料理が苦しくなくなった…!「やる気がでる」ある主婦の3つの工夫
2019/10/29
「毎日のごはん作りに疲れた」「料理を作るのが楽しくない……」。その原因は、台所にあるかもしれません。台所収納の基本は見た目のきれいさではなく、使いやすさ。それを心がけただけで毎日の料理が楽になったという主婦・石川さんに片づけのコツについて聞いてみました。
<プロフィール>
石川理恵さん
暮らしまわりの取材をするライター。夫、長男(19歳)、二男(16歳)の4人暮らし。著書に『身軽に暮らす』(技術評論社)など。
=HOUSE DATA=
賃貸一戸建て/築46年/4SDK(84.45㎡)
【家と私の人生】
子ども時代は、妹と一緒の6畳間。足の踏み場がないくらい散らかっていても平気だった。
00年 結婚をきっかけに部屋をうわべだけ片づけるように。出産を機に2LDKの新築マンションを購入
03年 二男家が散らかりだす
10年 整理収納アドバイザー吉川永里子さんとの出会いで「使うための収納」の大切さを学ぶ
13年 ライフオーガナイザー®宇高有香さんに出会い、枠にとらわれない収納法に影響を受ける
16年 子どもたちの成長で手狭になり、現在の家に引っ越す
自分が楽しい気持ちになれることが大切だと気づいた
ライターとして20 年以上、多くの達人を取材し、その暮らしぶりを伝えてきた石川さん。とらわれてしまっていたのは〝ていねいな暮らし〞の呪縛でした。
「こだわりの野菜を使い、きちんとだしをとって料理をし、家もおしゃれに片づけている。そんなふうにていねいに暮らしている人を取材しているのに、自分の家は〝しっちゃかめっちゃか〞。子どもには買ってきたお総菜や店屋物を食べさせることも多くて……」
余裕がない、自分の暮らしとのギャップに悩む日々。せめて「仕事で疲れ、料理ができない状態から脱出したい」と思いはじめたころ、整理収納アドバイザーの吉川永里子さんを取材。吉川さんの「片づけは、次に何かをするための準備」という言葉にハッとしたそうです。
「それまでは収納って、〝物をしまうこと〞だと思っていたのですが、〝使うための準備〞だったんだ、と気づかされました。私の台所は、その準備が整ってないから、やる気がおきなかったのだと……。以来、使う場所に置く、動線を意識するなど、理屈を考えるようになりました」
続いて影響を受けたのは、ライフオーガナイザーの宇高有香さん。朝と晩、違う場所で歯みがきする習慣があるなら、その両方に歯ブラシを置く、ハンカチは出かけるときに持つ物だから、玄関に収納するといった柔軟な発想に、自分の暮らしに合っていればなんでもアリなんだと思うようになったそう。
大切なのは一般的な正解よりも自分にしっくりくる収納かどうか。だから、石川さんの台所には、セオリーとしては正しくないであろう、効率的ではない収納法も見つかります。
例えば、いつも眺めていたい、大好きなアルミ製のレモン絞り器。年に数回しか使わないのに、手が届きやすい、いわゆる〝1軍〞を収納するための場所に引っ掛けています。たくさん持っている、日々よく使う豆皿は、ガラスぶたの箱の中から毎日出し入れ。わざわざ両手でふたを開ける必要があるので、ひと手間かかりますが、好きで集めている器をワクワクする気持ちで眺められるからというのが理由です。
「私の場合、気分が上がることしか続けられない。だから自分が好きな入れ物に収納をし、好きな道具が目に入るように並べる。そうすると、楽しい気持ちで物を出したりしまったりでき、料理も片づけも苦じゃなくなります」
多少不便でも、それはそれ。効率優先だけでは自分のやる気は引き出せないと、自己分析したからこそたどり着いた石川さん流の収納法です。
取材で学んだことを、〝私〞というフィルターを通して、自分に合う形で取り入れていくうち、ちょっとずつ使いやすくなっていった台所。「取材してきたような〝おしゃれな台所〞ではないけれど、夜中にダイニングテーブルで仕事をしながら『ああ、この空間好きだな〜』と思える、私にとってはいい台所になりました」。
料理するのが楽しくなる「台所収納」のコツ3
1:すぐ手が届くと心地よい
毎日同じことを繰り返すルーティン作業が苦手で、忘れっぽいと自己分析している石川さん。使う場所からすぐ手が届くところに物を配置するなど、苦手なことこそ、心地よくスムーズに行えるよう工夫します。
▼ウォーターサーバーは、 コップの近くに置いて最短動線に
▼毎日のむ薬、食べかけのパンやお菓子は食卓のすぐそばにあると忘れない
2:自分らしく自由にしまうと使いやすい
収納のセオリーや、なんとなくの思い込みにとらわれずに収納場所を決める。自分の気持ちが上がるなら、用途違いの物も収納する。自分がよければ、それでよいと考えることで柔軟な発想が生まれ、使いやすい台所に。
▼コンロの下にゴミ箱を設置
▼ブレッドケースに茶碗とお椀の朝食セットを
3:お気に入りを「特等席」に飾るとやる気が出る
使いやすい場所にはよく使う物だけを置き、ワンアクションで片づける。そんなセオリーだけでは、やる気はアップされないから、無視!お気に入りを眺められれば、片づけも料理も楽しくできるから多少不便でも気にしません。
▼お気に入りが目の前にあれば、食器洗いも楽しい
▼手に取るだけでうれしい気持ちになる豆皿は、見せる収納に
台所が好きになったことで、ていねいな暮らしの呪縛から解き放たれた石川さん。料理も暮らしも楽しめる日々になりました。
Have a try!
□自分が楽しい気持ちになれる収納を心がける
□お気に入りの食器やキッチン用品は見える場所に置く
参照:『サンキュ!』11月号「片づけで人生を変えませんか?」より。掲載している情報は19年9月現在のものです。
撮影/木村文平 取材・文/加藤郷子 編集/サンキュ!編集部
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