夏至とは?2024年はいつ?食べ物・冬至との関係・日照時間、海外の慣習まで解説
2024/01/18
夏至とは、1年のうちで最も日照時間が長くなる日。
2024年の夏至は6月21日。2025年も同じく6月21日となっています。
「これから本格的に夏が始まる日」とも言えるかもしれません。
今回は夏至はいつ?夏至とは?という疑問だけでなく、「冬至」との関係性や風習、海外の「夏至祭」にいたるまで紹介していきます。
夏至はいつ?
国立天文台からの発表によると、2021年~2024年の日本における夏至は、以下のようになっています。
2022年6月21日
2023年6月21日
2024年6月21日
2025年6月21日
夏至の日にちはおおむね決まっていて、6月21日頃となっています。
しかし、実は夏至というのは毎年決まった日になるわけではなく、2019年の夏至は6月22日でした。
夏至は記念日や特定の日付によるものではなく、太陽の行路によって定められるため、その年によって日にちが違ってくるのです。
夏至というと夏の真っ盛りのようなイメージもありますが、実際には日本では梅雨のちょうど折り返し時期となっています。
夏至とは?
夏至は、1年のうちで最も太陽が高く昇り、日照時間が長くなる日です。言い換えると、1年で最も昼の時間が長く夜の時間が短いのが夏至ということです。
太陽が1年を通じて一番北側を通るため、北半球ではこの日が一年の中で一番昼が長く、夜が短い日となるのです。逆に南半球では最も昼が短く、夜が長い日となります。
さらに北極圏になると太陽は一日中地平線より上にあるため、いわゆる白夜の状態になり、南極圏では終日太陽が登らない日となります。
夏至を子どもに伝えるなら
子どもに夏至について聞かれた時、こう答えてみましょう。
「一年の中で、お昼の時間が一番長い日だよ。毎年6月21日くらいで、北極だとずっと明るくて、南極だとずっと暗い日。日本だとお祝いをする日ではないし、幼稚園や学校はお休みじゃないんだよ。」
日照時間は?日の出と日の入りも解説
夏至の日の日照時間は、14時間35分程度です。以下の図は数年間の日の出と日の入り、日照時間です。
日付 | 日の出 | 日の入り | 日照時間 |
---|---|---|---|
2021年6月21日 | 4:25 | 19:00 | 14時間35分 |
2022年6月21日 | 4:25 | 19:00 | 14時間35分 |
2023年6月21日 | 4:25 | 19:00 | 14時間35分 |
2024年6月21日 | 4:26 | 19:00 | 14時間34分 |
一方で、一年で最も日が短い冬至の日照時間は、9時間45分程度なので、夏至の方が5時間も日照時間が長いことがわかります。
表:2024年の東京における夏至と冬至の日の出入り
日付 | 日の出 | 日の入り | 日照時間 | |
夏至 | 2023年6月21日 | 4:26 | 19:01 | 14時間35分 |
冬至 | 2023年12月22日 | 6:47 | 16:32 | 9時間45分 |
なぜ日照時間が一番長いのに一番暑くならないの?
夏至の日の6月21日は、夏の始まりなので1年で最も暑くなるわけではありません。
それには理由が二つあります。
一つ目は、梅雨の間は天気が悪い時が多く、実際の日照時間が長くないことが多いから。
二つ目は、太陽の熱が気温に影響するまでにタイムラグがあるからです。
夏の暑さというのは、太陽が地表を暖め、地表の熱が空気に伝わることで気温が上がることによるものです。
例えるなら、ヤカンでお湯を沸かしたときに、コンロの火を最高にしてもすぐにお湯が湧かないのと同じ原理です。
太陽の熱が最高になってから、空気が夏の暑さになるまでのタイムラグにより、夏の一番暑い時期は夏至から1ヶ月以上後の7月後半~8月になるのです。
夏至は英語で何という?
