「お世話になる」はどんな時に使う言葉? よく使う日本語の正しい使い方と間違った使い方を解説
2021/11/15
日常生活やビジネスで使う日本語、正しく使えているか不安なことってありませんか?よく調べないまま使っていると、間違った使い方をしているかもしれません。
多くの人が意味をよく理解せずに使っている言葉がけっこうあるので、注意が必要です。
意味を間違えやすい日本語の言葉や言い回しについて、国語科教員免許を持つ ライターのdanngoさんが解説します。
「お世話になる」の意味とは?
「お世話になる」という言葉は、「面倒をみてもらっている」という意味を持つ言葉です。
辞書をひくとわかるのですが、「世話」という言葉にはもともと「日常に用いる言葉」の意味がありました。歌舞伎の演目の種類に「世話物(せわもの)」というものがあることからもそれがわかります。
それが少しずつ変化して「人のために力を尽くすこと、面倒をみること」という意味になったと考えられているのです。
「世話」の前に丁寧さを示す「お」がつくことによって、目上の人にやっかいをかけるというニュアンスが出ます。
「お世話になる」の正しい使い方、例文は?
「お世話になる」という言葉は、目上の人に何かをしてもらうときに使います。
ビジネスにおいては、「仕事の関係を取り持ってもらっている」という意味を持つことが多いです。具体的には、こんなふうに使うといいでしょう。
・先輩には、卒業してからも何かとお世話になっています。
・(古くからの取引先に)いつもお世話になっております。
目上の人に使ってもいい?だめ?
「お世話になる」は、自分や自分の会社が目上の人や取引先に力を尽くしてもらっていることをあらわす表現です。
そのため主語は「私が」「弊社が」などであるべきなのです。目上の人に対して使う言葉ではありますが、主語を間違えないように気をつけましょう。
間違いやすい「お世話になる」の誤った使い方
「お世話になる」は使いやすい言葉ですが、場合によっては言い方に気をつける必要があります。
「世話」という言葉自体が「面倒をみる」という意味を持つので、目上の人に「お世話いたします」を連発すると嫌がられるかもしれません。
「お世話になります」と「お世話になっております」の使い分けも注意したいところです。
「お世話になっております」は既存の取引先など、今まで関わっていた相手に使いましょう。
「お世話になります」はこれから面倒をかける相手などに使います。
具体的には、以下のように使います。
・はじめまして。これからいろいろとお世話になりますがよろしくお願いいたします。
・山田様ですね、いつもお世話になっております。今すぐ担当の者を呼んでまいります。
このパターンを逆にすると違和感のある表現となってしまうので、気をつけましょう。
みなさんは「お世話になる」という言葉を正しく使えていましたか?
世代間で理解度に差があることも多いので、年の離れた人に対して使うときはとくに気をつけましょう。
ただ、間違って使われているうちに言葉の意味が少しずつ変わっていく可能性もあります。
正しい意味を理解したうえで、相手が間違って使っている時は柔軟に受け入れるのが大人の対応かもしれませんね。
◆記事を書いたのは・・・ danngo
国語科教員免許と漢検準一級を持つ、アラフォーの 主婦。二児の母で、子育て関連の記事を書くのが得意です。本を読むのが大好きですが、一度読み始めると家事がおろそかになってしまうのが悩み。子どもの遊び相手をすると本気になりすぎて怒られ、家事は手抜きになる一方です。甘いもの、日本の古いものをこよなく愛しています。