「ご自愛ください」はどう使う? よく使う日本語の正しい使い方と間違った使い方を解説
2021/11/17
日常生活やビジネスで使う日本語、正しく使えているか不安なことってありませんか?よく調べないまま使っていると、間違った使い方をしているかもしれません。
多くの人が意味をよく理解せずに使っている言葉がけっこうあるので、注意が必要です。
意味を間違えやすい日本語の言葉や言い回しについて、国語科教員免許を持つライターのdanngoさんが解説します。
「ご自愛ください」の意味とは?
「自愛」という言葉、辞書的には「自分で自分の体を大切にする」という意味があります。
ほかにも「品行をつつしむ」「ものを愛する」などの意味がありますが、現在はほとんど用いられていません。ちなみに「自己中心的」「エゴイズム」といった悪いニュアンスは含まない言葉です。
これに「ご自愛」と「ご」をつけることで、相手が自分自身を大切にするということを表現できます。
「ご自愛ください」と言うと、「自分の体をいたわってください」くらいの意味になります。
「ご自愛ください」の正しい使い方、例文は?
「ご自愛ください」という言葉は、相手に対し「健康に気をつけてお過ごしください」と言うのと同じ感じで使います。
特に手紙文のしめくくりによく用いられます。具体的には、こんなふうに使うといいでしょう。
・残暑厳しい折ですが、どうぞご自愛ください。
・お忙しい中大変かと思いますが、無理なさらずご自愛ください。
目上の人に使ってもいい?だめ?
「ご自愛ください」は、主に目上の人に使う言葉です。
相手の体を気づかう言葉なので、年上の人や高齢の人に対しては積極的に使っていいでしょう。
同僚や部下にも使える表現ですが、親しい関係の場合は少し大げさに聞こえてしまうかもしれませんね。目下の人に似たようなニュアンスのことを伝えたいなら、「体に気をつけて」などと言う方法もあります。
間違いやすい「ご自愛ください」の誤った使い方
この言葉は、体を大切にして健康を維持してほしい相手に使う表現になります。病気の人に使うのは避けてください。
また、「自愛」という言葉自体が「体をいたわる」という意味を持つため「お体を」という言葉をつけたすと意味が重複してしまいます。
したがって、以下のような使い方は誤りです。
・長引く入院生活でお疲れのことと思いますが、どうぞご自愛ください。
・寒さが厳しくなってまいりましたが、お体をご自愛くださいませ。
みなさんは「ご自愛ください」という言葉を正しく使えていましたか?
世代間で理解度に差があることも多いので、年の離れた人に対して使う時は特に気をつけましょう。
ただ、間違って使われているうちに言葉の意味が少しずつ変わっていく可能性もあります。
正しい意味を理解したうえで、相手が間違って使っている時は柔軟に受け入れるのが大人の対応かもしれませんね。
◆記事を書いたのは・・・ danngo
国語科教員免許と漢検準一級を持つ、アラフォーの 主婦。二児の母で、子育て関連の記事を書くのが得意です。本を読むのが大好きですが、一度読み始めると家事がおろそかになってしまうのが悩み。子どもの遊び相手をすると本気になりすぎて怒られ、家事は手抜きになる一方です。甘いもの、日本の古いものをこよなく愛しています。