の目安は、血糖値が上がりすぎないように食べる際の目安としても活用できると考えられます。よって、1単位を目安としました。

また、果物は糖質が多いものの食物繊維を含むことから、クッキーやチョコレートなどのいわゆるお菓子に比べると血糖値が上がりにくいと考えられます。つまり、お菓子の代わりに果物を間食として食べるとよいでしょう。

●ケーキ
ケーキは、1/2個程度の大きさのものを午前中~昼頃までに食べるか、低糖質のものを選ぶといいです。

一般的なケーキは糖質が多く食物繊維は少ないものの、脂質が多いので血糖値の上昇は緩やかになるといわれています。そのため、血糖値の脂質の少ない和菓子と比べると血糖値の上昇は緩やかと考えられます。

ただし脂質の多いケーキは、食後の血糖値がなかなか下がりにくいというデメリットも。

また血糖値は夕食時に比べて、朝食時の方が上がりにくいが特徴があるようです。よってケーキを食べるときは、午前中がオススメです。さらに、1つのケーキを2回に分けて食べるなど、1回に食べる量をおさえるとよいでしょう。

なお、最近は美味しい低糖質ケーキがたくさん販売されています。低糖質ケーキは美味しい上に、通常のケーキと比べて血糖値の上昇が抑えられるので、気になる方は試してみてくださいね。

血糖値を上げにくい食べ方のポイント

男性はテーブルの上で日本の朝食を食べる
kuppa_rock/gettyimages

血糖値を上げにくい食べ方のポイントは

①順番
②時間を決める
③朝食を食べる
④よく噛むこと
⑤糖質量

以上の5つが挙げられます。

詳しく解説いたしますね。

●①食べる順番はおかずから
食事の際は、まず野菜や肉などのおかずを食べ、次にご飯やパンなどの主食を食べるようにしましょう。

血糖値は、糖質の多いご飯やパンを食べると急上昇します。ところが、ご飯の前に食物繊維の多い野菜や海藻、たんぱく質を多く含む肉や魚を先に食べると、血糖値は緩やかに上がるのです。


●②食事の時間を決める
朝食から夕食を食べ終わるまでの時間を制限すると、食後の血糖値が下がるといわれています。

ある肥満者を対象とした研究によると、8:00~17:00もしくは12:00~21:00の9時間に食事時間を制限したところ、7日後には食後の血糖値が下がっていたそうです。また、空腹時の中性脂肪も減っていたことから、ダイエットに効果的である可能性があるといえます。

<夕食を2回に分ける方法も>
いくら血糖値を上げにくいとはいっても、1日のうち食事できる時間を9時間に制限するのは現実的ではないですよね。

そこで夕食が21時以降になる場合は、夕食を2回に分けると血糖値の急上昇が防げます。

具体的には、18時ごろにおにぎりやパンといった主食を食べ21時ごろに野菜や主菜を食べます。すると、夕食をすべて21時に食べる場合と比べて、血糖値の上昇が少なく食後高血糖(※)を引き起こさずに済むのです。

(※)食後に血糖値が急上昇すること


●③朝食を食べる
朝食を食べずに、糖質が多めの昼食を食べると血糖値が急上昇するといわれています。

実は同じ糖質量の食事を摂る場合、昼にまとめて食べるよりも、朝食と昼食に分けて食べた方が血糖値は上がりにくいとわかっています。

そのため少しでもよいので朝食を食べると、昼食後の血糖値が上がりにくくなるでしょう。


●④よく噛んで食べるのも効果的
よく噛むとインスリンの分泌が促されるため、血糖値の急上昇が防げます。

実はヒトを対象とした研究において、ガムを15分間噛んだ人はガムを噛まなかった人と比べて血中のインスリン値が速く上昇しすぐに下降した、という結果が出ました。さらに、ガムを噛んだ人は血糖値の上昇も緩やかだったのです。

急いでいる時や、やわらかい食べ物はあまり噛まずに飲み込みがちです。しかし、よく噛んで食べるだけで血糖値の急上昇が抑えられるので、意識してみてはいかがでしょうか?


