毎日少なくとも2回は行っている人が多い歯磨きですが、「磨いているつもり」で実は汚れを落とせていない人も少なくありません。
毎日の習慣だからこそ、正しいケアで歯磨き時間をより有意義にしませんか?
今回は歯科医である野尻真里が、オーラルケアの質を底上げする“正しい歯磨き”のポイントをお伝えします。
歯磨きの目的は「すっきりすること」だけじゃない
歯磨きは単に口の中をすっきりさせるためのものではありません。歯についた食べかすやプラーク(歯垢)をブラシで磨き落とすことが本来の目的です。
プラーク(歯垢)は細菌の塊で、むし歯や歯周病などお口のさまざまな病気の原因になります。
この歯垢を放置すると、唾液中のカルシウムなどと結合して石のように硬くなり、「歯石」となります。
歯石の表面にはさらに細菌が繁殖しやすくなり、口内環境がどんどん悪化してしまいます。
毎日の丁寧な歯磨きは、歯周病・むし歯・口臭を防ぎ、健康的な口内環境を保つ基本です。
まずは“正しい目的意識”を持つことが大切です。
歯医者が教える正しい歯磨きの基本ステップ
あなたのいつもの歯磨きと比べながらチェックしてみてください。
歯間清掃から始める
歯間の汚れを先に除去すると、より効果的に汚れを落とせるうえ、歯磨き粉の有効成分も浸透しやすくなります。
そのため、歯磨きの前に歯間清掃(デンタルフロスや歯間ブラシ)を行いましょう。
フロスも歯間ブラシも「詰まりを取るため」だけのものではありません。
隣り合う歯の側面の汚れをこすり落とすように使うのがポイントです。
使用後は一度うがいをして、取り除いた汚れを洗い流しましょう。
舌の上の汚れもきれいにオフ
舌の表面には「舌苔(ぜったい)」と呼ばれる白い汚れが付着します。
これは食べかすや細菌、粘膜の上皮などが混ざったもので、口臭や歯周病の原因にもなります。
舌を磨くときは歯ブラシではなく、専用の舌ブラシを使用してください。
ブラシタイプでもヘラタイプでも構いませんが、奥から手前に優しく動かすのがコツです。体調によっても変化するので白い汚れは全部取り切ろうとしなくても大丈夫です。5回ほど清掃したらストップしましょう。
歯ブラシでの正しい磨き方
まず、磨く順番を決めておくことが大切です。ランダムに磨くと、どこを磨いたかわからなくなり、磨き残しの原因になります。
歯ブラシは、力を入れすぎてしまう人には鉛筆持ちがオススメです。毛先を歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当て、細かく小刻みに動かして1本ずつ磨きましょう。
プラーク(歯垢)は排水口のぬめりのように、しっかりこすらないと取れません。
特に上の奥歯の外側は頬が邪魔してブラシが届きにくく、下の奥歯の裏側は舌が邪魔で磨きにくい部位です。
お口を少し閉じ気味にして、ブラシが奥まで届いているか確認しながら磨きましょう。
むし歯や歯周病は主に就寝中に進行します。
夜の歯磨きは「一日の汚れをリセットする」つもりで丁寧に行いましょう。
うがいは“すすぎすぎない”のがポイント
歯磨き後のうがいは、1~2回・5秒程度の軽いうがいで十分です。
歯磨き粉にはフッ素などの有効成分が含まれていますが、長時間うがいをすると、これらの成分が流れてしまいます。むし歯予防の先進国スウェーデンでは、この「すすぎすぎないうがい法(イエテボリ法)」が推奨されています。
毎日の小さな習慣が“一生の歯”を守る
特別なケアを月に1~2回行うよりも、毎日の丁寧な歯磨きこそが一番の予防になります。
ぜひ今日から、あなたの歯磨き習慣に取り入れてみてください。
■執筆/野尻真里
一生涯生まれ持った自分の歯で健康に過ごせる社会の実現を目標に、様々な媒体や講演会で予防歯科に関する啓蒙活動を行う歯科医師。Instagramは@nojirimari
編集/サンキュ!編集部