病気の若い女性

気温は暑いのに冷える…"夏冷え"の原因は!?疲れやむくみにも効く対処法はこちら

2020/06/16

気温は暑いのになぜか体は冷えているということはないでしょうか。ひょっとしたら自律神経の乱れによる“夏冷え”かもしれません。どのようにケアをしたらいいのか、Naoko女性クリニック院長、高宮城直子さんに話を聞きました。

自律神経が乱れているかも・・・、そのサインは?

腹痛を持つ若い女性
metamorworks/gettyimages
下痢や便秘を繰り返す、体温調節がうまくいかない

自律神経は、私たちが意識しなくても自律して働いており、24時間、呼吸や消化、発汗などをコントロールしています。聞いたことがあるかもしれませんが、自律神経には、活動・緊張状態のときに働く「交感神経」と、リラックス・休息しているときに働く「副交感神経」の2つがあります。
この2つがうまく切り替わらなくなると、いわゆる“自律神経の乱れ”と呼ばれる状態になります。そのサインには次のようなものがあります。

□胃腸の働きが乱れる
(下痢と便秘を繰り返す、胃もたれする)
□体温の調整がうまくいかない
(特定の部位だけ熱い・冷える、急に熱く・寒くなる)
□息が浅くてはあはあする
□動悸がする
□めまい
□疲れやすい
□眠りが浅い

どうして梅雨の時期は、自律神経が乱れやすいの?

Peera_Sathawirawong/gettyimages
体が暑さに慣れておらず、冬モードのまま夏に突入

今年は特に新型コロナウイルス感染拡大の影響で、5月中は自粛生活を送っていた方が多いかもしれません。そのため、徐々に体を暑さに慣れさせるというプロセスがないまま、いきなり夏になってしまっています。そのため体が、まだ夏モードに切り替わっていないのです。暑さに慣れていないのに、急に外出する機会が増えると体(自律神経)には非常に堪えます。加えて、梅雨の時期は、夜は冷え、日中は蒸し蒸し暑いという気候も、体(自律神経)には負担です。
このような状態なのに、追い打ちをかけるように、冷たいものを食べ過ぎ・飲み過ぎる、肩だし・生足・短パンなどの薄着で過ごすことで、体が冷えてしまい自律神経の乱れに拍車がかかります。

自律神経を整え、夏冷えをケアするには?

【外から温める】

■オフィスでは、靴下や膝掛けを
オフィスでは、エアコンの温度はスーツを着て、筋肉量が高い(体温が高い)男性の好みに設定してあることが多いので、薄着で筋肉量が少ない女性は冷えてしまいます。重点的に温めたいのは、首や手首、太ももやお尻です。靴下を履く、首回りにストールを羽織る、膝掛けをする、座布団を使うなどの対策をしましょう。

■お灸やカイロも活用
おへそから指4本分くらい下にある丹田(たんでん)や、足首の内側骨から指4本分くらい上にある三陰交(さんいんこう)のツボを、お灸やカイロで温めましょう。最近は火を使わない貼るタイプのお灸も出ていますので、冷え対策に取り入れるといいですね。

【内側から温める】

■できるだけ温かいものを食べる

ヴィンテージテーブルでのコーヒーや紅茶の蒸しカップのクローズアップ-素朴な背景に早朝の朝食
Alina Rosanova/gettyimages

どうしても口あたりのいいさっぱりとした冷たいものを食べたくなりますが、体を冷やさないために、夏でもできるだけ温かいものを食べてください。飲み物も氷を入れず、できれば常温で。朝はお白湯を飲むのもいいですね。
夏野菜や果物は、カリウムの補給には良い食品ですが、とりすぎるとは体を冷やします。昔は冷房がなかったので、トマトやキュウリ、スイカ、ウリなどの食べ物を摂って体の熱を冷ますのは理にかなっていました。しかし現代は、夏野菜を食べ過ぎると体を冷やしてしまいますので、適度にとりましょう。。体を温める作用のある、ショウガやゴボウ、ダイコン、ニンジン、レンコンなどの根菜類も摂るようにしましょう。
アルコールは、少量なら血行を良くして体を温めますが、飲み過ぎると脱水症状を起こし熱中症を起こしやすくなります。ワインならグラス2杯程度、ビールなら500ml缶1本程度にとどめてください。

冷えやむくみがキツいときには漢方薬の力も借りる

いろいろ試してみたけど、冷えやむくみが酷いときには、漢方薬に詳しいドクターに相談してみましょう。

むくんで冷える

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
多すぎる水をさばき、血の巡りを良くして温めます。めまい、立ちくらみ 、肩こり、腰痛、冷え、むくみ、しみ があるような方に処方、されます。 月経不順や月経困難症にも有効。妊娠中のむくみにも。

末梢血管の巡りが悪い、手足が冷える

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)
体の末端(手足の先)が冷えて、下肢の冷えがひどい。冬にシモヤケになりやすく、冷えると腹痛を起こしやすいような方に処方されます。

口が渇いて尿が多い

八味地黄丸(ハチミジオウガン)
冷えてむくみやすい。疲労・倦怠感(だるい)、頻尿に。

妊娠中や産後に心がけたいことは?

部屋の中で腹を吸って妊娠中の女性
west/gettyimages

妊娠中は、普段より暑がりに!

妊娠中は、体内の血液の量が増えるので、妊娠していない人より2倍 暑さを感じやすいとされています。自律神経の調整能も低下していますので、適度にエアコンを使ったり、風の通りやすい服装をしたりして、いつもの年より念入りに暑さ対策をしてください。

産後は、1日1時間でいいので好きなことを

出産後1カ月程度は家の中にこもって赤ちゃんのお世話をする毎日ですが、急に暑い外に出ると迷走神経反射※を起こして倒れてしまう人もいます。朝や夕方の涼しい時間の外出から始めて、体を慣らすようにしてください。
産後は女性ホルモンが低下していますし、授乳などでストレスがかかり、自律神経も乱れがちです。眠る前にセルフマッサージをしたり、好きな入浴剤を入れて湯船につかったり、好きなことをする時間を作ってください。休日は、夫や家族に赤ちゃんを見てもらって、美容院やカフェに行くのもいいですね。「もうママなんだから、遊んでちゃいけない」などと自分を追い込まず、“いかに上手にサボるか”を考えて過ごしてください。

※血管迷走神経反射とは、自律神経系が突然コントロールを失い、血圧や心拍数が下がり、脳に行く血液量を確保できないことから、倒れたり、目まいを起こしたりなどの症状を生じること。

梅雨の時期からセルフケアを行い、自律神経を整えて夏冷えから体を守っていきましょう。

【監修者 プロフィール】
高宮城直子(たかみやぎ なおこ)
Naoko女性クリニック 院長
佐賀医科大学(現 佐賀大学医学部) 卒業。同大学産婦人科学教室入局。琉球大学医学部産婦人科学教室、糸数病院、アメリカ合衆国コーネル大学医学部生殖医学センター留学、ウィメンズクリニック糸数勤務などを経て、2010年にNaoko女性クリニック開院。産婦人科専門医で漢方にも詳しい。女性医療ネットワーク理事。

取材・文/渡邉由希

 
 

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