水分補給はもちろんのこと、エコや節約といった点から持ち歩く人が増えている水筒。基本的には長く使い続けられるものですが、使い方やお手入れの仕方によっては早く買い替えの時期を迎えてしまうことも。
そこで今回は、水筒の中で最も一般的な素材であるステンレス製のものを中心に、水筒の寿命を縮めないために気をつけたいポイントを、暮らしスタイリストとして料理をはじめ家事全般の情報を日々発信されている河野真希さんに教えてもらいました。

執筆/監修: 暮らしスタイリスト 河野 真希
暮らしスタイリスト・一人暮らしアドバイザー・料理家。料理や家事、インテリアなど、気持ちのいい暮らしを作る、は...
水筒の寿命のタイミングって?
ステンレス水筒は衝撃に強くて丈夫ですが、強くぶつけたり落としたりすると傷つきます。明らかな凹みや大きな傷がついてしまった場合は、寿命と考えて買い替えましょう。凹みや傷は保温保冷効果の低下や漏れにつながることもあります。
また、保温力・保冷力が落ちてきたり、最初はつかなかった水滴が表面に出るようになってきた場合も、買い替え時。見た目からはわからなくとも、内部が破損し、真空断熱構造が損なわれている可能性が高いです。
さらに、きれいに洗っているのに味やニオイがおかしいと感じたときは、内側のコーティングが経年劣化などで剥がれてきている可能性も。サビたり、金属成分が溶けだしたりしていることも考えられます。
なお、水筒が漏れるのは寿命ではなく、パッキンが消耗しているだけの場合も。パッキンやストローなどは水筒本体と違い、消耗品です。交換用のパーツを購入し、定期的に交換しましょう。
NG1.ぶつける、落とす、投げる
毎日持ち歩く水筒はどこかにぶつけてしまったり、落としてしまうこともあるでしょう。お子さんの場合はふざけて投げたり、引きずって歩いてしまうなんてことも…!
強い衝撃を与えると、凹んだり溶接部が破損したりして断熱性が落ち、保冷力・保温力が保たれなくなることがあります。
うっかり落としてしまうことはあるかと思いますが、お子さんにはわざと投げたり振り回したりせず、大切に扱うように伝えましょう。聞いてくれないということもあるかとは思いますが…!
水筒カバーには、衝撃を和らげて保護する効果があります。特に破損しやすい底の部分を保護するカバーも販売されていますので、必要に応じて用意するといいでしょう。
NG2.メラミンスポンジで洗う
水筒についた茶渋は普通に洗っただけでは落ちにくいため、メラミンスポンジを使っているという人も多いかもしれません。でも、メラミンスポンジは研磨して汚れをこすり落とすため、ステンレスに細かい傷がつき、水筒の断熱性が下がったり、サビや腐食の原因にもつながります。
水筒を洗うときは、食器用の中性洗剤を使って柔らかいスポンジで洗いましょう。硬いスポンジやたわしもNGです。
NG3.塩素系漂白剤を使う
水筒の汚れが落ちないときや除菌をしたいときに使いたいのが漂白剤。でも、サビの原因になるので、塩素系漂白剤は使用してはいけません。
漂白剤を使用するのであれば、酸素系漂白剤を。つけ置きをしておけば、茶渋などの汚れも落とせます。水筒専用の洗浄剤もありますので、必要に応じて購入しましょう。
NG4.牛乳、炭酸飲料、アルコールを入れる
水筒はどんな液体でも持ち運べると思いがちですが、注意した方がいいのが牛乳。腐敗しやすいため、長時間持ち歩くうちにガスが発生して栓が開かなくなったり、キャップが飛んで吹き出したりする危険があります。カフェオレやミルクティーなども入れるのはやめましょう。
また、炭酸飲料やアルコールもガスが発生して破損する危険があるので、NGです。炭酸飲料を入れたい場合は、炭酸対応の水筒も販売されているので、そちらを利用しましょう。
ちなみに、ジュースなら大丈夫そうと思うかもしれませんが、これも要注意。入れっぱなしにして放置すると腐敗してガスが発生し、事故の原因に。また、ジュースに含まれる酸がステンレスを傷めて、寿命を縮める可能性があります。ジュースを入れられるかは水筒の説明書を読んで確認してください。
NG5.スポーツドリンクを入れる
運動をするときにあると嬉しいスポーツドリンクですが、ステンレス水筒によってはNGなことも。塩分を多く含むものはステンレスにサビや腐食を生じさせ、漏れや保温保冷効果の低下につながることがあります。同様に、塩分の多い味噌汁やスープなども入れてはいけません。
味噌汁やスープを持ち運ぶなら、スープジャーがおすすめ。また、最近はスポーツドリンク対応の水筒も増えていますので、探してみましょう。
NG6.水筒の保護シールをはがす
水筒の底に丸いシールが貼られていることがあります。邪魔に思うかもしれませんが、それは剥がしてはいけません。このシールは水筒の真空処理をした溶接部分を保護するもので、剥がしてしまうと保温保冷効果が失われてしまうことがあります。
また、シールには商品の品番が記載されていることも多いです。剥がしてしまうと、交換用のパッキンなどを購入する際に困ることも。シールは触らず、そのままにしておきましょう。
◆監修・執筆/河野 真希
暮らしスタイリスト・一人暮らしアドバイザー・料理家。料理や家事、インテリアなど、気持ちのいい暮らしを作る、はじめるためのライフスタイル提案を行う。流行や思い込みにとらわれずに、無理なく持続可能で快適な自分らしい暮らしづくりを応援。 『料理教室つづくらす食堂』主宰。