【管理栄養士監修】「ししゃも」の主な栄養素とカロリーまとめ!おすすめの調理方法は?
2020/10/26
ししゃもは低カロリーかつさまざまな栄養を含む魚です。健康維持に役立つ栄養素で、体内ではほとんど合成されないDHAやEPAも含まれます。今回はししゃもの主な栄養素とカロリーをくわしく紹介していきます。焼くだけではない、簡単でおすすめのレシピもまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。
ししゃもの種類
ししゃもは、海外で漁獲される「からふとししゃも」と、日本の北海道で水揚げされる「ししゃも」の2種類に大別されます。
からふとししゃものうろこは非常にこまかく、背側が濃緑色です。ししゃものうろこは大きくはっきりしていて、背側が暗黄色の特徴があります。北海道産のししゃもの旬は11月で、からふとししゃもの旬は漁獲される地域によって異なります。
ししゃものカロリーと栄養素
生干しのししゃも100gあたりのカロリーは166kcalで、生干しのからふとししゃも100gあたりのカロリーは177kcalです。
皮つきの生干しのさんまは、100gあたり318kcalのため、ししゃもは低カロリーかつさまざまな栄養素を含む魚といえます。
ししゃもの栄養素
・カルシウム
・マグネシウム
・脂肪酸
・ナイアシン
・ビタミンE
ししゃもの栄養素1:カルシウム
カルシウムは、骨の主要構成要素の1つです。成長期の骨の形成を助けたり、丈夫な骨を維持するのに役立ちます。また、細胞の活性化や血液の凝固にも関与しています。
生干しのししゃも100gあたりに含まれるカルシウムの量は330mgです。生干しのからふとししゃもには350mg含まれます。
1日のカルシウムの推奨量は、18歳以上の男性が700mg~800mg、女性が600mg~650mgに設定されています。
ししゃもの栄養素2:マグネシウム
マグネシウムは骨の弾性を維持したり、細胞のカリウム濃度を調節したりする働きがあり、300種類以上の酵素の働きを助けてエネルギー代謝に関わっています。
生干しのししゃも100gに含まれるマグネシウムの量は48mgです。からふとししゃもには55mg含まれます。
過剰なアルコール摂取や、慢性的な下痢などにより細胞内のマグネシウムが低下すると、食欲不振や嘔吐、筋力低下などの症状が出る場合があります。
1日のマグネシウムの推奨量は、18歳以上の男性が320mg~370mg、女性が260mg~290mgに設定され、妊娠中の女性はさらに必要量が増加します。
ししゃもの栄養素3:脂肪酸
脂肪酸は体内で十分な量を合成できるものと、摂取する必要があるものに分かれます。DHAやEPAを含むn-3系多価不飽和脂肪酸は、摂取する必要がある栄養素です。
DHAやEPAは血液をサラサラにし、中性脂肪を低下させる働きがあるといわれています。また、認知症の予防効果も期待されています。
生干しのししゃもの可食部100gに含まれる、n-3系多価不飽和脂肪酸の量は1.47gです。からふとししゃもには1.73g含まれます。1日の摂取目安量は、18歳以上の男性が2.0g~2.2g、女性が1.6g~2.0gに設定され、授乳中の人はさらに必要量が増加します。
ししゃもの栄養素4:ナイアシン
ナイアシンは、体の中に多く存在しているビタミンで、糖質、脂質、タンパク質の代謝や、DNAの修復と合成などに関わっています。この栄養素が不足すると、皮膚炎、下痢、ペラグラ、成長障害などを引き起こす可能性があります。
生干しのししゃも100gに含まれるナイアシン当量(ナイアシンと体内でナイアシンへ変換されるトリプトファンの量から算出する値)は、5.5mgNEです。からふとししゃもには4.8mgNE含まれます。
1日のナイアシンの推奨量は、18歳以上の男性が13mgNE~15mgNE、女性が10mgNE~12mgNEに設定され、授乳中の女性はさらに必要量が増加します。
ししゃもの栄養素5:ビタミンE
ビタミンEは、抗酸化作用がある栄養素です。細胞膜や脂質の酸化を防ぎ、同薬効果や生活習慣病などの年齢に伴う機能低下を防ぐ効果が期待されています。
生干しのししゃも100gに含まれるビタミンEは0.8mgです。からふとししゃもには1.6mg含まれます。ビタミンEが不足すると神経機能の低下や、血行不良による肩こりや冷えなどの症状が出る可能性があります。
1日の摂取目安量は、18歳以上の男性が6.0mg~7.0mg、女性が5.0mg~6.5mgに設定され、妊娠中や授乳中の女性はさらに必要量が増加します。
ししゃもはダイエットに効果がある?
ししゃもに含まれるEPAには、中性脂肪を低下させる働きがあるとされるため、ダイエットの効果が期待できます。
消費エネルギーよりも摂取エネルギーを減らすダイエットが一般的ですが、極端な食事制限は健康を害する恐れがあります。バランスを考えて取り組みましょう。
ししゃもを使ったおすすめのレシピ
和のイメージが強いししゃもですが、たんぱくな味わいを生かしてさまざまなアレンジが可能です。調理方法次第で洋風のレシピにも使える便利な食材です。
また、メインの料理から副菜にいたるまで、幅広いレシピに応用できます。ここからは、ししゃもを使った3つのレシピをご紹介します。
ししゃものおすすめレシピ1:シシャモペペロンチーノ
赤唐辛子がピリリと美味しい、おつまみにおすすめの1品です。
ししゃもの塩気とレタスのシャキシャキとした食感がアクセントになります。フライパンで簡単につくれるため、あと1品欲しいときにもおすすめです。
ししゃものおすすめレシピ2:シシャモの田作り風
おせち料理に入っている田作り風に仕上げた1品です。香ばしいクルミがアクセントになります。
日本人になじみ深い基本的な調味料を使って自宅で簡単に作れます。味がしっかりしていて、日本酒やビールのおつまみとしてもおすすめです。ご飯のお供としても活躍するでしょう。
ししゃものおすすめレシピ3:揚げシシャモのおろし添え
カリッと揚げたししゃもに、サッパリとした大根おろしがピッタリの1品です。
ししゃもは焼いて食べるのが一般的ですが、揚げて食べてもおいしいのが特徴です。お好みでポン酢やしょうゆをかければ、さっぱりとした風味を味わえます。夏の暑い季節にも、食欲をそそる1品になるでしょう。
ししゃもをおいしく食べよう!
ししゃもは低カロリーで、さまざまな栄養素が含まれる食材です。さまざまな調理方法でおいしく食べられるも大きな魅力でしょう。
3つのレシピをご紹介しましたが、ほかにもフライや南蛮漬けなど、多くの味わいを楽しめます。ししゃもをアレンジして、食卓やお弁当に取り入れてみましょう。
監修者ミニコラム:本物のししゃもは高級魚だった!?
日本で流通するししゃもの約9割が、実は「からふとししゃも」という別の種類の魚。正式にはカペリンなどと呼ばれ、アイスランドやノルウェーなどの海外から輸入されています。
そもそも、ししゃもは北海道の太平洋側の川に産卵のために戻ってきたものを漁獲していたのですが、獲れる量が少なく、50年くらい前から見た目が似た魚をししゃもの代用品として販売を始めたのだとか。
ちなみに、本物のししゃもは、からふとししゃもの3倍以上の値段。高級魚なので、なかなか食べる機会はないかもしれませんが、10~11月にかけて北海道の産地を訪れれば、鮮度のよい刺身を堪能することもできますよ!
本物は脂乗りも旨味も格別なので、一生に一度は味わってみてほしいです。