冬の味の殻を持つ牡蠣

「牡蠣(かき)」といっしょに食べちゃダメな食品はある?牡蠣に多い栄養素のNG組み合わせ

2024/01/07

「亜鉛をとるなら牡蠣(かき)がいい」とはよく聞く話ですが、なぜなのか理由をご存知でしょうか?

また、牡蠣は組み合わせる食品によって、効果的になったり逆効果になることもあるんだとか!

管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、牡蠣がすすめられる理由や牡蠣と相性のよくない食品について紹介してもらいます。

管理栄養士、食生活アドバイザー。一女のママで出張料理、料理教室、講演、栄養相談も手掛けるほか、ライターとして...

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亜鉛にはどんな働きがある?

亜鉛とは、わたしたちの筋肉や骨の中に多く含まれるミネラルで、成人の体内には2gほど含まれています。

そのほかにも、皮膚(毛髪を含む)、肝臓などのさまざまな臓器にも存在しており、

・体内の酵素をつくる材料となる
・酵素反応を活性化させる
・それによって細胞の生合成や新陳代謝をスムーズに行う

といった重要な働きを持っています。

とくに骨、肝臓、腎臓、インスリンをつくるすい臓、精子をつくっている睾丸などで、新しい細胞をつくりだすときに不可欠なのです。

また、体の細胞にダメージを与える活性酸素を除去する酵素の構成成分となったり、味を感じる味蕾(みらい)細胞や免疫反応にも関与しています。

亜鉛が不足すると、味が正しくわからなくなる味覚障害をはじめ、貧血、食欲不振、皮膚炎、生殖機能の低下、慢性下痢、脱毛、免疫力低下、神経感覚障害、認知機能障害といった症状が起こりやすくなります。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日の亜鉛の推奨量は18~74歳男性で11mg、75歳以上歳男性で10mg、18歳以上の女性で8mgとなっていますが、「令和元年 国民健康・栄養調査」によれば成人以上のどの年代にも不足しているという現状にあります。

亜鉛を牡蠣からとるのがおすすめな理由は?

牡蠣のオリーブオイル漬け
Tanya_F/gettyimages

亜鉛をもっとも豊富に含む食品は、牡蠣です。

なかでも、牡蠣のくんせい油漬缶詰にとびぬけて多く含まれ(100gあたり25mg)、次いで水煮(同18mg)、生(同14mg)、フライ(※)(同12mg)の順に含有量が高くなっています。

そのほかの食品でみてみると、小麦胚芽、かつおの内臓の塩辛(酒盗)、パプリカパウダー、からすみ、ビーフジャーキーにも亜鉛が多く含まれているものの、これらの食品を多くとることはむずかしいもの。

このことから、ある程度の量をとりやすく、高含有量の牡蠣が亜鉛の補給源として理想的であることがわかります。

生の牡蠣40g(むき身で2個くらい)で1日に必要な亜鉛の半分以上を摂取することが可能になるため、手っ取り早く亜鉛の不足を補うことに役立つでしょう。

※……ただし、冷凍食品として販売されている牡蠣のフライの場合、生の牡蠣からつくるフライとは数値が異なります。日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版では、100gあたりの含有量は7.3mgとなっています。

牡蠣と相性が悪い食品の組み合わせは?

そんな亜鉛の補給源として理想的な牡蠣ですが、いっしょに摂取する食べ物によっては、吸収効率を下げてしまうこともあります。

ひとつは、ポリリン酸ナトリウム(リン酸塩)などの「添加物」を多く含む食品。そのほか「シュウ酸」、「タンニン」、「カフェイン」、「アルコール」なども、亜鉛の吸収を抑えてしまうことがわかっています。

具体的な食品としては、以下のようなものが考えられます。

「添加物」を多く含む食品例
・インスタント食品
・スナック菓子
・食肉加工品(ハム、ソーセージなど)
・水産ねり製品

「シュウ酸」を多く含む食品例
・ほうれん草(生)
・パセリ
・チョコレート
・ココア

「タンニン」を多く含む食品例
・コーヒー
・玉露
・紅茶
・柿

なお、コーヒーや玉露には「カフェイン」も多く、酒類に含まれている「アルコール」は亜鉛の吸収を抑えるだけでなく、尿への亜鉛の排出を促すことに……。

牡蠣を工夫して取り入れてみよう!

レモンのクローズアップで新鮮なカキを食べる女性。
Chiociolla/gettyimages

ご紹介したように、牡蠣と組み合わせないほうがよい食品はいくつもあります。「好きだから」「体によさそうだから」といった理由でこれらの食品を多くとってしまうと、それぞれの食品のメリットを打ち消してしまいかねない、ということなのです。

ただし、いずれも極端に多くとらなければ影響は小さいと考えられます。食べ合わせを気にするあまり、特定の食品の摂取を控えるようになってしまっては元も子もありません。

いつも同じ食品ばかりをとらないようにしたり、バランスよく食べることを意識するようにしてみましょう。

なお、亜鉛の吸収率を少しでも高めたいのでれば、「ビタミンC」や酸味のもとである「クエン酸」を含む食品を組み合わせるのがおすすめです。ビタミンCは果物や野菜に多く、クエン酸は梅干し、レモンなどの柑橘類、酢に多く含まれるため、これらは相性がよいといえるでしょう。

亜鉛を効果的に補うために、ぜひこういったことを参考にしてみてはいかがでしょうか?

■執筆/監修・・・

管理栄養士・ゆかりさん

管理栄養士、食生活アドバイザー。一女のママで出張料理、料理教室、講演、栄養相談も手掛けるほか、ライターとしても活動。

参考サイト

 
 

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