夏至は英語で「Summer solstice」といいます。「solstice」とは「至点」のことを指し、太陽と地球の赤道面からの距離が最大となる瞬間のことです。
反対に冬至は「Winter solstice」となります。
夏至と冬至の関係性
夏至とセットになっているのが、こちらもカレンダーの中でお馴染みの「冬至」でしょう。おおよそ12月22日あたりが冬至になります。
冬至は、夏至とは真逆の日です。つまり、冬至とは最も昼の時間が短く、夜の時間が長くなる日のこと。
夏至と同じように、冬至は決まった日があるわけではないので、毎年の計算によってその年の冬至の日が決まります。
どちらも「二十四節気」の一つ
夏至と冬至はともに、中国の古い暦である「二十四節気」のひとつです。二十四節気とは古くから中国で使われている暦で、1年を春夏秋冬の四つの季節に分け、さらにそれを6分割し、計24等分したものです。
図:二十四節気と地球、太陽の関係性
立春から始まる二十四節気の中で、夏至は十番目にあたり、冬至は二十二番目となります。
太陽の動きで冬至・夏至・春分・秋分を理解
夏至、冬至の他に季節を表す二十四節気の中には、「春分」「秋分」があります。春分は毎年3月21日ごろ、秋分は毎年9月23日ごろです。
春分や秋分は、昼の時間の長さと夜の時間の長さがほぼ同じになる日。
これには地球の回転軸と傾きが関係しています。
図:地球の公転と太陽の関係性から見た夏至・冬至・春分・秋分
地球の地軸は、地球の公転軸に対してやや傾いて太陽の周りをまわっています。夏至になると、地球の北極側が太陽の方向に最も傾いた状態になるため、日本を含む北半球では日照時間が一番長くなります。
一方で、冬至は南極側が太陽に向かって傾くため、日本を含む北半球では日照時間が最も短くなるのです。
春分と秋分は、地軸の傾きが太陽に対して平行になるため、昼と夜の時間の長さがほぼ同じになります。
ただし、実際には光の屈折によって地表付近の太陽が浮き上がって見えることなども考慮されるため、昼間の時間の方が長くなります。
図:日本から見た春分・夏至・秋分・冬至
日本から見ると、夏至の日に太陽が最も高く、冬至の日には太陽が低く見えます。
なぜ夏至は祝日じゃないの?
春分の日・秋分の日は、日本においては国民の祝日ですが、夏至や冬至は祝日になりません。
春分、秋分の日は皇室の皇霊祭があり、それに従って1927年からこの日が祝日とされています。春分の日には「春季皇霊祭」が、秋分日には「秋季皇霊祭」が行われます。
一方で、夏至には春分・秋分のように歴史的に重要なできごと等がないため、祝日にはならなかったと考えられます。
夏至の日の食べものは?
夏至の日に食べるものは、冬至の「かぼちゃ」のようには思い浮かびませんよね。
実は夏至にも、地域によっては特定の食べ物を食べる慣習があります。
ただし厳密には夏至に食べるというよりも、1年の折り返しとなる6月30日の「半夏生」に食べる意味合いが強いものが多いです。
関東では「小麦餅」
関東では夏至に新小麦を平べったくした「小麦餅」という焼き餅を食べるという慣習があります。
昔は米と小麦の二毛作をしていた農家が多く、夏至の頃に小麦が収穫されるため、感謝の気持ちを込めて、このような慣習ができたのだと言われています。
この小麦餅は別名「半夏生餅」と呼ばれることがあり、夏至の少し後の「半夏生」に食べるものでした。
最近では、小麦餅を見かけることもありませんが、夏至をきっかけにレシピを探して自作してみても良いかもしれません。
関西では「タコ」、京都では「水無月」
関西で「タコ」を食べる慣習があります。
これは夏至の時期がまさにタコの旬であるからという理由に加えて、農家の「作物がタコのように根を張って育つ」という祈りが込められています。
京都では「水無月」と呼ばれる和菓子を食べる慣習があります。これは1年のちょうど折り返しとなる水無月の最終日である6月30日に、その後半年の無病息災を祈って食べるという意味合いがあるようです。
香川では「うどん」
香川といえばうどんが有名なご当地グルメですが、実は夏至のしばらくあとの7月2日は「うどんの日」として香川県生麺事業協同組合が制定しています。
