なにも食べていないのに「まずい」!?ストレス過多の女性は【味覚障害】に要注意
2024/10/08
「食べ物がおいしくない、味が変わった」と感じているなら、それは味覚障害かもしれません。
味覚障害の症状や原因、なりやすい人の特徴などを、医療法人社団みずた歯科医院の理事長である楊義弘氏に聞きました。
Q.味覚とはどのようなものですか
味覚とは五感のひとつであり、甘味・塩味・酸味・苦味・うまみの5つの「基本味」から構成されます。
辛味は基本味ではなく、痛覚や温覚などの感覚が刺激されて感じるもので「補助味」に分類されます。渋味も補助味に分類され、タンニンなどの苦み成分が舌に吸着し、収れん作用を起こすことで感じられます。
味は、食べ物や飲み物に含まれる化学物質(味物質)が、舌や軟口蓋(なんこうがい)・咽頭上皮に存在する「味蕾(みらい)」という器官に感知されて生じます。味蕾は数十個の「味細胞(みさいぼう)」から形成されています。
味物質は、味蕾の味細胞に存在する味覚受容器によって検出されます。検出された味情報が神経との連絡を介して脳へと伝わり、味として感じられるようになります。
Q.味覚障害の症状と原因を教えてください
味覚障害は、味を感じなくなる・感じにくくなる・本来とは異なる味を感じる・何も食べていないのにあるはずのない味を感じるなどの症状を言います。
味覚障害の原因には以下のようなものがあります。
・唾液分泌量の減少などによるドライマウス
・舌炎(ぜつえん)といった舌に起因するもの
・亜鉛不足
・加齢
・降圧剤や糖尿病の治療薬などの副作用
・がん治療によるもの
・ストレス
・アレルギーによる鼻炎や、鼻詰まりによって起こる一時的なもの
これらの原因によって、味を感じる仕組みが働かなくなって起こるのが味覚障害です。
Q.味覚障害を引き起こしやすい人の特徴を教えてください
味覚障害は、若い人より高齢者に起こりやすいです。これは、老化による味蕾の数の減少や神経伝達の機能の低下が、味覚障害を引き起こすためです。
若い人でも様々なストレスを抱えている人、偏食の人や栄養が不足している人は、味覚障害を引き起こしやすいと言えます。
偏食で注意したいのが亜鉛不足です。味細胞の新陳代謝は速く、約1カ月に一度は生まれ変わります。この味細胞の再生には亜鉛が必須ですが、亜鉛は体内で合成できません。そのため、食べ物から摂取する必要がありますが、偏食により亜鉛が不足すると味覚障害を引き起こします。
また男女比では男性よりも女性の方が多いとされています。
Q.味覚障害を予防・治療することはできますか
味覚障害の治療は原因によって異なるため、原因の追究が大切です。亜鉛などの栄養素が不足しているときは、その補充を行います。亜鉛の含有量が多い食べ物には、レバー・牛肉・牡蠣・小麦胚芽などがあります。
唾液分泌量の減少に対しては、分泌を促進する薬の使用や、舌の運動等で唾液分泌を促すことが対策になります。
ストレスや疲れも味覚障害の原因になります。身体の不調が生じにくいように休養や栄養をしっかりとり、規則正しい生活を心掛けると良いでしょう。
取材/文:山名美穂(Instagram「@mihoyamana」)
編集:サンキュ!編集部