「ケレン味」はどんな時に使う言葉? よく使う日本語の正しい使い方と間違った使い方を解説
2021/10/19
日常生活やビジネスで使う日本語、正しく使えているか不安なことってありませんか?よく調べないまま使っていると、間違った使い方をしているかもしれません。
多くの人が意味をよく理解せずに使っている言葉がけっこうあるので、注意が必要です。
意味を間違えやすい日本語の言葉や言い回しについて、国語科教員免許を持つライターのdanngoさんが解説します。
「ケレン味」の意味とは?
「ケレン味」という言葉は漢字で「外連味」と書き、水芸や早替わりなどの見た目本位の芸についていう演劇関連の用語。
辞書的には「俗受けをねらったやり方、はったりやごまかし」といった意味を持つ言葉です。王道ではない、大げさで実のない、といった批判的なニュアンスがある一方、目新しい、変わっていて面白い、といったプラスの解釈も可能です。
「ケレン味」の正しい使い方、例文は?
「ケレン味」という言葉は、よい意味にも悪い意味にも使います。
よい意味のときは、「目新しい」「斬新な」といった意味合いで使い、悪い意味のときは「誠実ではない」「邪道な」という意味合いになることが多いです。
具体的には、こんなふうに使うといいでしょう。
<よい意味でつかうとき>
今回の新作歌舞伎は、ケレン味あふれた演出が魅力となっている。
<悪い意味でつかうとき>
あの関取の取り口はケレン味が強く、上位力士としての品格に欠ける。
ビジネスシーンで使うときは?
「ケレン味」はもともと演劇演出用語のため、ビジネスで使う機会は少ないでしょう。
あえて言うなら、「今回の企画には少しケレン味がほしい」といったように「斬新さ」「目新しさ」のかわりに使う程度でしょうか。
悪い意味にもとられてしまう言葉なので、目上の人には使わないようにしましょう。
間違いやすい「ケレン味」の誤った使い方
「ケレン味」は俗受けするやり方をあらわす言葉なので、正統派の芸や実直な方法を表現するのには使えません。したがって、以下のような使い方は誤りです。
・今日観た能の舞は、ケレン味が感じられて優雅で美しかった。
・ケレン味のある顧客対応によって、A社は株主から絶大な信頼を寄せられている。
みなさんは「ケレン味」という言葉を正しく使えていましたか?
世代間で理解度に差があることも多いので、年の離れた人に対して使うときはとくに気をつけましょう。
ただ、間違って使われているうちに言葉の意味が少しずつ変わっていく可能性もあります。
正しい意味を理解したうえで、相手が間違って使っているときは柔軟に受け入れるのが大人の対応かもしれませんね。
◆記事を書いたのは・・・ danngo
国語科教員免許と漢検準一級を持つ、アラフォーの主婦。二児の母で、子育て関連の記事を書くのが得意です。本を読むのが大好きですが、一度読み始めると家事がおろそかになってしまうのが悩み。子どもの遊び相手をすると本気になりすぎて怒られ、家事は手抜きになる一方です。甘いもの、日本の古いものをこよなく愛しています。