●⑤糖質は適量に
いくら血糖値の上がりにくい食べ方であっても、摂取する糖質量が多いと当然血糖値は上がりやすくなります。

そこで自分の摂ってよい糖質量を把握し、その範囲内で血糖値の上がりにくい食べ方を実行するのがオススメです。

なお健康な方の適度な糖質量は、30~40代の女性で約250~330g、30~40代の男性は約340~440gです。そして私たちが生きる上で最低限必要な糖質量は、1日120gとされています。

おにぎり1個分の糖質は約40gなので、120gの糖質はおにぎり3個分相当です。普通に生活していれば、当たり前のように摂取する量だとわかりますね。

最低限必要な糖質量を摂らないと、集中力や判断力の低下につながる可能性があるので注意しましょう。

なぜ食後は血糖値が上がるのか

私たちが食事を摂取すると、糖質がブドウ糖に分解されて血液中に入るからです。

血糖値とは血液中のブドウ糖濃度のことです。ブドウ糖は体のエネルギー源であり、脳にとって唯一のエネルギー源なので、私たちが生きるためになくてはならないものといえます。

そのため食後に血糖値が上がるのはごく自然なことで、適量の糖質を摂取するのは健康のためにも必要なことです。なお、血糖値が上昇するとインスリンという血糖値を下げるホルモンが出て、血液中のブドウ糖を細胞に移動させるため血糖値は下がります。

ただし、血糖値が急上昇してインスリンが大量に出ると、余った糖質を中性脂肪に変えて体に貯め込もうとすることがあります。体内の中性脂肪が増えると肥満や体重増加につながる可能性も。そこで血糖値の上昇を緩やかにすると、ダイエットにつながるのです。

血糖値を速攻で下げる方法はあるのか

速攻ではありませんが、血糖値を下げる方法はあります。それは有酸素運動や筋力トレーニングです。

血糖値が上がっている状態で有酸素運動を行うと、筋肉への血流が増えます。するとブドウ糖が細胞に取り込まれるようになるため、血糖値が下がるのです。

また、筋力トレーニングを行うと筋肉量が増えます。筋肉が増えるとインスリンの効果がアップするので、血糖値が下がりやすくなります。

つまり、有酸素運動や筋力トレーニングは血糖値を下げる方法といえるでしょう。

食べ物の糖質量

血糖値を上げにくくするには、食べ物の糖質量の目安を知ることも大切といえます。

ここでは

・主食類
・芋類
・果物
・お菓子
・ジュース

の糖質量を表にまとめました。いずれも糖質の多い食品なので、食べる量を考える時の参考にしてくださいね。

ちなみに糖質量の少ない肉や魚は、1人分を100gとすると糖質量は0.1~0.6gです。また、卵の糖質量は1個あたり0.2g、木綿豆腐1/2丁で0.4gあります。野菜ですと、レタス1枚で0.5g、キャベツ1/8玉は5.3g、大根1/4本で5.4gの糖質量です。

●主食類
おにぎり(梅・1個):40.0g
食パン(6枚切り1枚):28.9g
うどん(1杯):53.5g
ラーメン(醤油・1杯):63.7g

●芋類
じゃがいも(1個):25.5g
さつまいも(中サイズ1本):90g
里芋(1個):5.6g
長芋(1食分50g):45.2g

●果物
りんご(1/2個):19.4g
バナナ(1本):19.4g
ぶどう(1粒):2g
みかん(1個):7.4g

●お菓子
クッキー(1枚):2.2g
チョコレート(1口サイズ1個)):3g
ポテトチップス(1/2袋):15.5g
せんべい(1枚):11.5g

●ジュース
コーラ:65.9g
サイダー:46.4g
りんごジュース:65.3g
スポーツドリンク:25.8g

*500mlあたり
*りんごジュースとスポーツドリンクは差引法による利用可能炭水化物

ちなみに野菜ジュースは、1杯(200ml)あたりの糖質量が6.4gです。ジュースの中では少ないですが、一般的には決して少ない糖質量ではありません。野菜不足解消のために野菜ジュースを飲む方もいらっしゃいますが、あくまで嗜好品と考えた方がよいでしょう。

まとめ

血糖値を上げにくい食べ方のポイントは

①順番
②時間を決める
③朝食を食べる
④よく噛むこと
⑤糖質量

の5つでした。

血糖値を上げにくい食べ方は、ダイエットに効果的です。糖質量の目安表やオススメの食べ方も参考にされて、実践してみてくださいね。

それでは当記事を参考に、あなたの生活に血糖値を上げにくい食べ方を取り入れてくださるとうれしいです。

■教えてくれたのは・・・

シンクヘルスブログ編集部

糖尿病に強みを持つ健康管理アプリを展開するシンクヘルス社のオウンドメディア。ダイエット、糖尿病の食事、マインドフルネスなど幅広い健康情報について、管理栄養士や臨床心理士、運動指導士などの専門家陣が確かな根拠をもとに執筆している。

 
 

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