手間いらずで「菜の花」の苦味を減らしておいしくする方法
2020/04/08
管理栄養士&食生活アドバイザーで、サンキュ!STYLEライターのゆかりです。
料理をつくることはもちろん好きですが、それ以上に食べることが大好き!
春の食材として思い浮かぶ「菜の花」。出始めの時期に比べると、終わりのころは苦味が増えるといわれていて、あの味が苦手な人もいるのでは?
この記事では、そんな「菜の花」がおいしく食べられるコツをご紹介します。
「菜の花」の旬はいつ?
旬といえば、その食材が1年のなかでいちばん多く出まわる(店頭に並ぶ)時期のことですね。
そして、旬と一口にいっても、前後を含めて三段階に分けられるのをご存じでしょうか?
1 季節を先取りして出始めるころ……“はしり/走り”
2 いちばんおいしくなるころ(出荷量も多く安価)……“さかり/盛り”
3 出まわる量が少なくなってくるころ……“なごり/名残”
「旬のはしり」といえば、初物のことをさし、初物を食べると寿命が75日延びる縁起ものとして、昔はいかにして早く食べるかが競われていたといいます。
「旬のさかり」が、一般的には「旬」として扱われています。食材のことだけではなく、今がいちばん脂がのっているということから、そのときに注目されている人やニュースなどにも使われていますよね。
「旬のなごり」は、あまり馴染みがないかもしれませんが、食材によってはそのころに味わいが変わって楽しめるものもあります(柿、ふぐ、鮎など)。
有名な『なごり雪』という歌も、消えてなくなっていく雪を惜しみながら愛しむ情景が、食材の「旬のなごり」を惜しんで味わう姿に重なりますよね。
ちなみに、「菜の花」の旬ですが、
1 はしり → 12月下旬くらい
2 さかり → 2~3月
3 なごり → 4月
これらが一般的とされていますが、冬の間の気温によっては時期が前後することも。
ちなみに、平成31~令和元年は、10月から6月まで出荷していた生産地もありました(生産量No.1の千葉県)。
3月中旬に店頭で「菜の花のなごりの時期」と書かれていたのを見かけたこともあります。暖冬の影響から旬が早まることもありますね。
「菜の花」の苦味を和らげるには?
そんな「なごり」の時期に差しかかった「菜の花」ですが、いちばんの食べごろは、つぼみが開く前。つぼみが開いてしまうと苦味が強くなって食べにくくなるといわれています。
実際に、スーパーマーケットで買ってきた「菜の花」ですが、目で確認できる表面の「菜の花」は、つぼみが閉じていて、葉も緑色をしていたのですが、実際に家で開封してみると、内側は少し花が開いていたり、葉が黄色く変色していた部分も……。
「きっと苦味も強いんだろうなぁ。でもおいしく食べたいな」と思ったところ、苦味を減らして食べられる方法を教えてもらったので実践することに!
和からしを加えた湯でゆでる!
和からしを加えた湯でゆでることで苦みが抑えられます。
和からしとは、ソーセージにつけるマスタード(洋からし)ではなく、おでんや納豆などの和食に添えられているからしのこと。
わが家にも、納豆を食べるときに使わなかったからしがいくつか残っていたので、「菜の花」1束をゆでる湯に対して、3袋分ほど溶いてみました。加えるからしの量は、湯が少し濁るくらいでいいそうです。実際に入れたのは2g弱でした。
そして、通常どおり塩を少し加え、洗って切った「菜の花」の茎を先に投入し、30秒後に葉やつぼみを加え、さらに30秒でザルに上げて水切りをしました。茎の太さによって時間は変えてくださいね。
とっても苦味に弱い人は、ここで流水にさらしたほうがより苦味を抜くことができます。
ですが、水に溶けやすいビタミンなどの栄養も失われやすくなるので、流さなくてもOKです。
「菜の花」で、春の味わいを楽しみましょう!
左が塩を加えただけの湯で茹でた「菜の花」、右が塩+和からしで茹でた「菜の花」です。
仕上がりは差がないように見えますが、実際に食べ比べてみると、右の方は苦味が薄れた分、甘味をほんのり感じるという結果でした。
どちらも流水にさらしたりせず、広げて粗熱を取ってから水分を絞っただけですが、からしの風味が気になることもありませんでした。
自身が「菜の花」の苦味が苦手ではなかったため、このような苦味の取り除き方があるということを初めて知りました。調べてみると、さらに料理酒を加える方法や、重曹を使う方法、冷凍して解凍した際に苦味が水分といっしょに抜ける方法などもありました。ですが、和からしを加えるだけという方法がいちばん簡単そうです。
ほかにも、ゆで方はそのまま塩水のみで、ゆでたあとに使う調味料を工夫して苦味を和らげる方法もありました。
・マヨネーズ+すりごま(和え物など)
・油+塩こしょう(炒め物など)
苦味自体は、アルカロイドと呼ばれる成分やポリフェノールなどで、新陳代謝を活発にしたり、体に溜まった毒素を外に出してくれる効果などが期待できます。すべて取り除くのももったいないので、食べやすい範囲で楽しんでみてはいかがでしょうか?
この記事を書いたのは・・・管理栄養士&食生活アドバイザーのゆかり
4歳女の子のママ。保育園調理、セミナー講師、出張料理、料理教室、食育サイトの記事執筆などで活躍中。食べること、料理することが好きなワーカーホリックです。