これもまた半夏生を由来としていて、半年の農作業を手伝ってくれた人たちにうどんを振る舞うという慣習から制定されたとのことです。
島根・熊本では「団子やまんじゅう」
島根県や熊本県では、小麦を材料とした団子やまんじゅうを食べる慣習があります。
これもまた神様に感謝を捧げるという意味で食べられるもので、食べる前に神様にお供をするようです。
夏至の日にすることは?行事や風習
では続いて夏至の日にはどんなイベントが開催されているのでしょうか。まずは日本国内の、夏至の日の行事や風習をチェックしてみましょう。
キャンドルナイト
夏至の日にはキャンドルナイトが行われます。これは、もともと北米で始まったイベントです。
2001年に、アメリカ・ブッシュ政権のエネルギー対する抗議として、電気を消してキャンドルだけで一夜を過ごすというイベントがカナダでスタートしました。それが、現在では全世界に広がり、日本でも「100万人のキャンドルナイト」として開催されています。
当初は東京の増上寺で行われていましたが、現在はオンラインでの開催となり、さまざまなライブイベントやプロジェクトが開催されています。
夏至に咲く花を楽しむ
夏至は夏の初め、梅雨の最中となりますので、夏至の花といえば代表的なものはやはりアジサイ、そしてアヤメとなります。
アジサイには、夏至の日に金銀の水引をかけて玄関に逆さに吊るすことで、1年間小銭に困らないというおまじないになります。アジサイの小さな花が集まったさまを、小銭に見立ててこのようななおまじないができたと言われています。
子どもと楽しむ夏至の日の過ごし方
子どもと夏至の日楽しめるアイデアをご紹介します。
キャンドルナイトにチャレンジ
キャンドルナイトに使うろうそくを実際に作ってみましょう。
ろうそくは100均で売っているものでOK。
作り方は簡単です。
①ろうそくを削って、湯せんでろうそくを溶かします。
②芯となる「ひも」入れておいた紙コップに、溶かしたろうそくを流し込みます。
③ろうそくが冷えて固まったら、紙コップから取り出し完成です。
暗くなったら、家の明かりを消して、ろうそくを灯してみましょう。
たこ焼きパーティー
タコを使ったレシピを子どもとチャレンジしてみるのもよいでしょう。
「たこ焼きパーティー」をすると子どもは大喜びするかもしれません。
他にもタコを使ったレシピを知りたい方はこちらをご覧ください。
海外の夏至は?世界中の「夏至祭」を紹介
夏至は日本国内だけのできごとではありません。
海外で夏至の日に行われている「夏至祭」をご紹介します。
スウェーデン
スウェーデンやフィンランドで夏至は「移動祝祭日」となっていて、夏至に一番近い土曜とその前日の二日間が祝日となります。
その祝日の間、街の広場には夏至柱が建てられ、人々はそこで歌ったり踊ったりします。
夏至はスウェーデン人にとっていちばん大事な日とされていて、この日に合わせて夏休みを取る人が多いようです。
イギリス
イギリスの夏至のお祭りは、有名な「ストーンヘンジ」で開催されます。
実はこのストーンヘンジというものは、紀元前2500年ごろに作られたものなのですが、夏至を祝う場所として知られているのです。
ストーンヘンジの独特な石の構造物は、夏至の日には少し離れたヒールストーンとを結ぶ線上から太陽が登るため、それを見るため毎年多数の観光客が訪れているのです。
フランス
フランスでは1982年に始まったFête de la Musique(フェット・ド・ラ・ミュジーク)という、1日中街中で音楽が奏でられる音楽祭があります。
プロもアマチュアも共に街中で音楽パフォーマンスを楽しむのが、フランス流の夏至の過ごし方。
この音楽祭は国の肝煎り行事であり、夜10時過ぎまで日没が来ないこの時期のフランスでは、非常に大きな盛り上がりを見せています。
まとめ
知っているようで意外と知らないことが多い夏至。
一年のうちで一番太陽が高く、昼が長くなる日。そんな天文学的にも、世界的にも特別な日と理解できれば、これから訪れる夏至の日をいっそう楽しめるのではしょうか。